独自の美学を貫いて長年活躍する3組のバンド・キノコホテル、exist†trace 、アーバンギャルドが、10月15日(火)下北沢SHELTERで開催されるイベントに出演する。
多種多様な選択肢がある現代で、ファンを魅了し続けるものはなにか?
一つ例を挙げるとすれば、3バンドの音楽は絆創膏のように人の心にできた傷を保護して守ってくれることではないでしょうか。たとえ直接的に癒さずとも、その音楽を聴く内に、傷が前より痛まなくなっている...そんな力があるように思います。
「共通点なんてない」と言って始まったインタビューでしたが、話している間に似通った部分も見えてきました。バンドにこだわる理由、活動を続けるための原動力、美のこだわりなど、和気藹々の座談会をお楽しみください!
この3バンドを表現する際に「唯一無二」という言葉はあまりにも陳腐な気がして、それよりぴったりのものを見つけるためにも、是非、イベントに足を運んでいただきたいです。(Text:小鹿なるみ)
女性が憧れる女性がボーカルを務める3組が集結
──まず、主催の小鹿さんから今回のイベントの企画意図を聞かせていただけますか。
小鹿:シェルターの店長に空き日があるのでイベントをやってみたら? と言われまして、それなら個人的に好きなバンドに集まってもらうイベントをやりたいと思い、私がぜひ観たい3組にお声がけさせていただきました。この座談会を通じて、3組の共通点みたいなものを探れたらいいなと思っています。私個人の印象なんですが、3バンドの音楽は聴き手の心の傷を癒すイメージがあったし、それぞれのファンもそう感じる方々が多いのではないかと思って、傷を治す絆創膏の“絆”を使って“絆奏”(ばんそう)というタイトルを付けたんです。“絆”(きずな)を“奏”(かな)でる私の大好きな3組ということで。私の好きなグループの曲名から拝借しました。
マリアンヌ東雲(以下、東雲):知らなかったわ。そんなメンヘラ的なテーマがあったのね。
小鹿:メンヘラじゃないです!(笑)
浜崎容子(以下、浜崎):フライヤーが独特の世界観を醸し出してますよね。小鹿さん主催だからバンビ…?
小鹿:ご想像にお任せします(笑)。
──キノコホテルとアーバンギャルドが盟友関係にあるのは周知の事実ですが、exist†traceとの面識は以前からあったんですか。
東雲:今年の『雌猫乱心!戦慄の雛祭り』でご一緒して、それが久々の共演でした。元を辿れば大昔の徳間ジャパン在籍時代にexist†traceとはレーベルメイトだったこともあったんです(註:キノコホテルは2010年2月に『マリアンヌの憂鬱』で徳間ジャパンからメジャーデビュー。exist†traceは2011年6月に『TRUE』で徳間ジャパンからメジャーデビュー)。だからと言って何か絡みがあったわけではなく、その存在を存じ上げていたくらいだったんですけど。
ジョウ:同じレーベルだった時期に新宿ロフトで共演したことがありましたけど(註:2012年5月23日に行なわれた『SHINJUKU LOFT 13/35th Anniversary master+mind ~Go Go Girls!!~』)、今年の雛祭りの日に凄い久しぶりに対バンさせていただいて。3月3日にこの豪華な面子が集まったら凄いことになりそうだぞと思っていたら、本当に素敵な夜を皆さんと迎えることができまして。その時にソロとして出演されていた浜崎さんともご一緒させていただきました。
浜崎:そうなんですよね。私はあの時が初対面で、もちろんそれまでいろんなところでexist†traceさんのお名前を拝見していたんですけど、ライブをちゃんと観る機会がなかったんです。それで『戦慄の雛祭り』でライブを観て、めちゃくちゃ格好いいことをやっている女性群というイメージを抱きました。実はアーバンのファンでexist†traceさんのファンでもあるという両方推しの方がいて、その『戦慄の雛祭り』にもいらしていたんです。その方から後日お手紙をいただいて、「あの時に共演してくれて本当に私得で、今度はアーバンギャルドとexist†traceの対バンが観たいです」と書かれてあったんです。なのでこうして共演できることになって、私も凄く嬉しいです。
ジョウ:そうやってめちゃくちゃ楽しみにしてくれている人がいるってだけで、自分たちの中でもさらに楽しみが増しますね。
浜崎:私としては、exist†traceさんは本当に格好いいから一人でも多くの人に観ていただきたいんです。キノコホテルさんとアーバンはよく共演してるから対バンのイメージがしやすいと思うけど、そこにexist†traceさんというアーバンとまだ絡んだことのないバンドが入ることでこの3組にしか出せない化学反応が巻き起こるはずなので。3組とも女性ボーカルという共通点があるし、『戦慄の雛祭り』の秋バージョンみたいなところもあるのかなと。3組とも強い意志を持った女たちの集まりだから、フロアにいる女の子たちもきっと勇気をもらえるんじゃないかなと思いますね。
──ジョウさんとmikoさんは、キノコホテルとアーバンギャルドに対してどんなイメージを持っていますか。
miko:ちゃんとした芯があって、ブレないお二方と言うか。格好いいライブをやるのはもちろんですけど、マリアンヌさんも浜崎さんも女性が憧れる女性だと思います。
浜崎:ありがとうございます。
東雲:恐縮です。
miko:女性ボーカル限定のライブにexist†traceもよく出るんですけど、私たちと相性が合うなと思うのはやっぱりボーカルがクールで格好いい感じのバンドなんです。もちろんキュートで親しみやすいバンドも凄く素敵なんですけどね。だから私たちは女性が憧れる女性みたいなスタイルで活動するバンドとご一緒したい気持ちがずっとあるし、こうしてキノコホテル、アーバンギャルドと3マンという形でライブができるのはとても嬉しいです。
浜崎:嬉しいです、私も凄く。
東雲:そこまで言っていただけるなんてね。最近じゃ誰もそこまで褒めてくれないから。
浜崎:なんでそんなにクダを巻いてるの?
東雲:あのね、昼間から飲んでいるの。平常運転ですわよ(笑)。