ナナジュウハチが主催するスリーマンライブ、『PANDE3IC』。
第4回目となる“vol.4”が自身のアーティスト名にちなんだ7月8日(月)に下北沢Flowers Loftで開催された。
SUKISHA
DJスタイルでの出演。
爽やかな“Cherry”からはじまり、“おうちであそぼう”では『下北であそぼう』と歌詞を変え、フロアに詰めかけたファンもそれに呼応する。
「夏っぽい曲持ってきました! 熱中症に気を付けてください」と“あついのはもういやだ”を披露し、記録的猛暑となった当日にぴったりの楽曲で涼やかな雰囲気に。
MCでは七夕トークを繰り広げ、「去年、今年と同じ願い事をしておりまして、みんなの願いが叶いませんようにと短冊に書かせていただいております」「叶うとみんなの願いが叶わないという」持ち前のユーモラスなキャラクターで笑いを誘った。
ナナジュウハチ本人がSUKISHAの楽曲で最も好きだと語る“4分半のマジック”では、フロアでオーディエンスと共に横揺れで盛り上がるナナジュウハチの姿も。
華麗なDJ繋ぎでそのまま“Choice”へ。
往年のシティ・ポップを醸す、懐かしさを感じさせるビートで、会場は心地よいダンスフロアへ。
「場当たり的なMCとかしないほうがいいと言われるタイプなので、喋らずにもう一曲増やします」と、“心の在処”を披露。
そして文学的な詞を噛み締めるように、しっとりとした曲で会場のムードも夏夜の渦へ。
最後は代表曲“釈迦の手のひら”。
奥行きのあるサウンドでオーディエンスを揺らし、大きな拍手でイベントのスタートを飾った。
Sincere
サポートギターを迎えてのDJセットでの出演。
“Are you”からはじまり、安定感のあるパワフルな歌声と力強いパフォーマンスに、1曲目から観客の目を独り占めするSincere。
夏を感じさせる“water”でハンズアップを促し、続く“Good Girl”では、サビのフレーズ『you, you, you』でひとりひとりに指をさし、全員の目を見てパフォーマンスする姿にフロアの熱気も一層上がっていく。
「3曲続けて歌っちゃったんですけど、久しぶりのエレキセットで楽しみにしていました。“PANDE3IC”、最後まで楽しんでいってください」
代表曲“no pride”はリズミカルでありながら、夏の暑さを和らげてくれるメロウ感。涼しげな空間へ。
「ここで1曲カバーを歌います。…何の曲にしようか」と話したのちにギターでの演奏が始まる。
なんとここでAlicia Keysの名曲“If I Ain't Got You”のカバーを披露。
エレキギターとボーカルのみで構成された贅沢なカバーに聴き入ってしまう。
続けて、先日リリースされたばかりの“dawn”。曲終わりには、ライブでの披露を待ち望んでいたオーディエンスから温かい拍手が。
終盤にさしかかり、“I'll be”。リズミカルなギターとグルーヴ感たっぷりのリズムに身体を揺らし、そのまま最後の曲“Miss the Light”へ。
圧倒的歌唱力と表現力、夏らしいセットリストで、最後まで笑顔いっぱいのライブとなった。
ナナジュウハチ
ステージ装飾・インテリアや映像にこだわり、ライブ全編にVJを入れ込んだ本人のクリエイティヴの粋を集めたこのイベント。
サポートメンバーはキーボード&シンセベースにモリシタヒビキ、ドラム&MPCに松浦綸、そしてギターにはKlang Rulerからgyoshiが参加した。
ゲームを題材にした印象的なSEと共に、ダメージデニムのフリルをあしらった個性的なディティールのワンピースで登場。
ワクワクする雰囲気の中、“dive”から演奏がスタート。
夏の恋をテーマにした刹那的な楽曲がオープニングに相応しいムードを醸し出す。スタートからナナジュウハチワールド全開でお客さんを虜に。
「今日はよろしくお願いします!」とMCもそこそこに、流れるように“LOSE PLAY”へ。
先程とは違うオトナな雰囲気とスムースな動きで、サビのブレイクキメの部分では頭を揺らして躍らせていく。
3曲目へ移行するinterludeで、自身がリメイクしたブルーのフリルタンクトップへ早着替え。先程のエレガントなスタイルから一変、全体的に夏らしくスポーティーな印象に。
maeshima soshiによるポップなダンスチューン“QQ”では、爽やか曲とは裏腹に会場は熱気も最高潮に。
オープントースターの「チーン」という音が鳴り響くと、SNSで累計80万再生を記録したヒット曲“recipe”へ。撮影するオーディエンスも多く、横揺れしながら聴き入っていた。
ドラムからビートをはじめると、インストのセッションコーナーへ。ソロ回しと共にサポートメンバーの紹介をし、大いに盛り上がった。
「まだまだ盛り上がっていけますか? 最後までついてきてね」とフロアを煽り、セッションからそのまま流れるように“lock”へ。
グルーヴ感のあるリズムと覚えやすいサビのメロディで、口ずさむオーディエンスも多くみられた。カメラ撮影に夢中になるファンに向かって鍵をかける手振りをするなど、ライブらしい姿も印象的。
「盛り上がってますか!」「みんなで乾杯しよう」と煽ると、ライブでも人気の楽曲“mega high”。
キーフレーズの『mega high』をコールアンドレスポンスで掛け合い、『踊れやシモキタ!』と暑さに負けない盛り上がりを生み出していく。
「新曲を初披露してもいいですか?」とクラップを煽ると、イベント開催時点では未リリースの新曲 “hysteric”を初歌唱。
王道のディスコチューンで、オーディエンスは手を挙げて初披露とは思えない壮大な盛り上がりをみせた。
「35分もあったけどあっという間に最後の曲です」と告げると、ジャジーな雰囲気のセッションでクールダウンして、最後の曲“月面タクシー”へ。
「SUKISHAさん、Sincereさん、ご出演ありがとうございます! 私が本当に、本当に大好きでお願いして出ていただけることになって嬉しかったです。ステージの下でみんなと一緒に盛り上がれて楽しかった!」と感謝を述べ、「また来てくれるかな? またどこかで必ず会おうね」ファンにも挨拶。
ライブ終盤までのダンスチューンとは一転し、前半は全てピアノ伴奏のみのバラードアレンジ。
ボーカルとピアノで歌をたっぷり聴かせ、最後に歌唱力の高さをしっかりと見せつけた。
“月面タクシー”はリリースはされていないものの、昔からライブで披露されている知る人ぞ知る名曲。
最新曲がたくさん並ぶ中、ラストは昔からのファンたちに馴染みのある楽曲で本編の幕を下ろした。
そしてアンコールでは、新曲“hysteric”のリリース・MV公開と新アーティスト写真、新アーティストロゴを発表。
「もともと今日改名しようしていたんです。初めてステージに立つためにパッとつけた名前をずっと使っていて、英語のカッコいい横文字にしようとか思っていたけどやめました! 本当は“hysteric”は改名一発目の曲になるはずだったんですが、“ナナジュウハチ”という名前でやっていこうと決めた新1曲なので楽しみにしていてください!」
と、リリースにあたり改名を考えていたことも告白し会場を驚かせた。
熱気冷めやらぬオーディエンスへ、ここでサプライズが。
「これからもっとアツいことが起こります。MV撮影を今ここでみんなとします!」
新曲“hysteric”をアンコールでもう一度披露し、Music Videoの一部に使うと発表。
オーディエンスにも同時に撮影を求め、その映像も後日集めてMV使用すると伝えると、会場は大いに盛り上がった。
最後は全員で再度新曲“hysteric”を披露。スマホで撮影しながらハンズアップして空間が一つになった。
「皆様のおかげで良いものが出来たのではと思います! ありがとうございます!」とのコメントに大きな拍手で締め括られ、『PANDE3IC vol.4』は幕を下ろした。
「夏の昼間から日没まで」をテーマに構築したと語るダイナミズムを感じるセットで、また新たなナナジュウハチを魅せつけたステージとなった。
ナナジュウハチの“パンデミック”が起こるのは、もうすぐかもしれない。
文:luna
写真:Mizuki Tsuji|Yuma Kanai(ナナジュウハチのライブ写真のみ)