2024年8月3日(土)、4日(日)、独立系メディアの出演者と言論人が集まり、4つのステージで約30のトークセッションが行なわれるトークフェスティバル『RONDAN FES 2024 in IZU』が開催される。
本フェスは、「ポリタスTV」を運営する津田大介、そして「深掘TV」「エアレボリューション」を運営するジョー横溝、阿佐ヶ谷でカフェとスタジオを経営する株式会社クロチェットの3者(社)が主催している。
13の独立系メディアの運営者・出演者と、田原総一朗、上野千鶴子、斎藤幸平らスペシャルゲストを含めて40人ほどの言論人が集結する、前代未聞のフェス開催のきっかけから、その目的や見どころまで、津田大介とジョー横溝に語ってもらった。(Interview:久保奈々子)
3番組合同フェスの予定が、13番組が集う前例なきフェスへ
──『RONDAN FES 2024 in IZU』開催のきっかけを教えてください。
津田:去年(2023年)、フジロックのアトミック・カフェのトーク前の楽屋で、ジョーさんから伊豆に面白いところがあるから何番組かメディアを集めてフェス的なことができないかって話があったのが最初ですよね。それがフジの会場だったから、もうフェス最高! みたいな気分の時で。
ジョー:その時のテンションもあって盛り上がりましたよね(笑)。伊豆っていうのは、いつも「深掘TV」「エアレボリューション」の配信をさせてもらっているクロチェットカフェの方から、伊豆にあるサマースクールだった廃校を買ってライブやトークができる会場に改装しているって聞いて、一度番組の配信をしたんです。その施設でフェスができないかなと考えたのが発端です。それで今回、津田さんと僕とクロチェットカフェの会社3社主催でフェスを開催する話になりました。
──当初は3つの番組が集まって、一緒にフェスをやろうっていうお話だったと伺いました。
ジョー:最初、僕は自分が運営している番組(ニコニコ生放送「深掘TV」「エアレボリューション」)と津田さんの「ポリタスTV」、尾形聡彦さんと望月衣塑子さんがやっている「Arc Times」の3番組でフェスをやろうと思っていたんです。打ち合わせが始まった時に、津田さんがせっかくだからいろんなメディアを集めようっていうアイデアを出してくれて。
津田:僕とジョーさんの人脈は微妙にかぶっているけど完全に同じでもない。方向性が違うところもあるから、2人が声をかけたらいろんな人を集められるんじゃないかなと思ったんです。
──たくさんのメディアがあるなかで、今回の参加メディアに声をかけられたのは?
津田:インディペンデントでやっていることがひとつの基準でした。マスメディアではできない独立系で、カラーがはっきりしてるところがいいな、と。
ジョー:最終的にこういう座組になったと宮台真司さんにお話しした時、今、社会の構造が非常に見えにくくなっている中で、こうした独立系で頑張っているメディアが集まることで社会の全体像みたいなものが見えてくるんじゃないか、ということを言っていたんです。それは僕も思いました。マスメディアはどうしても数字中心になっている部分があるから、そうじゃない独立系のメディアを集めてそれぞれのテーマでトークセッションを行なうことで、今の日本が抱えている問題意識やそこに対するみんなの興味度、その問題にどれだけケアができているかっていうひとつの指針が見えてくるんじゃないかなと思います。
津田:今回の参加メディアはなかなか絶妙だと思います。リベラル系が多いけど、幅は広いですし、老舗から新興までそろっています。「ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)」は15年前に立ち上がったメディアですし、「生活ニュースコモンズ」は昨年立ち上がったばかり。「深堀TV」に出ている宮台真司さんは1999年に開局した「ビデオニュース・ドットコム」をずっとやられていますよね。そうした新旧のいろんな人たちが交わって、いろんなテーマで、しかも普段あまり共演しないような人たちでトークをするのが、ロックフェスみたいでいいなと思います。
ジョー:そこでまず大事にしたいと思ったのは、各番組が普段から発信していることを伝えることです。なので、通常のレギュラー番組のようなトークセッションをフェス会場でやってもらいます。それに加えて、それぞれのメディアの出演者と、田原総一朗さん、上野千鶴子さん、斎藤幸平さん他のスペシャルゲストが入り乱れて登壇するセッションもやります。ここでしか見ることができない座組とテーマのセッションがたくさんあるので、そこはこのイベントならではだと思いますね。
──各番組の出演者だけでもすごいメンバーですが、今回のスペシャルゲストもすごく豪華です。ゲストの方々はどういうふうに決まっていったんですか?
ジョー:「論壇」なので、アカデミズムの世界の方にも入ってもらいたいという思いが僕はありました。上野千鶴子さんや斎藤幸平さんは論壇・言論の世界を引っ張っている方ですよね。今回の出演者はジャーナリストの方が多いですが、そうした現場でウォッチしている人と、アカデミズムの世界で世の中を俯瞰で見ている人のバランスが非常に大事だと思うんです。ジャーナリストとアカデミズムの世界の人が一緒に何かをやることで、遠近両方のバランスが取れるんじゃないかって。
津田:僕がこだわったのはジェンダーバランスですね。「ポリタスTV」を4年前に始めてからずっと出演者のジェンダーバランスについては完全パリテを維持してきました。論壇というと、どうしても男性中心。これまで批評や議論の世界は男性中心で維持されてきたし、男性しかいない場がいまだに多いじゃないですか。それが多様性を失ってきたところでもあると思うんです。例えば戦争や復興というテーマで話す時、だいたい男ばかりになってしまうけど、女性がどう思っているのかも含めて話せるような場作りをしたくて、今回はこだわりました。そうしないと議論が単に画一化しちゃうので。
ジョー:確かに。ちなみに僕がやっている番組は僕も含めてレギュラー陣は全員男性ですが、意識して女性のゲストに出ていただいています。
津田:なので、今回は「ポリタスTV」から何名か女性をお呼びして、それぞれのトークセッションでもバランスを意識しています。