戦争に対しては黙っちゃいけないと思った
──アルバムの曲についてですが、『STREET SENSATION』はある意味JAZZY UPPER CUTの自己紹介的な曲ですね。「奴らのOKなんかいらない」っていう言葉からして、自分たちが何と闘うのかをはっきり見定めていると感じました。
ノブ 当時はチェルノブイリの原発事故や中東での湾岸戦争など、世界で大きな事件が起こっていたのと、個人的に子供が生まれたことで、パンク精神というか社会に向かわざるを得ないという気持ちが大きかった。
──『DEATH TO THE WAR』では「戦争こそが死ねばいい」と宣告してますが、1991年にTHE FOOLSが湾岸戦争に反応してリリースした『NO MORE WAR』とも呼応していると思いました。
ノブ やっぱり俺も耕もこれは歌にしないといけないテーマだと思ったんだろうし、黙っちゃいけないと思ったんだろうね。だからあの時にちゃんと歌ったおかげでその後にまた戦争が起こった時にもこの曲が取り上げられたり、多少の時代錯誤はあったとしても言ってることは大筋間違ってなかったと自分で確認できる。
──ウクライナやガザで戦争が続いている状況だと、現在の曲としても非常にリアルだと思いました。
ノブ 今回、JAZZY UPPER CUTのアルバムが再発されることになって過去の自分に立ち返ることになったわけだけど、言ってみれば今年は俺にとって総ざらいの年だと思う。パンデミックでDEEPCOUNTの活動が止まった時に、JUNGLE’Sの再発の話があり、やるんだったらちゃんと新曲を良に送ろうと思って1月にライブをやった。俺としてはJAZZYの頃よりも幼い自分に向き合うのはすごく恥ずかしい部分でもあったけど、子供が生まれた時に歌った曲に対して、じいさんになった今の自分からの回答に書き直して歌った。本当は逃げてしまいたかった幼いバカな自分に対してちゃんと答えを出すことができて、それが今の自分にとってすごく自信になっている。過去に対面するということは、決して逆行することではなく、未来のためにやれるんだと気がついた。だからJAZZY UPPER CUTの再発とライブに関してもすごく意味があることだと思う。もちろん俺はDEEPCOUNTでいつも過去に自分が書いた曲に対面しながらやっているんだけど、JUNGLE’SやJAZZY UPPER CUTの曲に実際的に立ち返るということがすごく重要で、そこから持って帰れるものもあるし、新しくできるものもある。30年前に自分がぶん投げたものがちゃんと人に届いていたということだし、もう一度世に出す事でさらに遠くまで投げられるかもしれないと思う。