新宿LOFTが主催する新シリーズイベント『LIVE to LIVE』が5月18日(木)に開催される。その記念すべき第1回目のステージを飾るのはKiNGONS、THE BOHEMIANS、首振りDollsの3組だ。10年以上バンドを続けている彼らだが、意外にもこの3組で対バンするのは今回が初となる。
宇都宮を拠点に活動を続けるKiNGONS、THE BOHEMIANSは山形から、そして首振りDollsは九州から上京して活動している。そんな彼らに、バンドを続けていく上で大切にしていること、ライブに対する考え方、メイクやパフォーマンスについて、さらにはお互いが出会ったときのエピソードなど様々なことを語ってもらった。BeeBee(KiNGONS)、平田ぱんだ(THE BOHEMIANS)、nao(首振りDolls)という3人によるトークは大いに盛り上がり、インタビュー時間は実に1時間以上にも及んだ。彼らの言葉を余すことなくお伝えすべく、異例の前編・後編でお届け。インタビューでは和気あいあいとした雰囲気の3組がイベント当日にはどんな激闘を繰り広げるのか、その瞬間もぜひ見逃さないでほしい。[Interview:田中咲紀(新宿LOFT)/ Photo:丸山恵理]
メイクは当たり前にするもの、それがロックンロールエチケット
【前編はこちら】
──では話題を変えて、皆さんのステージでの衣装やメイクについて聞きたいのですが、今のスタイルになった経緯ってなんですか?
nao:たしかにKiNGONSは気になるな!
BeeBee:僕はKiNGONSをやる前まではずっとサイドギターだったりベーシストだったんですよ。それでKiNGONSでボーカルをやるようになったとき、最初はTシャツにスリムジーンズにおかっぱ頭みたいなラモーンパンクのようなスタイルだったんですけど、真ん中に立つ以上もっと目立ちたいなって思うようになって。それでジャケットを羽織りだしたのがきっかけですね。そっから路線変更してみんなでスーツ作ってみるか! って今のスタイルになった感じです。メイクに関しては、最初はもちろんしてなかったです。でも、それだと僕はステージで目を開けられなくて…。
──目を開けられない?
BeeBee:前のバンドでは脇役だから、サングラスかけたり前を向かないで自分のスタイルで演奏してたんで、フロアを見ることがなかったんですよね。コーラスのときは目をつぶって歌ってましたし。だからKiNGONSで歌ってるときに目を開けようとすると緊張とか恥ずかしさがあって。
──お客さんを見れなかったと?
BeeBee:そうそう。恥ずかしさが勝っちゃって。これダメだ、目を開けれない…と思ってサングラスをしてる気持ちになるためにサングラス風のメイクを目元に描いたんですよ。
──えっ!? あれはサングラスだったんですか!(笑)
BeeBee:そう!(笑) サングラス描いて、さらに本物のサングラスをかけてステージに出て。それでライブ中にサングラス取っても、メイクでサングラスをしてると。だから今でもやるんですけど、ギターを上げたときにギターのパーツが光って自分が見えたりするんだけど、そんときにメイクしてるかギター上げながら見てるから。
──確認してるんですね(笑)。
BeeBee:俺はまだサングラスしてるよなって(笑)。そこで自分に力を…というか、サングラスしてたら急に強くなれたんで、始めた頃は。
──ちなみに4人でスーツの色が違ったりとか目元のメイクが違ったりするのは、BeeBeeさんが考えたんですか?
BeeBee:いやあれはね、最初はスーツの色もみんな一緒だったんだけど、オーダーメイドだしそれぞれの好きな色を入れるようになった感じですね。メイクもみんなそれぞれが考えて。これにしろって言ったのはないですね。僕はグレート・ムタってプロレスラーが好きなんで、ムタのようなメイクの形にしてますけど。
nao:ハロウィンで一緒に企画やったときに全員グレート・ムタで来ましたよね(笑)。
BeeBee:全員ムタだった(笑)。眼だけじゃなく顔全体ペイントしてると別人みたいな気持ちになるから凄いなって。
nao:あ、違うわ! 半ちゃんだけブル中野で来たんだった(笑)。
BeeBee:そうだった(笑)。やっぱそういう変身願望というか、そういうことすることでちょっと強くなったっていうのが最初ですね。そっから続いてる感じです。
──ありがとうございます! 首振りDollsはどういうきっかけですか?
nao:もう何も考えずに当たり前にメイクしてたというか。そういうもんだと思ってたというか。あのザ・スターリンの遠藤ミチロウさんだってサンハウスの柴山俊之さんだって塗ってるじゃないですか。俺が好きな人はだいたい塗ってるからなんの疑いもなくステージに上がるときには化粧、これがロックンロールエチケットだと思ってましたね。
──それはギターのジョニーさんもですか?
nao:ジョニーもそうですね。あいつは恥ずかしがり屋だから「塗らないと!」とか言ってたけど、自分はもう子どもの頃から真似して塗ってたんで、ほんと当たり前にそのままって感じですね。
──ボヘミアンズはどうですか?
平田:そもそものスタートは付き合いです。
──付き合い?
平田:ギターの人の付き合いで…。
nao:俺たち今日からニューヨーク・ドールズだ! ですよ。
平田:よく知ってるね(笑)。
nao:平田さんの本(平田ぱんだの著書『ロックンロールの話』)、読みましたから!
平田:うちらそもそも学生の頃の友達同士の遊びバンドなんですけど、ビートりょう(ギター)が「俺、今日からニューヨーク・ドールズだから」っつってメイクして当時の彼女のゴスロリの服を着てきたんです。「えっ? そんなんされたら俺もやんなきゃいけないじゃん。あーでも確かに清志郎さんとか遠藤ミチロウさんとか俺が好きな人もしてるしな」と思って。それで付き合いで始めた感じです。
──平田さんのステージ衣装にもこだわりがあるように感じるのですが?
平田:そこまで付き合いでやっちゃったら、普段着れないような服を着ようって、ステージだけでもはっちゃけようっていう。普段は服とかどうでもいいタイプなんですけど。だから、うち赤い服ばっかあって困ってるんですよね、普段はそんな派手な服着ないのに(笑)。
──しっぽが付いてるのはいつからですか?
平田:あれは昔から。浜崎あゆみに憧れて。
nao:あれ、あゆやったんや?(笑)
──当時あゆが好きだったんですか?
平田:全然好きじゃない、関係ないっす(笑)。東京来たらまず竹下通り行くじゃないですか。しっぽが売ってるじゃないですか。あゆが付けてたな、東京来たな、付けよう! って。
──それでステージで付けるようになったんですか?(笑)
平田:かわいいかなって。
──ちなみに普段は付けないんですか?(笑)
平田:付けるわけがない!
BeeBee:普段付けててほしいなぁ(笑)。