詰まっているドラマ
――本作でのお二人の表情が素敵だなと思いました。
玉城:ありがとうございます。
――莉子は元カノが来て警戒していて、桃も利用してやろう的な思惑もあり、そこから友情にかわって、喧嘩もして。ドラマの中でかなり感情の波がありますが、演じる際にどう感情をのせて行かれたのか伺えますか。
松本:お互いの空気感の中で自然と出せていたので、無理に気持ちを上げていったということはないです。相手の演技・空気を受け取りながらということを大事にしていきました。それはいつもお芝居の中でやっている事でもあります。おっしゃる通り『恋のいばら』は感情の起伏が激しい部分はありますが、演じるにあたってのベースは変わらなかったです。
玉城:感情は想像してその通りにできるものではないなと思っています。距離が近いほど不思議な感情の出し方をしてしまうことがあるじゃないですか。
――ありますね。
玉城:近いとより自分のことを理解してもらいたいとそういう部分が出てしまうと思います。人間のそういう感情は私も理解できるので、大変だったということはなかったです。
松本:実際の距離が近くなっていた方が緊張感なくどんなシーンもできるので演じにくいということはなかったです。今回はギュッと二人の世界があった方がいいんだろうなと思っていたので、それができた形ですね。
――演じていく中で自然と出てきたものを表現したんですね。
玉城:事前にプランを立てたものをやってしまうと面白いものにならないと思っています。せっかくの会話ですし、自分の見せ場づくりにならない様には気を付けていました。
――この二人は親友になれたとおもいますか。
玉城:最後のシーンがあることによって二人の未来も明るいんだろうなと感じています。女性同士の親友の定義は難しくて、離れていてもお互いを思い合えているのは親友なんだと思っています。私はベッタリする桃と莉子は想像できなくて、お互いを尊敬している部分で繋がっていくんじゃないかなという思いが希望としてあります。
松本:私もあそこで縁が切れることはなく、ずっといい距離感で繋がっていくんじゃないかなと思います。
――完成作品を観られていかがでしたか。
玉城:脚本を読んで物語を知っていたはずなんですけど、映画で観た二人の関係性の移り変わり、最後の桃の告白だったりを観て「そういう風になるんだ。」と思いました。脚本を読んで知っている私でさえこういう感覚になるのであれば、初めて見る観客のみなさんはもっと驚くとおもいますから公開後の感想や反応が楽しみです。二人の疾走感や会話のほほえましさもある、凄く詰まっているドラマになっています。
松本:いろんな要素・ジャンルが詰まっている作品です。作品のテンポも次々に変わっていき二人のバディ感を観られる部分もあり、そこから最後はまたガラッと変わった色になっているので観ている人を翻弄する部分もあるのかなと思います。脚本を読んでいた時はつかみどころがないと感じた部分が映画では綺麗に繋がっていました。いろんなところに遊び心や違うクエストがあって面白い作品でした。不思議な二人の物語をぜひ楽しんでいただきたいです。
©2023「恋のいばら」製作委員会