"忘れたくないのに 忘れちゃいそうなこと 忘れないようにちゃんと 心に、fusenを。"...とはオフィシャルサイトでの彼らの紹介。fusen(フセン)の3人が奏でる音は、どこかノスタルジックな雰囲気を纏いつつ20代前半の今を生きる彼ら世代のエッセンスも感じられ、10月リリースの最新曲「変わる、変わる。」はこれから長くスタンダードナンバーとして愛されていく予感がする一曲だ。そのタイトルを冠にfusenとして初めてのツアーで大阪・名古屋でのライブを行なってきたが、12月10日(日)に下北沢Flowers Loftを会場にツアーファイナルのワンマン公演を迎える。ツアーも初ならばワンマンでのライブも初とのことでリハーサルも佳境に入る中、メンバー全員に話を伺った。実直にインタビューに向き合いしっかり言葉を紡ぐ彼らの姿を通して、ワンマン公演ではどんなライブを見せてくれるのか、とてもとても楽しみになった。(Interview:高橋ちえ)
バンドをやってみたくて、そして路上ライブもやってみたくて
──まずは、fusenというバンドがスタートした頃のお話から聞かせてください。
林龍佑(Gt&Vo):高校2年生のときに3人それぞれが別々で音楽活動をしていて、ライブハウスで一緒になる機会があって。僕は当時、弾き語りをやっていて“バンドをやってみたいんだよね”みたいなことを言ったら、“やろうよ!”みたいな感じになって集まってくれて。
岡野創太(Dr&Perc&Cho):僕はその当時、キーボードが入った歌もののバンドを同級生と一緒にやっていまして。
上遠野日向(Ba):僕も高校の同級生とロックとかポップスをやってました。
林:それでこの3人で“路上ライブとかもやってみたいね”っていう話になって。岡野がカホンもできたし、ベースはエレキだけどアンプを用意して、僕はアコギで。3人でアコースティックで、地元の(栃木県)足利市や隣の佐野市とかによく出没してました。
上遠野:そのときはまだベースが僕ではなかったんですけどね。
──そしてオフィシャルサイトにある通り、2021年からこの3人でバンド活動をされているのですね。現在の主な拠点はどちらでしょう?
林:今は新宿ロフトに大変お世話になってまして、東京から地元の足利だったり、最近は大阪や名古屋にも行かせてもらっていますね。
上遠野:それこそ東京で、この体制になってのライブは新宿ロフトが初でしたね。2021年の秋ごろだと思います。
岡野:僕が進学もあって東京に住むことになって、僕の後に上遠野も上京してきて。それまでは足利と行き来しながらバンドをやってたんですけど、“東京でもライブがやれるし、東京でのライブも出たい!”って思って。それから東京でのライブも出させてもらえるようになっていきました。
──なるほど。そこから昨年はアルバムのリリースがあったり、音楽活動が充実してきましたよね。
林:そうですね。アルバムもあったし、初めて仙台や大阪だったり遠くにライブに行ったり。いろいろあったなと思う1年でした。
岡野:曲が初めて(TVドラマのエンディング曲として)タイアップという経験も、音楽に大きく携わっていくという機会になったなと思います。
林:タイアップと言えば、今年に入ってカップスターとのタイアップもありまして。東京藝術大学の現役大学生がMVの監督をしてくれてコラボレーションするというもので、すごく良いMVができましたし、楽しい経験でした。【註:サンヨー食品株式会社が販売する「カップスター」の音楽と映像プロジェクト『NEXT GENERATION NEXT CREATION』の特設サイトはこちら】
──「星の名前」(2月リリース)のMVですね。同世代と一緒に作品を作るのは良い刺激になりましたよね?
林:映像と音楽という違いはありますけど、勉強にもなったし、本当に刺激になりました。(振り返って)去年から、いろんなことが始まっていった感じはすごくありますね。
──去年から続く形で駆け抜け続けて、今年は振り返るとどんな年でした?
林:すごく感じているのは、人と関わる・人と繋がるということがすごく多かった1年でした。去年、対バンした人たちやイベントに関わる方々と今年も対バンをしてすごく仲良くなったりいろんなお話ができたりして、そこからまた“こうしようよ!”って言ってもらえたり、去年(の状況)からまたさらに、今年はもっと広がったなという年でしたね。
上遠野:今年はツアーができるようになって(現在)ツアー中で、ツアータイトルが『変わる、変わる。』なんですけど、僕らにとってもこの1年は新宿ロフトに毎月出させてもらったりだとか、『風とロック芋煮会 2023』(福島県)といった大きなイベントに呼んでいただけるとか、fusenにとって大きな出来事があった1年でした。それこそツアータイトルじゃないですけど、変化する1年だったのかなと思いますね。
岡野:ここ数年(コロナ禍で)、目立った活動ができる機会っていうのが少なくて。ライブも“自粛しようね”みたいな感覚でしたし、その上で今、オープンに活動ができますってなってから、何だろう…活動する環境が開けてきたところもあると共に、僕の心の部分でも、開けた部分があって。1回(ライブ等で)会った人に、前まではそんなに話せなかった自分がいたんですけど、今は“ちょっと話してみよう”みたいな感じで、話してみるとどんどん話せる。それで連絡を取り合ってまた会うことができるのが僕にとって、“これがバンドをやっていて楽しいことの一つなんだ”って思える年になって、個人的にワクワクできることでした。