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INTERVIEW

トップインタビュードイヒロト(セプテンバーミー)- 新宿LOFTで行なわれる能登半島地震・豪雨の復興支援ライブに懸ける思いを富山在住の立場から語る

新宿LOFTで行なわれる能登半島地震・豪雨の復興支援ライブに懸ける思いを富山在住の立場から語る

2025.03.21

 4月5日(土)に新宿LOFTで開催される『LOFT HOPE JAM MARKET~音楽と未来をつなぐ夜~』。このイベントを企画した樋口寛子氏(新宿LOFT/ブッキング担当)はかつて、東日本大震災の発災後に東北の被災地を支援するイベントを展開した。その時の経験も踏まえ今回は、令和6年能登半島地震・能登半島豪雨への支援を目的としたイベントを開催する。
 今回のイベントは新宿LOFTのホールを使ったライブと、Barステージを使ってのライブ+トークセッションがあり、さらには様々な郷土の食べ物・飲み物もお楽しみいただく予定で現在、鋭意準備中。北陸方面を中心とした飲食物も楽しんでもらいながら、ライブにトークに耳を傾けてもらえたら嬉しい。もしかして何か美味しいものが何かあったりするかな? と出かけてみる、その一歩が、思いを寄せる行動のひとつ。気構えたりする必要もなく、新宿LOFTに足を運んでくれたら嬉しい。
 イベント開催を前に、トークセッションの出演者として名を連ねるセプテンバーミーのフロントマン・ドイヒロトにインタビューを行なった。セプテンバーミーといえばかつて新宿LOFTをホームのように活動していたバンドだが、ドイは現在、富山在住。能登半島地震発災後のドイを支えるべく、新宿LOFTのスタッフやスタッフが声をかける形で加わっていったメンバーたちがZOOMを使ってやりとりを重ねてきたと伺う。そのメンバーの一人が、新潟を拠点に活動しているクリエイティブディレクター・平田英治。ドイの話に耳を傾け時に適切なアドバイスを送っていたそうだが新潟も以前、新潟中越地震があった土地である。さらに東日本大震災を経験した福島県出身・"山さん"こと山岡トモタケ。もともとミュージシャン同士で親交はあったものの、ZOOMでの会合を通してさらにドイと接してきた。このイベントは、そんな話し合いを何度も重ねてきたからこそ生まれる日でもある。
 ということで、イベント出演者も皆、能登への思いを持っているのはもちろんのこと、それこそ能登半島地震の当事者であったり、何らかで被災した経験がある者ばかりだ。今や日本国内のいつ・どこで、どんな災害が起こるかなど誰にも分からないし、最近では岩手県大船渡市で発生した大規模な森林火災に胸を痛めている方も多いだろう。今回は、北陸への思いを新宿LOFTという場所で。一人でも多くの方と分かち合い共有できたらと思う。
 ...ということで前置きが長くなりましたが。このイベントで、お一人でも多くの方にお会いできることを楽しみにしています。(Interview:高橋ちえ)

能登半島地震が起きて、たくさんの音楽仲間が心を寄せてくれた

──能登半島地震が発災したのは昨年の元日でした。富山におられたドイさんにしても、とても大変な思いをされたでしょう。

ドイ:富山って地震が少ない県と言われていて、富山県民も「立山連峰が守ってくれてるから」って言っていたり、僕自身も富山で地震は起こらないよね、と思ってて。本当に油断していた元旦だったので衝撃でしたし、こんなに大っきな地震が来るなんて本当に、思ってもいなかったので。この地震で防災意識も皆、変わったんじゃないかなと思ってます。

──ドイさんはこの日、どうされていましたか?

ドイ:「初詣に行こうか」って母と言ってて、ちょうど車を走らせた信号待ちのタイミングで揺れ始めました。電信柱がものすごく揺れて慌ててたら、周りの建物から蜘蛛の子散らすように人がわーっと出てきて。富山では観測したことのないような揺れだな、というのをすぐに感じました。家がマンションの上のほうなんですけどエレベーターも止まってて階段で上がって、家に入ったら料理や食器が散乱してたり、めちゃくちゃになっている状況でした。

──ドイさんはライブハウス(新宿SAMURAI)で、ブッキングも担当されていますよね。

ドイ:はい、すぐに電話をもらいました。「SAMURAIとしても何かをしたいから」って。毎年恒例の新年イベントで募金箱を設置してもらって、その日の売り上げを全額、富山に入れてもらうという粋な計らいをしてもらいました。その後すぐに新宿LOFT樋口(寛子)さんからも、心配しているという連絡をいただいて。樋口さんがZOOMを繋いでいろんな方を紹介してくれて、まず山さん(山岡トモタケ)を繋いでくださって。東日本大震災の時の福島での経験則を基に、被災地の心情や気持ちを教えてもらったのがすごくありがたいなと思いましたね。平田(英治)さんからは、新潟で震災があった時(のことを踏まえて)、「行政の方とはこうやっていけば」といったアドバイスをいただいたりして、皆さんにすごく心を寄せていただいて。僕一人だとどうしても分からないこともあるんですけど、ZOOMで話しながら泣けてきちゃうこともあったりしました。それが今回の、4月5日のイベントという流れに繋がっていく感じです。

──ドイさん自身もこの1年、富山でいろんな動きをされてきたそうですね。

ドイ:富山にはSoul PowerMAIROという2つのライブハウスがあるんですけど、コロナ禍で2カ所とも一度、閉店してるんですね。それで富山の音楽シーンには一時期ライブハウスがなかったんですけど、2カ所とも復活をしまして、復活したと思ったらこの地震で。スピーカーがぶっ倒れたりしてしまった状況で、「また一からライブハウスを作り直しだね」みたいな感じで。なので地元のバンドマンたちも力を合わせて、ライブハウスを復活させて。今はまた何とか通常通りの営業に戻っていて、地元の人間も地元のライブハウスを守ってるという感じです。

──そうだったんですね…全く存じ上げないお話でした。

ドイ:だから僕がこうした発信をさせていただくことが、本当にありがたいことだと思っています。それで去年は、定期的に自分がイベントをやって、県外のバンドにも来てもらって、ちょっとでも盛り上げたいなと。そういう動きをやりながら、自分自身もセプテンバーミーというバンドを止めていたけど、身体も大丈夫だし歌えるから。富山でサポートメンバーを集めて富山のメンバーでステージに立って、全国に向けて旗を振ろうと。自分が動くことでほんのちょっとでも、富山に目が向いたら良いなと思って。Soul Powerで去年は3本かな、自分の企画を打ってライブをやったりしました。

セプテンバーミーはオール富山のサポートメンバーで再始動

──セプテンバーミーが期間限定で復活したのが2023年でしたよね。震災をうけて、実際に動き出したタイミングは?

ドイ:(2024年の)3月20日にMAIROでチャリティーイベントがあったんですよね。なので、「セプテンバーミーとしてこの日、何とか出演させてください!」って逆オファーしました(笑)。メンバーは富山のサポートメンバーなんですけど、ギターとベースは富山のレジェンド的先輩のバンド・RED JETSからサポートしてもらっているのと、キーボードは富山出身で、め組のキーボードの女の子(久佐賀麗)が弾いてくれて。ドラムは富山で音楽の先生をやっている方に叩いてもらってます。

──オール富山のサポートメンバー!

ドイ:そうなんですよ。この日のライブをきっかけにメンバーたちが「こうやって地元のために動くことって良いよね」って…サポートメンバーの皆が、正規メンバーのようにだんだんなってきて「富山を盛り上げるぞ!」って、メンバーの熱は今も高まっている感じではありますね。同じ土地で同じ食べ物と食べて、水も空気も一緒だと何だか、ノリが合うという感じというのか。だからすごく楽しいですし、“こういうバンドの続け方もあったんだな”っていうのを感じられて。自分はこういう場所が欲しかったんだな、という場所ができてます。僕としては震災復興のイベントを自分で立ち上げたこともありますし、セプテンバーミーのペースにはなってしまうんですけど、無理のないペースで(このメンバーと一緒に)続けて、やっていきたいなと今は考えています。

──“復興震災のイベントも立ち上げた”のですか?

ドイ:back on live』(FMとやま)という音楽番組をやらせていただいているんですけど、番組を通して『Back on live Fes 2024』っていう震災復興のチャリティイベントをやらせていただいて、その売り上げを全額、寄付をしました。去年はMAIROと富山駅近くにあるオシャレな日本酒のお店を借りて、その2会場にプラスしてラジオを交えて、ラジオブースを作った3会場で1日だけの開催だったんですけど、今年は7月12日・13日と2デイズでの開催にして頑張りたいね、と。去年よりも規模を大きくして、1年に1回でもいいから開催して。風化させないような日を作るために今、動いています。

──素晴らしいです、ドイくんなりに地元ですごく動いていたのですね。

ドイ:今でこそ笑って話せますけど(笑)、運営が足りなさすぎて去年は本当に大変でした。(イベント当日の)早朝から運営のスタッフから電話があって「すぐ行きます!」みたいな感じで(笑)、バタバタではありました。でも開催した後に富山県の副知事の方からお礼をいただいて、富山県庁にご挨拶に行かせていただきました。あと僕は現地に行ってボランティアも、行ける時にはなりますけど先輩や後輩ら、その時に空いている人たちと一緒にまとまって「行こうか!」って。富山県内と、能登の方もボランティアに行ったりしていたのが。ざっくりとした昨年の、自分の活動でした。

──今、あくまでドイくんから見た感じでは現地の状況はどう映っていますか?

ドイ:現地の様子も見たり友達からも「今はこんな感じだよ」っていう情報を見聞きして、富山に関しては復興が進んでいるのかなと言える…んですけど、能登に関してはもっともっと、大変な状況で。皆さんの生活が安全に確保されてきたのかな、と思うタイミングで大雨・洪水という災害があって(2024年9月)。僕が富山から能登のほうに向かっていく道って一つの道しかなくて、その一つの道を走っていても言葉を失うような道がずっと続いてて。電信柱も空中でぶら下がっていたり、まだこんな状況なんだって思うこともあります。だからいつ行っても、復興は進んでいるんでしょうけど、圧倒的にスピードが足りないなと思ってます。あと、ボランティアの数がこんなに少ないの?! って行った時に正直、思っちゃうんですよ。僕も現地の方に直接、触れ合わせてもらって「どうですか?」とかお声がけをさせてもらう中で、物資に関しては多分ですけど行き届いているのかなと思います。ですけど、生活が元の生活に戻っていく、というところが…果てしなく長くかかりそう、というのが、僕の肌感です。

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LIVE INFOライブ情報

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LOFT HOPE JAM MARKET ~音楽と未来をつなぐ夜~
【日程】2025年4月5日(土)
【時間】開場14:30 / 開演15:00 
【出演】
◉BAR LIVE STAGE|カタソビ / 水沼遼太
◉TALK SESSION|山岡トモタケ(FLAMYNGS)/ ドイヒロト(セプテンバーミー)/ 平田英治(NIIGATA MUSIC LABORATORY)/ 高橋ちえ(music with you!)ほか
◉映像|竹中駿介
【前売】一般¥1,000 / サポートチケットA ¥3,000 / サポートチケットB ¥2,000
*各チケット、入場時にドリンク代¥600がかかります
Live Pocketにてチケット発売中
*入場順:サポートチケット(A)→サポートチケット(B)→ 一般チケット→当日
*サポートチケットは前売(一般)チケットに支援金が含まれているチケットになります
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
 
「LOFT HOPE JAM MARKET ~音楽と未来をつなぐ夜~」は、音楽を通じて災害復興支援を行ない、共に支え合う新たな社会のあり方を創造します。
また音楽をきっかけに、人々を結び、未来への一歩を踏み出す為のプラットフォームとして音楽空間を提供します。
1回目は「令和6年能登半島地震・令和6年9月能登半島豪雨」の支援を目的とし、企画趣旨に賛同した出演者によるライブ、北陸や東北の物産マルシェ、トークライブを実施します。
なお、イベントの売上から最低限の経費を計上し、残りの分は全て「令和6年能登半島地震・令和6年9月能登半島豪雨」への支援金として寄付させていただきます。
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