Benthamが『FASTMUSIC CARNIVAL』というタイトルで新宿LOFTのホール&Barステージを使い、初めてのイベントを開催したのは2003年秋。息つく暇もない超充実のタイムテーブルで"100パーセント満足いくバンドが集まって、一歩動き出す"と覚悟を決め臨んだこの日のチケットはソールドアウト、トリを飾ったBenthamの勇姿までたくさんのお客さんが見届けた。そんなあの日から2年の時を経て『FASTMUSIC CARNIVAL』が帰ってくる。今年の開催に向け試行錯誤しているメンバー全員のインタビューをお届けする。
前回を踏まえ、今回の開催に向けいろいろと悩み考えながら。イベントと共にBenthamというバンドはどう歩んでいけば良いのかと思考を巡らせているのが伝わりつつも、メンバー4人の姿はとても明るく、これからのBenthamの動きやあゆみに期待を持って良いのではと感じた時間だった。では、今年の『FASTMUSIC CARNIVAL』は一体どうなる?! 何やらもうすぐ第二弾出演アーティストも発表になるその前に、チケットは早めにゲットしてこの日を見届けるしかない!(Interview:高橋ちえ)
明るく楽しく、時にはケンカもしながら今のBenthamはとても良い雰囲気で歩いている
──対面するのも久しぶりですので、今年に入ってからのBenthamというところから伺っていきましょうか。
オゼキタツヤ(Vo&Gt):“ライブとは”ということを、改めて(メンバー皆で)話して。どういうスタンスでやっていくのかと方向性を考えながら、(今は)ライブの質を上げる期間ですかね。
鈴木敬(Dr):今年のスタートからそのミーティングが行なわれまして、ミーティングの後は4人でスナックにも行きました(一同笑)。
須田原生(Gt):1日中ミーティングをした後にね(笑)。
辻怜次(Ba):地元で、おじさんが来るような憩いのカラオケスナックに4人で訪問したのが今年春のミーティング後で。その前のミーティングの時は下北で、俺が駄々こねて純粋なカラオケに連れて行って歌わせて、俺は3人のカラオケをアテに酒を飲んだっていう。
──辻さんは歌わないの?
辻:歌わないです。オゼが上手いのは当然としても、(須田&鈴木の)2人には持ちネタがあるんですよ(笑)。だからメンバーと一緒にカラオケに行くのが楽しくて。
──では、辻さん以外の持ちネタだったり十八番は?
オゼキ:敬は、野猿からの長渕剛さんでフィニッシュですね(笑)。
辻:オゼはnobodyknows+で。
須田:俺は幅広いね、『紅の豚』(映画)で流れる加藤登紀子さんの曲(「時には昔の話を」)とか。季節によって(選曲が)いろいろと変わるんですよ。
辻:それがまた面白いんですよ(笑)。スナックに行った時は、スナックのママと地元のおじいちゃんがデュエットしてるのがまた良くて。地元の人が集まってるこじんまりとしたスナックでいきなり歌うのもなぁ……って(メンバー同士で)言ってたんですけど、オゼをぶっ込んで歌わせて。そしたら周りのお兄ちゃんたちが「アイツ、何か歌うまくね?」みたいな雰囲気になって、バンドでボーカルやってるとやっぱりすごいんだなと思って(笑)。
──Benthamっていうバンドやってます! とか、ちゃんと自己紹介しました?
オゼキ:「応援してね!」とか言って、バリバリ宣伝したと思います(笑)。
辻:(オゼキが歌ってから)スナックでもちょっとずつ、打ち解けられたもんね。地元から火をつけていくということで!
──話す雰囲気からも、バンド内にとてもいい風が吹いているように感じます。そもそも年始からミーティングを重ねた理由とは?
須田:去年10月のワンマン公演(@duo MUSIC EXCHANGE)が久しぶりのワンマンだったんですけど、久しぶりの曲も含めてやってみた体感もそれぞれ全員が違うので、今のBenthamにとってはどういう曲が良いのかとかこれからの曲制作もどういうふうにしようとか、そんな話から。ワンマンのライブそのものは、自分たちなりにすごく良かったので。
辻:昔のスタッフさんも手伝いに来てくださったりしてね。
須田:声をかけたわけでもないのに来てくれて、いろんな人が集まってくれる。それがすごく嬉しかったからもっと頑張らなくちゃ、自分たちがやっている良さが伝わるようにと思って。年明けからのミーティングでしたね。
──なるほど。そして春には、前の所属事務所から独立して初となるリリース(『FASTMUSIC EP』)もあって。
鈴木:去年1曲ずつ配信して、ワンマンライブがあって。そこで一区切りと言いますか。
須田:次のことを考えようみたいなタイミングになって、追加で新曲を1曲収録してリリースした感じでした。EPを出すのも久しぶりだったもんね?
鈴木:それまでは何曲か(まとめて)レコーディングしてそれに向けてツアーという形でやっていたんですけど、自主になったら自分たちでコントロールできる。なので、曲ができた順にレコーディングしてリリースしたのが去年で、今年はその曲を一度まとめてEPにして。
──ここまでの話を聞いていると、いま自分たちで進めているバンドの動きも良い感じがしますね。
須田:まぁいろいろはあるんですけど、ミーティングの後になんやかんやケンカもしましたし(笑)。
辻:僕ら、普通にケンカしますからね。
オゼキ:しかも友達っぽいケンカね、嫌な感じとか殴り合いとかじゃなくて……何て言うのかな。
須田:うーん……言えるようになった、っていうことなのかな。昔はいざこざみたいなものがあった時にあんまり言わなかったんですけど、“人の悪口を人の前で言える”みたいな感じ? じゃない?
辻:それ、イチローさんも言ってた! “悪口を言うぐらいならちゃんとその人の前で言え”みたいなことを(補足:検索するとイチロー氏が発した正しい言葉が出てきます)。
須田:そう! イチローさんと同じような感覚にはなってきてるかもしれないです、バンド内も(笑)。
辻:明るく楽しくする時はするし、ミーティングもレコーディングもちゃんとして、締める時はちゃんと締める。長いこと(バンドを)やっているのでお互いの空気感も分かるし、雰囲気としては良い感じでやれていると思います。
須田:ライブの入りとか帰りとかに「Bentham、明るくて楽しそうで良いね」とか言われるんですけど、それも作ってない雰囲気と言うか。
辻:皆でカラオケに行くぐらいですし(笑)。
──そして夏はコンスタントにライブが入っているようなスケジュールですけど、ライブを積み上げて少しずつ何か、変化などを感じたりはしていますか?
オゼキ:バンドとしての歴もそれなりにあるのでちょっとギアが上がってない瞬間があったら周りが補えるかなという感覚もあって楽なんですが、ちょっとぬるいなという部分も正直ある。思いっきりやりたいけど昔とは環境も違うしみたいなこともあったりするし、とにかく今はただ、皆で頑張ろうみたいな感じでやってますかね。
──ライブで模索を続けながら進んでいるのもまた良しでは、と思います。
オゼキ:そうですね。“こうやりたい”を、まだ見つけたいところなのかもしれないですね。
──今、バンド内での役割はどう分担されています? そもそも独立してからその辺も手探りでしたでしょう?
鈴木:一番のバンドの窓口は僕ですかね、ファンクラブに関しては須田さん。
辻:僕は、みんなの場を和ませるマスコットだと思ってます(笑)。
オゼキ:そして僕はただ、酒を飲むだけです(一同笑)。