“良いイベントだよね”を更新し続けながら『FASTMUSIC CARNIVAL』を続けていきたい
──では、今年が2回目の開催となる『FASTMUSIC CARNIVAL』について。一昨年の初回を振り返ると、いかがでしたか？
オゼキ：試みも良かったし、これを継続していくと何かが生まれるというイメージはできたんですが、認識であったり思いが4人全員違って多少の誤差がある。自分たちの主催イベントとしてどこを売りにしてどこが大事にしているところなのかが定まってなかったから、今回の2回目でもう少しそこが掴めると良いなと思っていて。Benthamが主催していて、どのバンドを呼んでどんな空気感でということを、やる手前の段階からちゃんと考えて主催することが大事だと思うしそれを考えながら。初回を汲んで前よりも良くしたい、もっと上手くやりたいと思っている状況ですね。
──前回はチケットもソールドアウトしてとても賑やかで、お客さんを見てもとても良い雰囲気と感じましたけどね。
オゼキ：初回が良すぎたところがあるのかもしれないです。だから今回ももちろんソールドアウトを目指すけどお金を稼ぐためにやっているわけでもないし、世の中にいっぱいイベントもある中で“なぜやるのか”という部分をもう少し考えながら今、やっていますね。
──視点はもう完全に今年に向いてますね。他のメンバーにも伺いましょうか。
須田：バタバタしていて“これもやるべきだった”とかがあったんですけど、終わってみるとすごく良かったというのが前回の印象で。ライブがノンストップだったのでステージ移動も空き時間がないし、でも全ての出演者を見たいし（笑）。運動会をしているような1日でヘトヘトでしたけど、最後に自分たちのライブの時にお客さんが結構残ってくれていて、それも嬉しかったですね。ただ一つ残念だったのは、打ち上げの参加人数が（出演者の数に対して）少なかったことですね（一同笑）。
辻：逆に、「〇〇の友達です！」みたいな人が残っていたり（笑）。
須田：その日がどういうイベントだったかというのは打ち上げで結構、表れるような気がしていて。今回はどういう形で終われるのかなというのも若干、楽しみではありますね。
辻：いま須田も言ってた通りで、自分たちの入りから出番までが長すぎて本当にヘトヘトで次の日は何もできないぐらい疲れたんですけど（笑）、新宿LOFTだからできたと思いますし、LOFTの方たちの力、老舗ライブハウスのありがたさをすごく感じました。打ち上げも遅くまでしたし、打ち上げまでたどり着いてからイベントを企画したんだなというのを実感できた感じでしたね。自分もいろんなバンドをちゃんと見たいなと思ってて、どっちのステージも行ったり来たりして楽しいな〜と思いながら、集まってくれた仲間にも物凄くありがたいなと思いました。
──前回の出演者は19組でした！
辻：その反省を踏まえて今回は少し枠を削ったほうが良いのかな……とか調整しながら、今年に向けて頑張っているところです。
鈴木：打ち上げの話で、（直接は）知らない人がいたというのがそれはそれで結構、良いことだと思ってるんですよ。盛り上がらないと、打ち上げにわざわざ残りたいって思わないと思うし（笑）。
須田：（フェスそのものに）魅力があったということだと思うしね。
鈴木：うん。自分たちが今までやってきた歴史の中で関わった人が良い感じで集まってくれたし、その時に初めて知り合うバンドもいて良いきっかけになったと思ってますし。そういう意味では自分たちが仲良い人だけでなくて今回も、いろんなバンドに声をかけたいなと思ってます。
──今年どうなるかは当日の現地で感じるしかない、ということで。出演者に関してはちょうど、第一弾の発表がありましたね。
須田：前回も出てくれたバンドもいますし、ずーっと仲が良いバンドもいますし。SAKANAMONは一時期は年間でいちばん一緒にツアーをしてたし、irienchyは前回も出てくれていて「今回も頼む！」って。CAT ATE HOTDOGSは関西で、「若いけどBenthamと合うと思うんだよね」ってブッキングしてくれたイベントで出会った良いバンドで、タイミングでいつか一緒にやりたいねと言っていた中での今回。Ezoshika Gourmet Clubは今年かな？ 知り合ってメチャメチャ気に入って「今年、何かある時は誘っていい？」って言ってて（笑）。ナードマグネットに関しては、なんで今まで一緒にやってこなかったんだろう？ っていうバンドの一つで、今年の自分たちのツアーで初めて声をかけて大阪で一緒にやった時、口頭で今回のオファーをしていて。
──前回のように、Bemthamにとって初めまして的な出演者もいそうかな？
須田：はい、（今まで対バン等を）一緒にやったことはないけどやってみたいと思うバンドも（メンバー内で）出し合っているので、そういうバンドも結果的に出てもらえる……という想定ではいます。自分たちも刺激が欲しいですからね。対バンして良かったなと思うとテンションも上がるし、まだこんな良いバンドや音楽があるんだっていうのは常に吸収できるように続けていきたいなとも思ってますしね。
──では現時点で、今年の『FASTMUSIC CARNIVAL』への意気込みや、今年にかける思いを聞かせてください。
オゼキ：前回は手応えもありながら、初回だったので自分たちができうる限りの人脈と労力を集めて“これいいっしょ！”というものを見せる、そして蓋を開けてみたら動員が伴っていれば良いなと思って。やってみて成功したという認識で今年の2回目に向けてやっているんですけど、“こうです”とか大義名分があってやるフェスではない。自分たちがバンド活動をしていく先につながっていくイベントとして残してもいきたいから、今回はハードルがわりと高いなと思っているんですね。僕が考えていることとメンバーともまだ乖離があると思っている段階だし、まだ模索中ですけど、それがむしろ良い方向に行くと思っているんですよ。来てくれる方にも何か、伝わるようにと思いながら……トライすることと自分たちが（実際に）できることは別だけど、“やっぱりBenthamのイベントって何か違うよね”をちゃんと提示したい。第二弾、第三弾の発表も楽しみにして欲しいですし、やっぱり普通のイベントにはしたくない……うん。
須田：今の“Benthamのイベントって何か違うよね”っていう話から思ったんですけど、自分たちのバンドとしてのオリジナリティ、曲を作るにしてもライブにしても、出そうと思って出るものじゃないし、自分たちらしくやっていればそう感じてもらえるものってあると思っていて。メンバー個人個人が“このバンドって良いよね”って言えるバンドに声をかけて出てもらえるのであれば、それがBenthamっぽさになるのかなと。そもそも結成当初から趣味嗜好も違う、でも、違ってもこうして続けているというのは（お互いの）ないものに魅力を感じているからだと思ってますし。それが出れば良いんじゃないかな…と思ってます。
辻：映画で喩えると、“1”は良かったけど“2”でダメになる……みたいなジンクスがありますよね（一同笑）。でもそうはならずに伝説的に三部作みたいになる映画もあるから、このイベントもそうなったら。毎作、毎作が良くて定番な連作になっていくといいなぁ、って思ってます。
須田：確かにね、「やっぱあの映画は1作目なんだよな」みたいに言われないように（笑）。
辻：メンバーといろんな話をしてキービジュアルとかも考えながら、映画に喩えて意識してました。違う色も出しつつも、前回を超えていかないといけないですし。“1”よりも“2”だし、“2”よりも“3”だよね、って。それでBenthamのイベントは楽しくて良いバンドさんがいっぱいいて、新しい発見もあって良いよね、って。それでこの先も続いていくと良いなって思ってます。
オゼキ：今、バンドとしての俺らも頑張りたいっていうタイミングだからね。イベントが毎回（出演者やカラーが）違っても良いし、“1”よりは“2”のほうが良いよね、っていうことが。辻くんの話を聞きながら大事なのかなと思いました。じゃあ最後、社長から！
鈴木：社長（笑）。前回は大変だったけど、やったから分かることっていうのもいっぱいあって。経験値があるから、より良いイベントにできる自信が今からあります。
オゼキ：そう、経験値は大事！
鈴木：日進月歩で、絶対に良くなるんじゃないかなと思います。そして、打ち上げの時間もちゃんと確保しよう！（一同笑）
辻：打ち上げが明るくてメチャクチャ楽しい、充実した打ち上げができるぐらい良いイベントにしよう！
須田：そう！ 良い打ち上げイコール良いイベント、だからね！
