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ロックとメディア社会 / サエキけんぞう

2011.11.07   CULTURE | BOOK

新泉社 / 2100yen

 ミュージシャンと同時にプロデュース業や音楽評論家としても活躍するサエキけんぞうがロックとメディアの歴史と現在を、ビートルズのメンバーさえ知らない若い世代に向けて1冊の本にまとめあげたのが本書だ。著者は「ネットに深く入り込み、コミュニケーションとメディアの変化を肌で感じ取ったことがきっかけ」でこのテーマに取り組んだそうだが、確かに今の音楽を考える上でネットが与える影響を抜きにすることはできない。ラジオ、レコード、テレビ、ビデオ(MTV)...とロックは常にメディアの発展と正比例してきたが、ネット時代が到来しロックは新たな転換期を迎えている。ここでサエキはロックの歴史を検証することにより「情報だけでなく感動を伝えるメディアの本質的な動態、意義を問いかけたい」と考えた。それは「情報だろうが何だろうが、心が動かない時、時代も動かない」という表現者としての使命感にも似た動機からだったのだろう。ロックの本質を読み解く良書だ。(加藤梅造)

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