バンド音楽を飛び越えたい
写真 稲垣ルリコ
──続く「Re:」もエモやシューゲイザーなどの美しい曲で、最初オルタナに寄ったアルバムなのかなと思ったのですが、そのあとの「juice」、「Fall in love」、「how are?」とすごく実験的でポップな曲がアルバムの幅をぐっと広げています。まず、「juice」はシティポップな感じのオシャレな曲で、「ダンスホール」に雰囲気が近いですね。
みうら:そうですね。これも『Summer days』に入れようと思っていたんです。最初は編曲が全然違ったんですけど。編曲について前のマネージャーさんに、「こうじゃない方がいいと思う」って言われて。僕はそれには共感できなかったんですけど。でもそのときはとりあえず時間がなかったっていうのと、チーム内に納得してない人がいる状態で曲を出したくないなと思って、一回全部白紙に戻してもう一回作り直したら、めっちゃ良くなりました。Gateballersとか、YeYeさんとか、サビの三拍子になってから入ってくるギターとかは、Radioheadをイメージして作りました。歌詞は、「会いたい」っていう気持ちだけでどこまで書けるかなと思って、女性視点で書いたラブソングです。ようやく出せて良かったです。すごく思い入れのある曲ですね。
写真 稲垣ルリコ
──「Fall in love」はヒップホップのリズムとチャイナ風のギターが印象的ですね。
みうら:この曲だけ打ち込みですね。アルバムで言うと一番最後にできたんです。なかなか完成しなくて、この曲なしでも流れ的に綺麗だったんで、もう9曲でアルバムにしようってなってたんですけど、レコーディングの4日前ぐらいに有明が「やっぱりどうしても入れたい」って言って、そこからバッと作ったって感じだったよね。
有明:本当はリード曲にしようと思っていたんです。キャッチーな曲がないからこのアルバム。メロディーにすごくインパクトがある曲がないっていうか、別の部分に重きを置いている曲が多かったから、メロディーに一番重きを置いている曲を一曲やっぱ入れたくて。それがレイラらしさだとも思うし。それで無理やり入れました。
──打ち込みの音とアコースティックギターの音色の対比がいいですね。<我愛你>だからチャイナ風なんですか?
有明:あと、ちょっと和メロっぽかったんで、そういう感じのアレンジにしたいなって。最初サビだけ歌詞ができてて、メロディーも同時に浮かんだんで、「じゃあラブソングにするか」と思って。だからラブソングっていうか、「juice」みたいな情景があるっていうよりは、でっかい心の内の愛の曲って感じのイメージで書きました。
──次の「how are?」もサウンドはロックだけどシンセの音がメタリックで、いいアクセントになっていますね。
みうら:「how are?」は今のインディーロックみたいな、グランジっぽいイメージです。イントロとアウトロの部分は、『オズの魔法使い』の主題歌みたいな、昔のアメリカのトラディショナルな曲をイメージしてて。遊び心ですね。なんか、昔はすべてに意味がないといけないと思っていたんですけど、余白とか遊びを入れたいなって思うようになりました。
写真 稲垣ルリコ
──今回のアルバムの要素として、打ち込み感とギターの鉄っぽい音がすごく印象的です。なにかそういうテーマがあったんですか?
みうら:バンド音楽を飛び越えたいなと思ってるんですよね。今って、あんまりバンドが流行ってる感じじゃないじゃないですか。僕、大学生の弟がいるんですけど、ヒップホップ聴いてるんですよね。僕らがバンドを始めたときにアンダーグラウンドだった場所がどんどんメインに上がってきていて。このアルバムを作るときに、日本とか世界のトップチャートをずっと聴いていたんですけど、そこにあまりガチガチのバンド音楽が並んでるイメージがつかなくて。このアルバムの最初の出発地点はそこなんですけど、そこに並ぶアルバム、曲をどうやったら書けるんだろう? みたいな。でも、かといって全然違うことやるのは違うなって。自分たちでありながら、自然とその枠を飛び越えられるような曲を集めたアルバムにしたいなと思って、今回はこういう形になりました。今までは歪みエフェクターがあればもういいやって思ってたんですけど、もうちょっと面白い音を入れると新しい聴こえ方になるんじゃないかなっていうのをすごい考えてて。音の面白さみたいなのは意識的に入れていきたいなって思って作っていました。
──この3曲はスムーズにレコーディングできたんですか?
みうら:そうですね。サポートの2人もすごい分かってくれてて。僕らよりもその3曲が行きたい方向性に関するノウハウが濃い2人に頼んでいたので、いろんな引き出しを出してもらいました。今回のアルバムができたのも(レイラの)メンバーが2人だからだなって。良くも悪くも「バンド」っていう形にこだわらなくてもいいじゃないですか。ドラムのメンバーがいないから打ち込み入れられるし。そういう意味では今のサポートメンバーの2人はかなり理解もあるし。「Fall in love」も、「これは打ち込みの方がいいと思う」って向こうから言ってくれて、最後の一押しになったっていうか。年上なのもあるんですけど視野が広いから、すごく自信をつけてくれるんですよね。「大丈夫だよ、そのまま行って大丈夫」って言ってくれるから、安心してチャレンジしやすいですね。
──もうなにやってもレイラになる、「レイラ」っていうジャンルを確立した3曲だなと思います。ポップさとのバランスも考えました?
みうら:そうですね。でも、アルバム全体としては、ポップはポップでも笑う感じじゃなくて「真剣なポップ」っていうイメージで作ってました。
















