東京都内を中心に活動するロックバンド・リフの惑星が、新作EP『EUREKA』を6月21日(水)にリリースする。併せて、本作のリリースを記念するワンマンライブ『SUMMER OF LOVE』が7月21日(金)に渋谷La.mamaにて開催される。
「自分たちが本当にやりたい音楽とは何か」その問いの先で見つけたものとは──。今回はVo&Gt・緒方良とGt・大月優の二人が、7月4日(水)にライブ出演を控える下北沢Flowers Loftにてインタビューに応えてくれた。(Interview:たまきあや/下北沢Flowers Loft)
EPのコンセプトは緒方のルーツである“90年代のUKロック”
──まずは2年ぶりのフィジカル・リリースについてお伺いしていきたいんですが、昨年は配信でのリリースがメインだったところ、今回は盤で出そうってなった流れとか経緯はどんな感じだったんですか?
緒方:私は毎週のようにタワレコに通ってCDを漁る学生時代を過ごしたので、CDっていうものに対する思い入れが強くて。サブスク全盛の今の時代にCDを出すって、お金も手間もかかるし、いろいろとハードルはあるんですけど、今回レコーディングするにあたって6曲仕上げられたので、「これはもう盤で出すしかないだろう!」って。そんな感じですかね。
──収録曲はどれくらいの候補の中からの6曲なんですか?
大月:デモも含めたら、12、3曲くらい……?
緒方:それくらいはあったかな。昨年末に出したEP『BOY』は既発曲の再録版だったんで、今回のEP『EUREKA』では絶対新曲を下ろそうっていうことで。一からデモを作って、12曲くらいできた中からどんどん絞り込んでっていう感じでしたけど……。
大月:そんなに余裕があったわけじゃないです(笑)。
緒方:やばい、もうレコーディングだけど曲どうする!? みたいな(笑)。
──わりとギリギリだったんですね(笑)。
緒方:今までは、私がある程度完成した形のデモを打ち込みで作ってからメンバーに共有してたんですけど、今回はすべての編曲を大月が担当してまして。それがもう大きな変化なんですけど。
大月:(緒方から)ギターの弾き語りの状態で送ってもらったデモを自分がパソコンで編曲して、「ここのリズムはこうしよう」とかを固めてからメンバーに投げて、メンバーが各パートのアレンジを詰めていく、って感じで作りましたね。
──曲作りのやり方を変えたのは、バンドの中でどういう変化があったからなんですか?
大月:今までは緒方がデモを持ってきた段階で……なんていうのかな、良くも悪くもアレンジが固まった状態で、メンバーが手を加えづらいというか、意見が入る隙間が少なかったというか。そういうところをちょっと変えて、メンバーの好みとか自由な発想をもっと取り入れられるような作り方をしたいねってなって。「じゃあとりあえず弾き語りで持ってきて、それをみんなでアレンジしていこうよ」っていうのが最初のスタートでしたね。
──なるほど。いい形で進んだというか。
緒方:そうですね、いい形で進んだと思います。後ろ向きな理由で曲作りのやり方を変えたっていうより、前向きに。
大月:挑戦、みたいなね。新しいことをやってみようと。
緒方:今回のEPのコンセプトとして“90年代のUKロック”があって。私のルーツなんですけど、そこに根差した形で曲を作っていこうとしたときに、案外、人に編曲・アレンジを任せたほうが、かえって自分のルーツの純度が高まったというか。
──へぇ……! おもしろいですね。
緒方:そうですね、うまく表現できないんですけど……すごく面白いなと思って。大月はルーツに90年代のUKロックとか、別にないんですよ。そこで、まず、私のルーツになっている20曲くらいをまとめたプレイリストを送りつけて、「これを聴け!」って。
大月:その送りつけられたUKロックのプレイリストを、俺は毎日聴きながら通勤して……ノイローゼになるかと思った(笑)。
緒方:そのおかげで、大月から返ってきたデモは、弾き語りの時点で自分の中にあった「(90年代UKロックに寄せるなら)リードギターはこんな感じかな」っていうイメージをはるかに上回って、めっちゃUKロックになってるっていう(笑)。
──プレイリストによる洗脳が…!(笑)
緒方:楽しかったです、私は(笑)。材料を入れたら好きな料理が出てくるみたいな。
──めっちゃ優秀じゃないですか(笑)。
緒方:そう、優秀なアレンジャーとしての才能が開花しました。編曲に関してはすべて大月が……クレジットもそうでしょ?(※EP『EUREKA』は “All Arrangements by 大月優・リフの惑星”となっている)
──(資料を見ながら)そうですね。
大月:「俺がんばったんだぞ」っていうのがそこに詰まってます(笑)。
緒方:なんならこの話がその一行に詰まってます(笑)。
──大月ファンはこの一行を噛み締めながら見るわけですね…(笑)。
緒方:編曲とかの負担が減った分、作曲に集中できたので、結果的に自分のルーツを色濃く出した曲作りができたってのもあるかと思います。
──私も聴かせていただいて、全体を通して感じたのが、1曲目から最後の曲まで、起承転結がすごくしっかりしてるなと思って。1曲目の「VITORIA」は、すごくサッカーっぽい感じですが。
緒方:そうですね、まんまサッカーです(笑)。「VITORIA」は、“サッカーのスタジアムで歌えるような曲”をコンセプトに書きました。私が元サッカー部で、今もサッカーが好きなんですけど、ヨーロッパのスタジアムではOasisとかThe White Stripesの曲が流れて、みんなで歌うんですよ。その光景に憧れて、いつかそういう曲を作りたいと思ってて。ありがたいことに、ここ最近、ラジオに出演させていただく機会が増えてきて、サッカーの話をすることも何度かあったので、「ちょうどいい機会だし、サッカーの曲書いてみよう」ということで。この曲に関しても、私が「ウォーウォー」って冒頭の部分とコード進行とサビだけ作って、「サッカーっぽくしてくれ!」って大月に投げて(笑)。