昭和アニソン大合唱は、カラオケやクラブイベントとも違う、新しいスタイルの参加型イベントです。客席でフードやドリンクを味わいながら、音楽や映像に合わせて好きなフレーズを好きなように歌ってください。サブスク全盛のいま、昭和の音楽は懐かしむだけのものでなく、現在進行系のコンテンツです。今回は東京女子流の「新井ひとみ」が昭和カルチャー研修生として参加。コスプレイヤーでありアニソン＆特ソンに特化したDJとして大活躍中の「コスプレ声ちゃん」と一緒にイベントを盛り上げます。詳しくはRe:minderの特設ページをチェック！
Re:minder clubが主催する体験型イベント『昭和アニソン大合唱 vol.1』の開催がいよいよ目前に迫ってきた。確認しておくと、開催日は2025年12月5日（金）、会場は東京・渋谷のLOFT9 Shibuyaである。ところで、第1回のテーマに “1970年代のアニソン” を取り上げるといっても会場にはどんな人々が集うのだろうか。その点を考えながら、現場ではいかなる体験ができるのかを想定してみたい。
アニメ “再放送世代” の脳裏に刻まれた記憶
まず想定されるのは、1970年代アニソンに愛着を持つ世代だろう。ただ、ひとくちに1970年代といっても、『あしたのジョー』『魔法のマコちゃん』（1970年）と、『機動戦士ガンダム』『ベルサイユのばら』（1979年）とでは放送された時代背景がまるで違う。大阪万博が開催され、よど号ハイジャック事件や三島由紀夫事件があった1970年と、初代ウォークマンが発売され、インベーダーゲームの大ブームとなった1979年とは明確に空気が異なっている。
Re:minder読者の中心層を考えると、当時の万博で月の石の行列に並び、『あしたのジョー』や『魔法のマコちゃん』をリアルタイムで観ていた人はまずいないだろう。むしろウォークマンに憧れ、再放送のアニメに夢中になった世代が多いのではないだろうか。そう、あの時代、夕方、早朝、あるいは夏休みの午前中といった時間帯は、アニメが連続して再放送される子どもたちにとってのゴールデンタイムだった。人気作品の再放送は一度きりではないし、多くの番組が帯で連日放送されるため、来る日も来る日もオープニングとエンディングを耳にする。覚えようとせずとも、歌詞とメロディは脳裏に深く刷り込まれた。
最新J-POPの歌詞はあまり知らないが、「♪デビルアローは超音波」で「♪デビルイヤーは地獄耳」であることは即答できる。“LE SSERAFIM” をどう読むのかは自信ないが「♪この頃はやりの女の子」がどんなタイプなのかはよくわかる。年齢を重ねたことで照れもあるし、そもそもカラオケに行く機会もめっきり減った。そんな大人たちにとって、ドリンクやフードを味わいながら着席して楽しむ “大合唱" のスタイルはなんと気楽か。
『科学忍者隊ガッチャマン』『マジンガーZ』『バビル2世』『エースをねらえ！』『魔女っ子メグちゃん』『宇宙戦艦ヤマト』……。歌詞を見ないでも歌える曲が次から次へと流れてくる。音程を気にせず思い切り歌って心を解放できる。周りには同年代の仲間もいる。その安心感はデカい。
新井ひとみが語る昭和カルチャー
一方で、昭和カルチャー研修生として本イベントに出演する新井ひとみ（東京女子流）のファンも駆けつけるだろう。“アイドル戦国時代" と呼ばれた頃から長らく活動を続けた東京女子流は2026年3月の解散を発表しており、現在はラストスパートとして精力的にライブを行なっている。そんな日々のなかで、彼女が大好きな昭和カルチャーについて自由に語る姿を見られるイベントは、ファンにとって貴重な時間となるはずだ。
特に、本人が幼少期から親しんだ「キャンディ♡キャンディ」や、オーディションで歌ったという「キューティーハニー」を近い距離感で一緒に口ずさめるのはレアな機会である。それだけでチケット代のもとがとれるのでは？
まんだらけ出身DJが保証する後追い層への優しさ
さらに、2000年代にコスプレイヤーとしてシーンを牽引し、現在はアニソン＆特ソン専門DJとして活躍するコスプレ声ちゃんの出演も見逃せない。2000年代の『まんだらけ』コスプレ店員時代から、当時の流行アニメではなく昭和作品に注力していた彼女の選曲センスは、コアなファンから絶大な信頼を得ている。クラブイベントともカラオケイベントとも違う “合唱" を大きく銘打ち、トークも楽しめるこの場は、声ちゃんファンにとっても得難い場となるだろう。
そして、昭和アニソン後追い層の参加も予想される。新井ひとみの出演からもわかるように、本イベントはコアなマニアの集まりにはならない。中身はそれなりに濃い。マニアックな曲も取り上げるが、新しい音楽ファンに門戸を開いたスタンスをとっている。コスプレ声ちゃん自身も『まんだらけ』の店員になってからアニメに詳しくなった人物だ。後追い層のマインドは誰より理解しているのだ。
シティポップを掘り尽くした若者にとっても宝の山
また、会場には感度の高い音楽ファンの姿もあるのではないだろうか。サブスクリプションが普及し、あらゆる時代の音楽がフラットに並列化されてから久しい。そんな今、80年代アイドルやシティポップは掘り尽くしたという若年音楽ファンにとって、1970年代のアニソンは “宝の山” だ。
この時代のアニソンは、ジャズの匂いのするものから、洗練されたポップス、ダイナミックなブラスサウンド、当時最先端のシンセサイザーを取り入れた楽曲など多種多様である。DJタイムでは、メジャー曲はもちろん、知られざる名曲、サブスクにはない楽曲など、その全てがオリジナルのアナログレコードでプレイされる。ここは刺さるポイントだろう。
昭和の雑貨や古着とともにレコードを買い集めているという新井ひとみは、“新しい音楽との出会いの場にしたい” と語った。その言葉通りとなるのではないか。『昭和アニソン大合唱 vol.1』は、異世代と異文化とのコミュニケーションの交差点になる。世代を超え、価値観を超えて、1970年代アニソンの熱量を全身で受け止めよう。
