作品は決して廃れないし、曲はずっと在り続ける
──そういう中で「WINGLESS ANGEL」はレクイエムような気持ちで?
NICKEY:ここ数年、センターボーカルの方が亡くなっているように思えて。追悼ソングというわけではないんですよ。リスペクトしてるから曲にしたかっただけで…。これはあたしの考えなんだけど、ボーカリストってメンバーに助けられているんだけど、けっこう背負ってるものがあって。それがプレッシャーになる人もいれば、力になっていく人もいる。私はどうなるかって聞かれると、まだわからないというか。年数ばかりいってるけど全然ペーペーなんで。ボーカリストは真ん中に立って歌うことを、なんらかの理由があって選んで、そして歌って。その理由は誰にもわからないことで。
──真ん中に立つボーカリストは、観客ともメンバーとも自分とも向き合わなきゃないというか。
NICKEY:ギタリストにもドラマーにもベーシストにも、全ての演奏家へのリスペクトはあるんです。その中でステージの真ん中に立つ人=バンドリーダーは、孤独なものだと思うんですよ。それはなった人じゃないとわからない思う。もちろんメンバーに助けられているんだけど、凄い孤独感はあるんです。真ん中に立つ人はそれぞれ孤独感を持ってると思うなぁ。あたしはたまたまボーカルになったけど、今はそれが身についてしまったというだけかな。若い頃はそんなこと考えずにやってこれたけど、今はやっぱりひしひしと感じますね。
──亡くなったミュージシャンへの曲であり、自分自身への曲であり。
NICKEY:歌い続けて亡くなられた人たちの存在は、私の中ではずっと輝き続けているわけで。“THIS IS NOT THE END”っていうふうに心の中ではずっと輝いてる。だから追悼とはちょっと違って。作品は廃れないし、曲は在り続ける。それをずっと思っていてほしいって、みんなに向けて歌ってるとこもあるんですよ。
──ああ、はい。どっぷり暗くはならないのは、輝き続けるってことを歌ってるからなんだろうね。
NICKEY:ああ、そうかもしれない。
──NICKEYさんは実はタフなんだよね。
NICKEY:タフかどうかはわからないけど…。あの、母親が亡くなったとき、凄い悲しかったんですよ。で、コーヒー飲んでちょっと落ち着こうって店に入って。そしたらバッグが売ってて、このバッグなんてカワイイの! って買っちゃったんですよ(笑)。なんなんだ? って自分で思って。なんでこんなときにバッグなんか買ってるんだろう? しかもカワイイって喜んでる(笑)。
──わかる! なんか不思議と同時にあるんだよね、悲しみも喜びも。
NICKEY:そうかも。だって凄い悲しんでたんですよ。でもバッグ買っちゃって。なんなんだ? って反省するんだけど、ま、いいかって(笑)。
──それNICKEYさんのいいとこだと思うし、曲に出てるよ。カワイイものはカワイイっていう素直な気持ちとか、“花束ひとつ世界は変わる”っていう気持ち。シンプルで素直な気持ちは忘れちゃダメだと思うし。
NICKEY:うん。自分を自然に出せるようになってきたかなって思います。落ち込んでても、この服いいなっての買ったらコロッとテンション高くなっちゃうようなとこあるから(笑)。そういうとこが自分だし、それを否定することないし。
──うん。ジャケットもいいですよねー。何人もいるNICKEYのイラストがカワイイ。
NICKEY:銀座で何かの広告を見て『SOME FLOWERS』ってタイトルに決めたときに、このジャケットのイラストがパッと浮かんだんです。数年前にフォトブックを出したんですけど、見開きにバーッとある斎藤マミさんのイラストがパッと浮かんだ。斎藤マミさんは少年ナイフなどのイラストをやられてるイラストレーターで、昔、森本美由紀さんのコミュニティカレッジに生徒さんで来ていて。そのときにモデルをやっていたあたしを描いてくれて。そこから知り合ってフォトブックのときに描いてもらって。今回、新たに描いてもらう時間が全然なくて、フォトブックのときのイラストを使わせてもらって、そこにアルバムタイトルを描いてもらって。イラストも『SOME FLOWERS』ってタイトルにバッチリ合うと思う。ただ、WARRIORSにこの可愛いイラストはどうだろう? って思ったけど、意外にメンバーから評判良くて(笑)。大口君なんか「最高じゃないですか!」って言ってました(笑)。
──最高ですね(笑)。