「変態行進曲」は変態モーツァルトから倣った変態合わせ技
──それでは今回の初のフルアルバム『開通』について聞いていきたいんですが、やはり歌詞の世界がすごく独特で文学的で胸を打つようなエモーショナルな感じがしました。まず、1曲目の「変態行進曲」はどんな曲なんですか?
NEKO:これはバンドのテーマソングです。モーツァルトの「トルコ行進曲」が元ネタというかほぼカバーみたいな曲なんですけど。実はモーツァルトは変態だったっていうエピソードが有名でして。歌詞の最初に「Our ass is sign of peace treaty. Let's go! Lick my anus cleany」っていう英語の部分があるんだけど、それは「俺たちのお尻は平和条約の証だ。さあ行こう! 俺のアナルを綺麗に舐めて」っていう意味のモーツァルトが言ってた言葉のそのままの引用でして、変態モーツァルトから倣った変態合わせ技みたいな、なんか明るい曲です。はい。
──2曲目の「上昇志向」は?
NEKO:SMってプレイを重ねていくうちにやっぱり、脳イキって言って脳で感じる、というか、スピリチュアルな要素と結びつきやすいところがあるんですよね。なので射精を伴わないドライオーガズムとかの脳の状態を、スピリチュアルな単語を散りばめて説明してみた、っていう曲ですね。
──なるほど。では3曲目の「MAD」は?
NEKO:私はいま女王様なので、SMの中でもS側の気持ちのほうをちょっと極端に暴力的に表現しつつも、でもサディズムって本当は愛の世界だよっていうことを言いたい曲ですね。
──4曲目「カルマ的衝迫」についてお願いします。
NEKO:これはなぜこの業界に入ってしまったかっていう原点回帰と言いますか、歌詞の中では18の夜って言ってるけど、まあ本当は20歳ぐらいかな、初めて風俗という職業に手を出したとき。でそのときの「もう風俗落ちしてやる」みたいな気持ちを歌ってますね。その頃のなんだか反抗的な気持ちですかね。
──じゃあ、親に対する?
NEKO:まあ親とか環境。そのときの辛い環境全部から抜け出すために、駆り立てられた気持ちですね、うん。若さならではの、そういう世界が魅力的に見えたり、勢いだったり。業というかそれってカルマだなと思って。なんだかあの頃は、そういうことでしか何かと繋がれなかったなっていう歌です。
──5曲目「ルームサービス」はどうですか?
NEKO:SMの世界に入って最初はM嬢だったんです。SM歴はもう女王様歴のほうが長いんですけど、初めの多分、6、7年はM嬢だった。そのときにやっぱり金持ちのおじさんとかに飼われた(買われた)りとかして、まあ酷い仕打ちされたりとかしてたときの歌で。でも、そんな時期にMの喜びっていうのを感じてたというか理解したというか。私もその頃は結構メンタル病んでて「私なんて酷い目に遭えばいいんだ」っていうある意味自傷行為的な、そんな感じでM嬢っていうものをやってて。あとはお金のためだったりとかしてて。でもやっぱり自傷行為的な意味が強かったかな。いま思うと人の手を借りてる時点で甘いんだけど。そんな中でどうにでもなれと、とことん落ちて、開き直ってハイになる、みたいな。Mの境地になるとカタルシス的なものがあって。そんな時代の歌ですね。
──6曲目「屑」はどうですか?
NEKO:えーっと。男に振られたときの歌です(笑)。
──7曲目「僕が無様なマゾ野郎」。
NEKO:これはマゾの立場の歌ですね。私がM嬢だったときの経験と、女王様の立場から見て「Mはこういうふうにされたら嬉しいだろうな」っていう、半分半分の意味合いを込めて、理想の女王様像ってこんなだろうなぁとか、マゾはこういう世界に浸りたいんだろうみたいな。Mにとってのロマンチックな物語です。
















