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トップニュース憲法をロックに乗せた1971年の名盤『日本国憲法~平和・自由・愛』が臨時再発。構成を務めた喰始(WAHAHA本舗)「人々が今からでも日本国憲法に興味を持つきっかけになればいい」

憲法をロックに乗せた1971年の名盤『日本国憲法~平和・自由・愛』が臨時再発。構成を務めた喰始(WAHAHA本舗)「人々が今からでも日本国憲法に興味を持つきっかけになればいい」

2026.04.17

羅生門オビ付.jpg

1971年に羅生門がリリースした「70年代日本の最も奇妙なロック・アルバム」と呼ばれる『日本国憲法~平和・自由・愛』がCDで臨時再発される。
 
本作は、憲法をロック・サウンドに乗せて第一章から第十章まで歌い上げたもので、当時はモップスのコンサート演出や国民的テレビ番組『ゲバゲバ90分!』を手掛けていた喰始(WAHAHA本舗)のアイデアによる企画作品。
 
ブラスロック、ソフトロック、ブルース、プログレなどの要素を含んだ1971年ならではの豊潤な音楽性は、クニ河内(ザ・ハプニングス・フォー)の作編曲によるもの。
シングル・カットされた「戦争の放棄 c/w 天皇」は、ラジオの深夜放送ではリクエストも多く好評だった。
 
近年になりコンセプト・アルバムとして、またニューロック期の異色作として高く評価されるようになったが、2026年の現在、また別の価値がこのアルバムに生まれていることは間違いないだろう。
CDは憲法記念日の直前の4月22日(水)にリリースされる。流通の問い合わせはこちら
 
【「羅生門」について】
ザ・ハプニングス・フォーのぺぺ吉弘が、抜群の歌唱力をもった日系ハワイアンのポール・リー(ザ・ハーフ・ブリード在籍)を誘って、1971年に結成したバンドであり、赤坂にある同名のお店「羅生門」で演奏していた。71年9月にファースト・アルバム『日本国憲法~平和・自由・愛』をリリース、72年1月に2作目のアルバム『インディアン、死より赤を選ぶ』をリリースしたが、いわゆるハコバン中心の活動で表立った成果はなく短期間で消滅した。ネット上などで「クニ河内が結成したグループ」という記述があるが、それは間違いである。

喰始(構成担当)インタビュー

羅生門オビ付.jpg

──アルバム『日本国憲法~平和・自由・愛』が発売された1971年というと喰さんは23歳で、放送作家として関わっていた『ゲバゲバ90分!』が終わった年ですね。
 
「その頃、テレビだけではなく、とにかく自分はおもしろいことをやりたいんだなんて云ってたら、テレビ業界ではめんどくさい人だって思われたみたいで……。ちょうどアトランティック(レコード)の人から<びっくりシリーズ>という企画物レコードの依頼があったんですね」
 
──皆が驚くような奇妙なレコードを作ってほしい、みたいな話でしょうか?
 
「じゃあ、日本国憲法に曲を付けてみたらおもしろいんじゃないか、って企画を出したのね。僕は日本国憲法に詳しかったわけではなくて、ただの思いつきだったんだけど、曲を付ける憲法を選ぶために初めて日本国憲法をちゃんと読んでみたら、これはおもしろいな、と気付きました。民主主義そのものであって、国は国民の為にあり、国民の権利や義務を守らなければならないというところが、それまでの憲法と違ったんでしょう」
 
──当時としても非常に斬新な企画ですよね。
 
「企画物だけど、ただ面白がっているだけではいけない、テーマがテーマなだけに本気で作らなければいけないと思い、憲法のチョイスも大変でした。僕は録音には立会ってはいないから、羅生門のメンバーとは挨拶くらいだったけど、音楽もそんな完成度に仕上がった。でもこれが売れなかった(笑)」
 
──レコードのオビにある「音楽が美と燃焼それ自体にとどまらぬ「力」であり得るなら、われわれもまた、憲法を護る側に組するであろう」というキャッチコピーは素晴らしいと思います。
 
「それは「戦争の放棄」(第二章)のことだろうね。今、これは日本が戦争に負けてアメリカが作った法律だからって改憲派が騒いでるけど、誰が作ろうがいい法律なんだからこれでいいんだよ。国家主義というものがまた始まってきて嫌な空気になってるね」
 
──アルバムと同時にシングル・レコード「戦争の放棄 c/w 天皇」が発売されていますね。
 
「あの時代、レコードに「天皇」という言葉が入るだけでも、それはもう大変なことですよ。明星とか平凡の付録の歌本ってあったでしょう。あれに今月の新曲として掲載されて、なぜか「作詞:喰始」と書いてあった(笑)」
 
──当時の若者の風潮として、音楽でも映画でもあらゆる表現に反体制的な要素を盛り込むというのは普通でしたよね。
 
「それはファッション的にもそうだったし、大人に憧れるのではなくて、大人にもの申すみたいな感覚はみんなあった。例えば自分が喧嘩したプロデューサーなんか大人って云っても10歳くらいしか違わないんだけど。戦中派と戦後派の差は大きかったよね。その後に戦無派ってのも出て来るわけだけど」
 
──若者たちが憲法について議論するようなことはあったんでしょうか?
 
「ないですね。意外に学生運動やってる連中でもちゃんと憲法を読んでるなんてことはなかったと思う。他に議論するようなことはいろいろあったのでしょうけど」
 
──当時と現代では、このアルバムの存在価値が変わってしまいましたね。
 
「人々が今からでも日本国憲法に興味を持つきっかけになればいいよね」
 
2026年4月8日 ワハハ本舗株式会社にて/聞き手:サミー前田
 
【喰始(たべはじめ)プロフィール】
1947年12月25日生まれ。劇団WAHAHA本舗主宰。演出家、放送作家、脚本家ほか。音楽制作では、モップス、井上陽水、RCサクセションのコンサート演出、モップスの作詞など。

商品情報

羅生門『日本国憲法~平和・自由・愛』

品番:BQGS-1971
仕様:CD(コンパクトディスク)
定価:1800円+税
レーベル: VINT-AGE
流通:VIVID SOUND
発売日:2026年4月22日(水)

【収録曲】
1. 第一章 天皇
2. 第二章 戦争の放棄
3. 第三章 国民の権利及び義務 part1
4. 第三章 国民の権利及び義務 part2
5. 第四章 国会
6. 第五章 内閣
7. 第六章 司法
8. 第七章 財政
9. 第八章 地方自治
10. 第九章 改正
11. 第十章 最高法規

羅生門:
杜吉弘(ペペ吉弘):ベース、リーダー / ザ・ハプニングス・フォー
ポール・リー:ボーカル、ギター / ザ・ハーフ・ブリード
近尾春親(近田春夫):キーボード / 元エモーション
金沢ジュン:ドラム / 元エモーション
金子道大:フルート、サックス

構成:喰始
作曲:クニ河内、ポール・リー
編曲:クニ河内
オリジナルリリース:1971年9月

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