どんどん愛着が芽生えてきました
――良いところ・悪いところをともに内包していて、そこが人間臭さに繋がっていました。
城定:みんなそれぞれダメだし、でもハッキリと悪者・良い者にならないというのが人間だと思っています。そこは台本の時にはハッキリとした形になっていませんでしたが、撮影していく中で形になっていきました。物語が進んでクライマックスになった時に本当の人間の感情がちゃんと出ているなと感じましたね。
――城定監督がコメントされていた「みなそれぞれにダメな人間なのですが、僕はそんな彼らが愛おしくてたまりません。」というコメントも素敵でした。映画を観ることでこの言葉の意味も分かったように思います。
城定:僕も制作を進めるうちにキャラクターにはどんどん愛着が芽生えてきました。だから健太朗にも優しくなってしまったのかもしれないです。
――物語のこの先を想像させる終わり方も素敵でした。
城定:ありがとうございます。
――現代のおとぎ話のような内容でしたね。
城定:寓話性は持たせつつ、本当の感情も出していきたいとは考えていました。そういった感情の部分は大事にしています。
――最後まで観ると物語の捉え方も変わりますね。
城定:最後を知ってから見返してもらうと更に楽しめると思います。
――3人それぞれ違う視点を持っているので、桃・莉子・健太朗それぞれの視点でも見返すことが出来ますね。
城定:男性の方は健太朗の気持ちになって怖いかもしれないんですね。
――そうですね(笑)。2004年公開の『ビヨンド・アワ・ケン』から20年近く経っていますが、いつの時代に観ても刺さる普遍的な部分があるからこそ、現在の表現を盛り込んでも物語として刺さるという事なんだと思います。
城定:そうですね。この映画でもそこは意識していて、あまり時代性というものを入れないようにはしました。
――本当に多くの人に刺さる作品だと感じています。
城定:『恋のいばら』は映画好きな人にはもちろん、それほど映画を観ないという方にも楽しんでいただけるものになっていると思います。色んな観方が出来る映画なので、何度も観返して楽しんでほしいです。「恋人通しでは観ないでください。」と言っていますが、実際は“押すな、押すなよ。”みたいなことですから恋人同士でも見て欲しいです。
――女性同士で観るのもアリじゃないですかね。
城定:そうですね(笑)。友達とも一緒に楽しんでください。
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