作家・瀬戸内寂聴が新刊『寂聴 九十七歳の遺言』(朝日新聞出版)を発表しました。 愛する人との別れ、 誰も手を差し伸べられない孤独、 突然襲ってくる理不尽な不幸、 そして老いと死。 九十七歳の今だからこそ、 答えを残しておきたい――本書は、 瀬戸内寂聴さんが作家人生を賭けて、 生と死の大問題に答える「遺言」だ。 瀬戸内寂聴は刊行にあたって、 こう話した。 「九十七歳、 今日死んでもおかしくない年齢です。 みなさんに伝えたいこと、 生きるうえで大切なこと、 すべて書き残せたので『遺言』と題をつけました。 46回目の得度記念日に出版の報告ができたのも仏さまのご縁でしょう。 ほんとに有り難いことです」
本書は〈第一章〉生きることは愛すること 愛することは許すこと〈第二章〉「ひとり」は淋しいか〈第三章〉「変わる」から生きられる〈第四章〉今この時を切に生きる〈第五章〉死ぬ喜び の5章構成。 人生の最終章をどう納得して生ききるか。 誰にとっても切実なテーマに、 救いとなる言葉が本書にはあふれている。
・健康の秘訣は、 よく笑うこと。 幸せの秘訣は、 誰かを愛し、 許すこと。 人生の秘訣は、 孤独を飼い馴らすこと。
・愛のうえには、 皮膚のように、 孤独が張りついている。 だから、 人間は死ぬまで淋しい…
・多く傷つき、 多く苦しんだ人が好きです。 その分、 愛の深い人になれるから…
・私たちは、 誰かのために、 誰かを幸せにするために、 この世に生かされているのです。
・あなたを見て心が明るくなる人が必ずいます。 誰でも誰かの生きがいになっているのです。
・誰かの幸せのために自分のやりたいことをやりなさい。
・死についても、 楽しく考えたほうがいいわね。
・死んだら死にっきり、 一度ぐらい死んでみないと損。
・死ぬ時は、 みんな顔がとても美しくなる。 あなたも私も、 一番いい顔で死んでいくんです。
・大丈夫。 いかなる闇にも、 必ず光は差します。
出版を記念して11月14日、 京都・嵯峨野の自坊「寂庵」で記者会見が開かれる。 そこで寂聴さんがどんな言葉を紡ぐのかにも、 いまから注目が集まっている。