バンド・FLAMYNGSのフロントマンでもある山岡トモタケ(通称・山さん)が自身の"武者修行"と銘打って開催する『One Loom - Premium -』。新宿LOFT・Barステージを舞台に、山さんにとって先輩バンドのフロントマンを招いての弾き語りツーマンイベントで、7月までの毎月1回開催する。第1回目は山さんの地元・福島の大先輩である藤井敬之(音速ライン)を招き、山さんもこの日から発売した限定ソロ音源『One L/Room』を披露して無事に終了...しているはずだったのだが、強風のため東北新幹線がほぼ終日にわたり運休となったため、この公演は6月8日(日)昼開催に延期となった(なお、藤井との当初のツーマンの日はフリーライブという形で山さんが一人でライブを行なった)。
ということで山さんの武者修行『One Loom - Premium -』、正真正銘いよいよスタートを飾るのが、ASPARAGUSのギター&ボーカル・渡邊忍を招いての4月17日(木)。"しのっぴ"の愛称でミュージシャン界隈でも大人気のしのっぴ、この企画に登場するのはなぜ? というのはもちろん、しのっぴが音楽を通して感じていることや山さんへの思い等々。ちょっと真面目なお話からノンストップな爆笑トークの文字化には本当に苦労したが、逆に対談を通して、このツーマンには他では見られない面白さ&深い感動が控えている予感しか芽生えなかった。見逃したらいつか、絶対に後悔する日が来るツーマンですよ、これは!(Interview:高橋ちえ)
“弾き語りってこんなに可能性があるんだ”と思ったのは忍さんのライブでした(山岡トモタケ)
山岡:今回の対談、メチャクチャ嬉しいです。ありがとうございます。
渡邊:山さんもお元気そうで。何だか最近は激しく、ねぇ?
山岡:激しく(笑)。忍さんとお会いしたのは2017年の『音開き』(@猪苗代野外音楽堂/福島県)で。それ以来、お会いはできていなかったんですけども。
渡邊:そうだ、そうだよね。でもSNS等でね、山さんの活動は勝手に存じちゃっておりました。バンドは「山岡トモタケ&CRAZY HORSE」っていう名前でしたっけ? ニール・ヤングみたいな!(補足:ニール・ヤングは「クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング」等、活動が多彩)
山岡:いやいや(笑)。僕の拠点が(フラミンゴの絵が迎えてくれる)町田のライブハウス、The Play Houseでして……。
渡邊:なるほど~、町田の暴れ馬たちがいるバンド、と(一同笑)。
山岡:はい、町田の暴れ馬たちと(笑)今年からは「FLAMYNGS」というバンド名で活動しつつ、山岡トモタケとしてソロはソロで。どっちも頑張っていこうと思ってます。
渡邊:曲は(ソロとバンドでは)違うの?
山岡:どちらでもやる曲もあります。でも今、バンド向けに作っている曲もあるので、これからは分けていけたら良いな、とは思ってきてますね。
渡邊:山さんは器用な感じがするからね。僕の勝手な印象だけど、いろんな曲が書けそうだよね。FLAMYNGSは、「CRAZY FLAMYNGS」にはならないの?(一同笑)
山岡:クレイジーになれるように頑張りたいと思います!(笑) けっこう真面目な、優等生なメンバーが多いので、ストレイテナーのOJ(大山純/Gt)さんにFLAMYNGSの音源を聴いてもらったとき、「もうちょっと毒があっても良いのかな」って言われたことがあって。
渡邊:やっぱり“CRAZY”、入れちゃったほうが良いよね~! フラミンゴは片足で立つじゃない、だから両足で立っちゃうぐらいのほうが逆に、ね!
山岡:そうですね!(笑)
渡邊:それで山さんは、新宿LOFTとズブズブ感があるよね。
山岡:もともと新宿LOFTにいた方がWHITE ASHを見つけてくれてライブに呼んでくれて、新宿LOFTに所属もしてましたので。だから確かにかなりズブズブですね(一同笑)。WHITE ASHが解散してからもどうにか新宿LOFTでお世話になれるように、という気持ちでやってきたところがありました。(ソロとして)ライブに呼ばれるようになってきて、去年、「Barのほうを使って何かできないかな?」っていうお話がありまして、『One Loom』という弾き語りイベントを去年の春から11月まで続けてきました。みんなでお酒を飲みながら(演者も)酔っ払いながらでもライブをする、それって素敵だなと思って。今年は8月16日にバンドでフェスをやるので(『FLAMYNGS FES.』@新宿LOFT)、『One Loom – Premium –』は(バンドの)フロントマンとして自分が成長するべく、フェスに向けての武者修行と言いますか。
渡邊:もう成長しちゃってるじゃない! どんだけ謙虚なのよ? (ライブ当日は)飲んでよ!
山岡:飲みます、飲みます(笑)。新宿LOFTから羽ばたいていけるように、頑張りたいと思ってます!
渡邊:アーティストってまさにそれで、お世話になったライブハウスと一緒にやっていくのも素敵だなと思うし、新宿LOFTって言ったらね、ほら、ライブハウス界の王貞治みたいな所だから(一同笑)。
山岡:メッチャ分かります、レジェンドですよね。
渡邊:山さんのそういう謙虚な、真摯に向き合っている姿がみんなの心を掴めるんだろうね。昔はSNSとかもないし情報量も少ないから何となくのイメージ感でもいけたけど、今のご時世は人となりとかその人が出しているものがけっこう感じ取られやすい環境で、ファンとかお客さんにもよく見えてるじゃない? 山さんはライブ映像とかもアップしてるでしょう、それで雰囲気とかも分かるから、お客さんも「いいなぁ」と思ってついていくのかなぁって。素直に今、そう思いました。それと山さんが弾き語りを続けてきたBarスペース、いいよね。山さんの雰囲気にも合ってると言うか。
山岡:ありがとうございます、メチャクチャ良いです! 今、「みんなの心を掴む」って仰いましたけど、僕はそれこそ2017年の『音開き』の頃が、弾き語りを始めようかどうしようかと迷っているタイミングだったんですね。(地元なので)遊びに行ってみよう、行くなら何かカバー1曲でもできるようにしようってギターを持って行ったんです。そのときに見た忍さんのステージが僕にとってはすごすぎて、「人を魅きつけるライブってこういうライブなんだな」って思って。メチャクチャ爆笑した後に、ルーパーを使ってガッツリ演って。MCと演奏のギャップももちろんあるんですけど(笑)、空気がピリッと変わる。弾き語りってこんなに可能性があるんだ、って感動したんです。自分はギタリストだったから、歌うのは得意じゃないけどギター1本でルーパーを重ねながら楽しんでもらえるなら、歌のほうをこれからもっと頑張れば良いかなと思って。それでルーパーで、弾き語りを始めたところもあるんですよ。
渡邊:なるほどね~、そうだったんだ~!
山岡:ストレイテナーのホリエ(アツシ)さんと、ゆずのカバーを一緒に歌ってましたよね。ホリエさんと楽屋でお話しをさせていただいたとき、「あんなにオシャレなコードで、ゆずを弾く人いないよ」ってホリエさんも言ってまして。あのときが、ルーパーにしても弾き語りにしても、始めるきっかけとモチベーションになったので。今回の『One Loom – Premium –』は忍さんとも一緒にやりたい、という思いで誘わせていただきました。
渡邊:『音開き』から8年ぐらい経って、それは嬉しいね。