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さみしくなったら名前を呼んで / 山内マリコ

2014.11.01   CULTURE | BOOK

幻冬舎 / 1512yen

 デビュー作『ここは退屈迎えに来て』で地方女子の鬱屈とした想いを描き、「地方ガール小説といえばこの人」という存在になった山内マリコ氏。本作は11本の話を収録した短編集だ。宝石に見立てられた女の子の涙が夜空に輝くという、何とも可愛らしい装丁。しかし本の中で綴られているのは、女性の不安や孤独だ。小津安二郎の映画を通して関係性を育む孫娘と祖母の物語『昔の話を聴かせてよ』。誰もが憧れる存在になったけど本当の自信が持てない自分を憂う『ケイコは都会の女』。どれも表紙のような〈可愛さ〉と著者特有の〈刺々しさ〉を併せ持つ話ばかりである。個人的には最後に収録された『遊びの時間はすぐ終わる』がとても好きだ。地方出身者が抱く地方民への違和感には共感を覚えるし、最後の段落には背中をグッと押される(自分は地方在住の男なのだが)。11の話の中に貴方に寄り添う1編がきっとある。(Loft PlusOne West:平松克規)
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