ボンテージルックの衣装に身を包んで魅せるセクシーなパフォーマンス。コケティッシュな歌声。クラシック音楽をバックボーンに持つ楽曲。そして現役のSM女王様によって結成されたという話題性も抜群のバンド【ラブホテル】。
そんな注目のバンドがフルアルバム『開通』を発表! そしてサブスクも解禁されるという。
それを記念して2026年1月9日(金)新宿ロックカフェロフトにて、ボーカルのNEKOを中心にトークイベントが行なわれる。
ファンのことを"セフレ"と呼び、扇情的なSMモチーフの歌とパフォーマンスでライブ会場を熱くする【ラブホテル】。高度なテクニックに裏付けされ、プログレッシブとも呼べるようなピアノロックのサウンドに吉村由加のドラムが絡み、否が応でもテンションは上がる。何よりボーカルNEKOのセクシーな歌声にやられるが、歌詞をよく聞くと、傷口がむき出しになったようなエモーショナルさに驚かされる。毒と甘さ、痛みと美しさとグロテスクさが同居したその歌の深さ。そんな彼女に【ラブホテル】の世界観とアルバム『開通』について聞いてみた。(Interview:住倉カオス / Photo:NEKO提供)
ラブホテルは“恨みつらみ”のエネルギーでできたバンド(笑)
──まず、ラブホテルというバンドの結成の経緯について伺いたいんですが、先に「フェッティーズ」というアイドルグループがあったんですね?
NEKO:遡りまくること十数年前に「地下アイドル活動というのが盛り上がってるらしいぞ」というのを聞いてですね、六本木のSMバーで働いていた女の子たちを集めて、SM業界を勝手に盛り上げようと「フェッティーズ」を結成したんです。でもSM業界的には余計なお世話というか(笑)。「アイドルとかチャラチャラしたことしやがって」みたいに言われ、アイドル業界からも「風俗嬢なんかがアイドルを汚すな」とか結構言われて。もちろん今の世の中だったら、ああいうボンテージを着たり、ちょっとエッチな格好したりするアクの強い地下アイドルって結構いるんですけど、やっぱり秋葉原にいる可愛らしいアイドルのほうが全盛で、ああいうのは珍しかったと思います。アイドルという枠組みが今より窮屈な感じだったときに「ちょっと革命起こしてやるか」みたいな気持ちでやってたのがフェッティーズなんですね。“イロモノ枠”と言われながらも認められるのが嬉しいくらいには、気持ちはパンクでしたね。世の中に対するアンチテーゼというか。
──で、それが一旦活動休止したと、いうことなんですか?
NEKO:7年間活動してたんですが、コロナが来て。ちょうど大きなイベントを終えたタイミングでもあったし、クラスターの現場に居合わせたりして、メンバーのRなんかも年頃だったり、お互い他にやりたいことが出てきたタイミングでもあったんですね。なので前向きに「他のことやってみようか?」という形で活動休止になった感じです。で、2021年頃、コロナ中にもらった給付金を費やして機材を買って、DTMで曲作りを始めたんですが、なんか1人で音楽作ってるのもなんだか寂しいな、と思って。まだバンド人脈なんかもなかったので、周りに楽器が弾ける人ってことで、ピアノのエリーと、SM・変態界隈にいたドラムが叩けるっていう子の2人を誘ってスタジオに入ったのがバンドのきっかけです。
──なるほど。それがラブホテルの原型になるわけですね?
NEKO:そうですね。それでまあ「とりあえずスタジオ入ってみようか」みたいな感じで始まったんだけど、「なんかバンドとして続けられそう」みたいな感触を感じたんですよ。でも初めは他の2人はバンド活動したくなかったんですよね。
──へえ!?
NEKO:エリーは「私、バンド向いてないからなんかやりたくない」みたいなことを言ってたんですよ。やるなら、ちゃんとお金儲けられるような真面目にやるんだったらいいけど、みたいな。で、もう1人のドラマーは、なんか昔バンドやってたときにいじめられたから、楽しいことだけやりたい、って言ってて。2人ともバンド活動に対して意欲的じゃなかったのを私が言いくるめて。「まあ、分かった、分かった。でもちょっとだけオリジナル曲とか作ってみよ」とか「ま、楽しいことだけとりあえずしようよ」みたいな(笑)。エリーには「稼げるところ知ってるから」って言って、騙し騙し結成しました(笑)。
──コンセプトはあったんですか?
NEKO:曲はとにかくピアノが一番かっこよくなるように作って、あとはドラムもボーカルもピアノに合わせてっていうふうにして。フェッティーズの流れを組むと、まあSMとかが切り離せないコンセプトになってくるんですが、そっちはSMをポップで明るくカジュアルにってのがテーマだったんです。でもSMってそれだけじゃないから、こっちのバンドはもっと本質的なドロドロした世界を表現したくて。それにエリーのピアノを合わせてっていうのがコンセプトかな。
──バンド名はどうして「ラブホテル」になったんですか?
NEKO:そのとき私が高木完さんの仕事をしていて、バンド名の相談したら「ラブホテルズがいいんじゃない?」って言われて。それいいな、って私もエリーも思ってたのにドラムが「ラブホテルのほうがいい。そっちのほうがインパクトがある」とかかなり強めに主張してきて。なんかわがままだったからちょっと押し切られちゃって。結局すぐやめちゃうのに。未だに完さんには「絶対ラブホテルズのほうが良かった」って、4年経っても言われます(笑)。
──フェッティーズもラブホテルに関してもやはりNEKOさんの中では“SM”というのが大きいんですか?
NEKO:そうですね。自分がこの十数年SMを生業にしてきて、もともとは別にSMを仕事にしたかったわけじゃないんだけど、何かを、夢を追いかけるには仕事をしないといけないじゃないですか。その効率のいい仕事がたまたまSMだっただけなんだけど。短時間高収入とかになってくると風俗の仕事とかが選択肢に出てきて、その中でもやっぱりSMが、面白くて続けられたっていうところではあるんですよね。性の世界だから楽しいことばっかりじゃもちろんなくて。しかも金のために働いてたから多分普通は嫌なこととかもさんざんやってきて。でもだからこそ見えた世界とかがあって、それを言葉にして音楽に載せることで、なんか自分の中で浄化というかアートとして昇華したかったというか。そうね、どちらともかな。やっぱり私は辛いことのほうが、言葉やエネルギー源にはなるというところがあるかも。だからラブホテルは“恨みつらみ”のエネルギーでできたバンドですね(笑)。
──怨嗟のバンド的な、感じなんですね。
NEKO:うん(笑)。
















