今の時代に合ったもの、前へ進んでる感じのアルバムにしたかった
▲実に17年振りのリリースとなるサードアルバム『Citizen's Lights』
──ライブを観てると前はNEU!みたいなインストのクラウトロックをアップデートさせたっていうイメージが強かったんですが、今回の新作は思ったよりエレポップ的な側面もかなりありますね。
松沢:そうね、ちょっとずつシンセが増えてきたからかな。
──人力テクノとジャーマンロックとエレポップみたいなのが半々みたいな。ただただ無機質なわけではなくエナジーがあって、尚且つメロディもすごくよくて、ほどよい温かみもある。
松沢:メロディ作るのはもうパズルだよね。こういう感じに人の気持ちを持っていきたいっていうのは頭にあるんだけど、そうするにはどれがハマるのかを探ってく感じ。
──80's風味もかなりありますが、別にニューウェーヴ・リバイバルとかポストパンクをやりたいわけじゃないですよね。
松沢:そういうつもりはないね。それだったらまた違う形になっちゃったと思う。ただもともとそんなにジャンルに特化したいと思ってたわけじゃなかったし。でも、同じ世代の友達に今回のアルバムを聴かせたら「なんか懐かしかった」って言われたから、やっぱりどっかそういうのあんだろうなと。
──立ち位置はちょっと難しいとこにはいますよね。エレクトロ、ダンスミュージックと言うにはロックだし、かといって無機質なポストパンクでもない。みんな同じかっこしてテクノカットしてるわけでもないし。
松沢:だからジャンルは言いづらいよね。“エレクトロ・ロックバンド”ってことになってるけど。
──とはいえ、ほんとにいいアルバムなんでいろんな人に聴いてもらいたいですよ。どの曲もいいですが、「Can't Resist」なんて本当にめちゃくちゃ名曲で。
松沢:ああいうコードワークっていうのはほぼほぼ初めてで、今まで1コードの曲がほとんどだからさ。といってもこの曲はギターは全部ワンコードでベースのリフだけコードワークがあるんだけどね。CUREで同じようなタイプの曲(「Just Like Heaven」)があって、それをちょっと真似したかな。「Can't Resist」はロスのローンシップっていう友達に歌ってもらってて。
──あ、そうなんですか! 誰が歌ってるんだろ? って思ってました。
松沢:アメリカツアーの時にずっとサポートしてくれてた人なんだけど、コードだけ作ってメールで送って、それに歌を乗せて戻してくれたやつにまたバッキングを被せてって感じでスムーズに進んだね。
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──既にあるニューウェーヴの名曲みたいな存在感の曲でした。
松沢:ほんと?(笑) 嬉しいな。あとハンマービートもすごいやってるイメージがあるかもだけど、これまでまともなやつは1曲もやってないんだよね。でもこの曲ではやってみた。
──曲はシンセで作ってるんですか?
松沢:だいたいそうだね。高校生の時からちょっとした打ち込みはやってたから。ギターのリフを作る時にギターで作るとロックっぽくなり過ぎちゃうんだよね。ついついディレイかけたりするからジャムバンドみたいになっちゃって、そういうまとまり方しかしない。だけどまず1回キーボードでギターのリフを作って、それをギターでやると普通のギターの押さえ方じゃなくなるから面白いことになる。
──あのリフのちょっとストレンジな感じはそういうことなんですね。ところでアルバムは何年ぶりですか?
松沢:17年ぶり(笑)。
──そんなに間があきましたか。なんで今このタイミングで出そうと思ったんですか?
松沢:なんだろね? あともう1曲、もう1曲ってやってるうちにいつの間にかちょっと伸びちゃったってところはあるけど。コロナ前に録ったのもあるし、ライブでもやってない誰も聴いてない新しい曲もあるし。
──どんなアルバムにしたかったですか。
松沢:やっぱり今の時代に合ったものしたいってのは考えたかな。中には古い音源もあるけど戻りたくないっていうか、進んでる感じは出したいなと。
──時代の空気を纏ったものにはなってると思います。ノスタルジーやリバイバルでやってるわけではなく再構築しつつ最新の音楽として。
松沢:だから80年代のニューウェーヴみたいな部分を感じくれるの嬉しいけど、それは若い人たちには伝わんないから、そこには違うアプローチがないとダメだよなって。どんどん変わってきたとは思うけど、今が「これがだいたいのDEAD PAN SPEAKERSの形」にはなったなとは思ってる。例えばギターのリフのロック感もシンセ感もディレイ感もこれぐらいの感じかなって。
──その匙加減が絶妙ですね。シンセ シンセしすぎてもないし、こんなことやるなら全部打ち込みでいいじゃんみたいにもなってないし。
松沢:なんか合う合わないはやっぱあるよね。やっぱシンセ抜いたら寂しいね、ギター抜いたら寂しいよねっていう……ちゃんとそこが両立してないと。
















