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INTERVIEW

トップインタビューキノコホテル×exist†trace×アーバンギャルド - 稀代の女性ボーカリストが牽引する生粋のライブバンド3組が下北沢SHELTERのオープン33周年を祝して鎬を削る渾身の三つ巴ライブ【後編】

稀代の女性ボーカリストが牽引する生粋のライブバンド3組が下北沢SHELTERのオープン33周年を祝して鎬を削る渾身の三つ巴ライブ【後編】

2024.10.11

 独自の美学を貫いて長年活躍する3組のバンド・キノコホテル、exist†trace 、アーバンギャルドが、10月15日(火)下北沢SHELTERで開催されるイベントに出演する。
 多種多様な選択肢がある現代で、ファンを魅了し続けるものはなにか?
 一つ例を挙げるとすれば、3バンドの音楽は絆創膏のように人の心にできた傷を保護して守ってくれることではないでしょうか。たとえ直接的に癒さずとも、その音楽を聴く内に、傷が前より痛まなくなっている...そんな力があるように思います。
「共通点なんてない」と言って始まったインタビューでしたが、話している間に似通った部分も見えてきました。バンドにこだわる理由、活動を続けるための原動力、美のこだわりなど、和気藹々の座談会をお楽しみください!
 この3バンドを表現する際に「唯一無二」という言葉はあまりにも陳腐な気がして、それよりぴったりのものを見つけるためにも、是非、イベントに足を運んでいただきたいです。(Text:小鹿なるみ)

▶︎▶︎▶︎前半から続く◀︎◀︎◀︎

ガールズバンドという呼称に対する拭えぬ違和感

──exist†traceにとって盟友や同志と呼べる女性バンドはいますか。

浜崎:ソロのアーティストでも良いので聞いてみたいですね。

miko:やっぱり解散してしまうバンドが凄く多いので、なかなかいないんですけど…その中で個人的に挙げるならAldious(アルディアス)ですかね。だいぶ前に2マンをやって、今でも仲が良くて。向こうは今や活動の規模がだいぶ大きくなって、“凄いな!”という気持ちと“悔しいな!”という気持ちの両方があります。でもやっぱりライブをちょこちょこ観に行って刺激をもらっている存在ですね。

東雲:キノコホテルを始めた頃はガールズバンドが今ほどいなかった気がしますね。それこそAldiousやSCANDAL、exist†traceさんぐらいしか把握していなかったかも。

浜崎:そもそもなぜガールズバンドとして括られてしまうんだろう? って昔からずっと思ってた。バンドとは男がやるものなの? って聞きたくなるくらいの葛藤が常にあったから。

東雲:看護婦が看護師と呼ばれるようになったように、移り行く時代と共に職業上の呼称が変化しているにもかかわらず、音楽業界は依然として男性優位で古いわよね。いまだにガールズバンドなんて言葉が罷り通っているのだから。ワタクシは今さらガールズと呼ばれるなんて逆に申し訳ないのでやめてほしいと思うけど(笑)、ガールズバンドだけを追っかけ回すようなリスナーが今なお一定数いたりする。女の子のバンドはちょっと演奏が下手なくらいがかわいいとかいう舐めた視点、「女の子なのに演奏が上手い」などと言われる風潮を何とか覆してやりたいけれども、誰かがその流れをどうにかしようとしたところで受け手の解釈が変わらない限りはどうしようもないのかなとは思う。あとはメディアが意識して言葉を選んで時代遅れな風潮を変えたり、ワタクシたちが率先してガールズバンドとは名乗らないようにして外側から変えていくしかない。とはいえ、あくまでガールズバンドでいたい! っていうグループもいるんだろうけど…。

ジョウ:もうガールズって歳じゃないんだけどな…って感じですよね(笑)。「ガールズバンドのexist†traceです」みたいに紹介されるといつも違和感を覚えます。

miko:ウチは特に、ガールズと言うよりも男っぽい格好をしているので。とは言え完全な男装でもないし、何とも表現しにくいバンドなんですけど(笑)。

東雲:でもそれこそが似たようなバンドが他にいないexist†traceさんならではの個性であって、いいと思うんですよ。こうしてバンドを続ける以上はカテゴライズ不能と形容されるくらいがいいし、ワタクシもそう簡単にカテゴライズされたくないと思いながらずっとやってきましたので。当初はGSだの昭和歌謡だのと言われましたけど、独自路線を貫いた結果、そんな安直なカテゴライズももはやされなくなりました。

浜崎:アーバンギャルドは逆にカテゴライズされたかったんだよね。私たちが注目されだした頃はバンドが余りに異色すぎて、対バンに全然呼ばれなくて。呼ばれてもやってることが特殊すぎて調和が取れないみたいなことが頻繁にあったので、どこかのジャンルに属したいくらいの気持ちがずっとあったんですよ。たとえば○○○○(某著名音楽誌)系バンドとか(笑)。

東雲:アーバンが○○○○系に行ってたらお友達にはなれない(笑)。

浜崎:どこかに属していないと仲間ができない、そのジャンルが好きな人たちに知ってもらえないというのは天馬の思想なんだけど、彼なりに焦りがあったんだと思う。私はアーバンギャルドという独自のジャンルを追求していけばいずれ認められるはずだと思っていたんですけどね。最近になってやっと天馬もそういう方向転換ができるようになってきたように感じます。

ジョウ:その発想はわかります。mikoは衣装がスカートだったりして一目で女性とわかるし、mikoがいるからexist†traceもガールズバンドという呼称に違和感がないですけど、ガールズバンドという枠組みの中で対バンした時に自分自身は男性らしい格好をしているからどうしても違和感があるし、ヴィジュアル系の男性バンドと対バンしてもやっぱり違和感は拭えないし…という思いが絶えずあるんですよね。この20年間、そうした違和感をどう消化すればいいのか、どんな姿勢でいろんなイベントに臨めばいいのかという悩みがある中で、あえてカテゴライズするならば“exist†trace系”を目指すしかないと思って。アーバンギャルドさんと同じように、exist†trace独自のジャンルを追求するしかない。

浜崎:やっぱり自ずとそうなりますよね。

東雲:たとえば自身のセクシュアリティをカテゴライズし難いと感じる方々にはexist†traceのスタンスは共感を呼ぶところがあると思います。性自認において様々な問題を抱え続ける人たちの生きづらさがexist†traceの在り方とリンクするだろうし、刺さる人はきっとたくさんいるんじゃないかしら。

ジョウ:違和感や迷い、葛藤は絶えずあるんですけど、結局は自分自身を突き詰めるしかないんだなと。「これがジョウなんです」と自信を持ってやっていけばいいやとどこかのタイミングでシフトチェンジできたところがあって、だからこそバンドにこだわると言うよりはexist†traceにこだわり、ジョウにこだわる自分が今ここにあると言うか。ジョウというボーカリストを通じて、女性でも男性でも自分自身を貫けばいいじゃないかと感じてらえたらいいなと思うんです。ジョウの姿を見て、男だけどぬいぐるみが好きでもいいじゃないかとか、女だけどスカートは穿きたくないでもいいじゃないかとか。変な例えかもしれないけど(笑)、そんなふうに自分を貫こうと感じてもらえたら嬉しいです。

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LIVE INFOライブ情報

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Shimokitazawa SHELTER 33rd ANNIVERSARY “絆奏”
【日程】2024年10月15日(火)
【時間】開場19:00 / 開演19:30
【チケット】前売¥4,000 / 当日¥4,500(共にドリンク代別¥600)
イープラスにて10月14日(月・祝)18:00まで発売
【会場・問い合わせ】下北沢SHELTER 03-3466-7430

【ライブ配信決定!】
[アーカイブ期間]
生配信終了後〜2024年10月22日(火)23:59
配信チケット価格:¥2,500|URLはこちら
※来場者限定割引あり
※特典映像:配信限定3バンド合同アフタートーク(出演者未定)
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