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白井良明70th / ROLLY 60th / SMA 50th大感謝祭ライブ、渋谷で開催!

2024.07.29

SMA 50th Anniversary×白井良明古希×ROLLY還暦公演『恋するトンピクレンッ子たち』が、7月25日(木)に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催された。
なにせライブのタイトルが長い! 50+70+60、合わせて180! 数字だけみても、なんだか凄いライブだったことは伝わるだろうか? 師弟関係にあるムーンライダーズの白井良明が古希(70歳)、ROLLYが還暦(60歳)。そしてふたりの所属事務所Sony Music Artists(通称:SMA)が創立50周年。数字がきれいに揃ったことを記念したお祝いライブだ。ともかくめでたい。

オープニング

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ROLLYが真っ赤なスーツ、白井良明が鮮やかなブルーのジャケットを着てステージに揃う。ふたりを支えるのは、SMAの後輩ミュージシャンの渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)、中田俊哉(THEイナズマ戦隊)、岡本啓佑(ex.黒猫チェルシー)の3人。鉄壁のサポートを従えて演奏したのは、ムーンライダーズが1977年に発表した「マスカット ココナツ バナナ メロン」! 屈指の名曲として知られる同曲がオープニングとあって、まずはムーンライダーズ・ファンのハートをがっつり掴む。「ようこそ! みんなに介護されてる(笑)、白井良明です!」と自己紹介すると、ROLLYは「良明さんに出会って37年になります。こうして一緒にやらせてもらって嬉しいです!」と話し、3曲目は白井良明がプロデュースし、ベースの中田俊哉のTHE イナズマ戦隊の「孤独の王様」に。

ROLLYコーナー

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ここで白井良明がステージをおり、ROLLYコーナーに。「自分で勝手に還暦を称える歌を作りました(笑)」と歌ったのは、昨年発表した「還暦ありがとう」。尾崎紀世彦の「また逢う日まで」を彷彿させるゴージャズな大昭和歌謡ナンバーで、サビはみんなで大合唱。「SMA勤続35年の古だぬき(笑)です」と自己紹介し、2曲目には白井良明がプロデュースを担ったすかんちの「恋するマリールー」を歌う。

白井良明とROLLYの出会い〜“R”(yomei+OLLY)コーナー

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「我が恩師、白井良明さんです!」と良明を呼び込み、ここからは師弟のアコースティック・デュオ・コーナーに。さて、このふたり、どんな師弟関係にあるのか? そんなみんなが気になっていることを、ROLLYが話し始める。ここから、少々長くなります。ふたりの経緯を。かいつまんで箇条書きで書きますが、ご存知の方はスキップしてください。
 
① 1984年、ROLLY(21歳、実家の美松電器でアルバイト中)、ラジオで松尾清憲の「愛しのロージー」を聴いて衝撃を受ける。ギターの音やテイストが大好きなブライアン・メイ(クイーン)そのものだったのだ。
 
② ROLLY、大阪バナナホールで行なわれた松尾清憲のライブに行く。「あのギターを弾いている松尾さんに会いたい!」の一心で、終演後、ホールのダストシュートから楽屋に不法侵入。首尾よく松尾に会えたものの、レコードであのギターを弾いているのはこの人と、白井良明を紹介される。ここでなんとROLLYの思い違いだったのが判明。初対面の良明に「私をプロデュースするのはあなたしかいない!」と自身のバンドのデモ・カセットを強引に渡して、楽屋を離れる。そのあと、良明からの連絡を待つも一向に音沙汰なし。
 
〜ここから約3年の歳月が流れ〜
 
③ 1988年12月、ソニーミュージック主宰のSDオーディションに、ROLLYのすかんちが晴れて合格! 同期はTHE BOOMやカステラ! 所属事務所もSMAに決まり、順風満帆なスタートを切るはずだったが、しばらくは放置状態。早くデビューしたい! と悶々とした日々を過ごす中、ある日、プロデューサーが決まった! と白井良明を紹介され、5年ぶりの再会を果たす。
 
④ 白井良明の証言:初対面の頃を振り返り〜「いつの間にか、楽屋にいて。とっくりのセーターに分厚いジャケット着て、まるで浪人生のような風体だったことぐらいしか、覚えてないんだよね。再会したときも、ああ、あのときの子か…ぐらいで」「てっきりROLLYがボクを指名してくれたと思っていました」。実際はレコード会社のディレクターが引き合わせた。ROLLYも5年前にプロデュースしてくれ! と頼んでおきながら、すっかり忘れていたそう。
 
⑤ 神様が引き合わせてくれたこの再会から、ROLLYと白井良明の蜜月関係が始まる。良明はすかんちのデビュー作始め、5枚のアルバムをプロデュースする。ROLLYという怪獣(珍獣?)を世に解き放った張本人こそが、白井良明なのだ。
 

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と、経緯説明にが長くなりましたが、R(yomei+OLLY)コーナーに戻ります。アコースティック・セットの1曲目はスタンダード・ナンバーの「ジャスト・ア・ジゴロ」。ROLLYはこのカバーを2016年に発表しており、日本語詞もROLLY。クイーンの「ドリーマーズ・ボール」を彷彿させる、オールド・ファッション・スタイルのヴォードビル調でじっくり演奏される。
 
ここでROLLYは、ムーンライダーズ・ファンでもあったことを話し出す。オープニングに演奏した曲は学生時代の愛聴曲。1991年に新宿POWER STATIONで行なわれたライダーズのトリビュート・ライブでも「マスカット ココナツ バナナ メロン」を演奏した。そんな希代の名曲にROLLYは、グラムロックの雄、ゲイリー・グリッター風のアレンジを施した。「ライダーズ meets グラム!」このアレンジを良明はROLLYらしいと絶賛。続いては「Mr.タンブリン・マン」。といってもボブ・ディランやザ・バーズのカバーではなく、1993年にリリースされたすかんちのオリジナル曲。ROLLYの60'sフィーク&ロック愛に満ち溢れた作品だ。白井良明とROLLYのかけあい、ギターでは激しいプレイのぶつかり合いとなるが、トークでは実にまったり。白井良明の切れのイイ江戸っ子弁と、ROLLYのふんわりした関西弁の絡みは、上質な演芸をみているよう。師弟デュオコーナーが終わるとROLLYは一旦ステージをおりる。後述するが、この時ROLLYには重要なミッションが待っていた。

白井良明パート

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続いてはバンド・メンバーと共に演奏する白井良明コーナー。10年前、自身の活動をギター・インストに移行したころ、リリースしたアルバム『FACE TO GUITARS』から、先ずキーボードの渡辺シュンスケとふたりで「愛の仕事 “musician”」を。続いては中田俊哉(B)、岡本啓佑(Ds)が加わり4人で“ギターと向き合うという意味の”「face to guitars」を。4つの楽器が激しくぶつかり合い、ジャズのインプロビゼーションを見ているようなスリリングな演奏を展開。続いては渡辺シュンスケのプロジェクト「Schroeder-Heads」の楽曲を2曲。新旧SMA所属アーティストが鮮やかな演奏を見せつける。ROLLYが「35年音楽生活やってますが、今日のこのバンドがいちばんイイ!」と大絶賛。確かに演奏技術にアンサンブルと最高の音を弾き出している。SMA後輩、おそるべしだ。
 

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▲中田俊哉
 

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▲岡本啓佑
 

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▲渡辺シュンスケ

エンディング〜アンコール

そして再び、ステージにはROLLYがジョイン。良明と共に激しいギター・バトルを展開し客席を沸かせる。そのまま白井良明の「渚でニトロ」に移り、ギター・バリバリのサーフィン/ホットロッド・チューンを披露。続いてはROLLYと白井良明を結びつけるきっかけとなったクイーンのナンバー「ウィ・ウィル・ロック・ユー」をROLLY作の日本語詞で歌う。エンディングのブライアン・メイ・ギターパートはROLLYと良明のインプロビゼーション・スタイルで披露。ちなみにこの夜、ROLLYは自身のギターパートの随所にブライアン・メイ風のギター・フレーズをこっそり弾いていた。続いて、良明プロデュース/すかんち最大のヒット曲「恋のマジックポーション」が演奏されると客席は大爆発。ほぼ全員がシンガロング。ラストは良明が書いたムーンライダーズの「トンピクレンっ子」。場内の盛り上がりも最高潮に達したところで本編は終了。
 

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アンコールでは中田俊哉のMCから始まる。この日のライブは中田にとって、大先輩方と一緒にやれた宝物のような時間になったそうで、「次の曲は、12年前にROLLYさんと一緒に吉祥寺でライブを演らせてもらって、17年前ぐらい前に良明さんにプロデュースしていただいた曲です」とTHEイナズマ戦隊の「ワン・ツー・ストレート!!」を演奏。1コーラス目は中田がリードボーカルをとり、2コーラス目はROLLYが歌う。オーディエンス皆が右の拳を上げて“よっしゃカウンター一発/ワン・ツー・ストレート!!”の部分も一緒に歌う。
アンコール・ラストはご存知「東京ブギウギ」。場内はお祭り騒ぎのような状態。本来はここで終わる予定だったが、あまりの盛り上がりに急遽アンコールのアンコールを。曲はロックンロールの名曲、「Johnny B. Goode」を、「Sony be goode」に替え歌! ♩音楽事務所選ぶなら/僕なら迷わずSMAと始まり、♩Go Sony Go Go/Sony be goode!と締めるSMA愛に溢れた抱腹絶倒の替詞で場内大爆笑。なんと白井良明ソロ・パート演奏の間にROLLYが詞を書いたそうで、まさに出来立てホヤホヤ。古希・白井良明と還暦ROLLYが、まさかの曲でSMA創立50周年祭りを締めてしまった。
 

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最後にお二人の最新情報。ムーンライダーズのAMATEUR ACADEMY40周年記念ライブは11月1日(金)に東京国際フォーラム ホールCで開催。ROLLYの61歳(還暦でなくなる)生誕記念ツアーは、9月6日(金)にここ渋谷duo MUSIC EXCHANGEで、9月15日(日)に大阪・心斎橋JANUSで行なわれる。(Text:石角隆行)

SMA50th Anniversary×白井良明古希×ROLLY還暦公演『恋するトンピクレンッ子たち』|セットリスト

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2024年7月25日(木)渋谷DUO musicexchange
01. マスカット ココナツ バナナ メロン(ムーンライダーズ/1977)
02. sweet bitter candy(ムーンライダーズ/1988)
03. 孤独の王様(THE イナズマ戦隊/2006)
04. 還暦ありがとう(ROLLY/2023)
05. 恋するマリールー(すかんち/1992)
06. ジャスト・ア・ジゴロ(米・スタンダード曲のカバー)
07. Mr.タンブリン・マン(すかんち/1993)
08. 愛の仕事 “musician”(白井良明/2014)
09. face to guitars(白井良明/2014)
10. Far Eastern Tale(Schroeder-Heads/2014)
11. Newdays(Schroeder-Heads/2010)
12. 渚でニトロ(白井良明/1995)
13. ウィ・ウィル・ロック・ユー(クイーンのカバー)
14. 恋のマジックポーション(すかんち/1991)
15. トンピクレンっ子(ムーンライダーズ/1982)
─ENCORE─
16. ワン・ツー・ストレート!! (THEイナズマ戦隊/2007)
17. 東京ブギウギ(笠置シヅ子のカバー)
18. Sony be goode(原曲:ジョニー・B.グッド)
出演:白井良明、ROLLY
中田俊哉(B)、岡本啓佑(Ds)、渡辺シュンスケ(Key)

Live Info.

moonriders  AMATEUR ACADEMY and more 2024

日時:2024年11月1日(金)開場18:00/開演18:30
会場名:東京国際フォーラム ホールC

ROLLY生誕記念  60→61TOUR

東京:2024年9月6日(金)渋谷duo MUSIC EXCHANGE|開場18:15/開演19:00
大阪:2024年9月15日(日)心斎橋JANUS|開場16:30/開演17:00
期間:7月27日(土)12:00~8月4日(日)23:59 ※お一人様4枚迄

THEイナズマ戦隊 / 関連情報

THEイナズマ戦隊 15thアルバム・リリース情報
タイトル:『グッジョブ!!』
リリース日:2024年7月24日(水)
 
THEイナズマ戦隊 RELEASE TOUR ~全員グッジョブ!!~
8月・9月公演 一般販売中

Schroeder-Headz(渡辺シュンスケ)/ 関連情報

ライブ情報
SMA 50th Anniversary presents アンシュロナイト
8月9日(金)COTTON CLUB(東京)
 
月見ル20周年記念公演 Schroeder-Headz with 近藤康平
9月22日(日)青山 月見ル君想フ(東京)※昼公演
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