俺たちは節操なくいろんなとこに挑戦してきたけど、OLEDICKFOGGYはブレずにやってきたなって印象(カツヲ)
──当時はお互いをどう見ていました?
伊藤:THE CHERRY COKE$は既に人気バンドだったから「畜生!」って思ってた。
カツヲ:でもやってることがちょっと違ったからね。OLEDICKFOGGYは尖りながら上り調子でやってるのを見ていたから、かっこいい売れ方をしているなって思ってたよ。俺たちはけっこう節操なくいろんなとこに挑戦してきたから。それはそれで全然いいと思っているんだけど、でもOLEDICKFOGGYはブレずにやってきたなって印象。あともともとうちのメンバーだったyossuxi(Accordion / Keyboard)がOLEDICKFOGGYに入ったり、元スタッフのターチンがOLEDICKFOGGYのローディーをしていたりして、いろいろ縁がありますね。
スージー:俺たちはTHE CHERRY COKE$を見て羨ましかったけどね。
伊藤:俺ら、昔はお客さんが入る経験がなかったから。ツアーとかもやり方すら分からなかったし。地方では高校生のコピバンと対バンとかもあったからね。
スージー:Hi-STANDARDのコピーバンドね。
伊藤:しかも昼の部とかで。
スージー:でもギャラくれたよね。2万円くらい。お客さん2人とかで。
伊藤:高校生バンドのお母さんが観に来てたんだよ(笑)。
──OLEDICKFOGGYとTHE CHERRY COKE$の初対バンはいつ頃ですか?
スージー:いつだろう。恵比寿MILKじゃない?
カツヲ:しょっちゅうMILKでやってたもんね。2000年代前半だよね。
スージー:まだドラムが順堂くんじゃなくて。
マサヤ:順堂くんが入ったのって何年?
スージー:2005年くらいかな。その前にはもう対バンしてるからね。タムの下がバスドラになってるようなカクテルドラムでライブしていて。
伊藤:グレッチのやつね。渋谷屋根裏のオーディションで「ドラムを入れたほうがいいよ」って言われた(笑)。
スージー:それ、他のライブハウスでも言われた(笑)。俺らライブハウスの人にはけっこう怒られてたよね。地方のライブハウスとかでも、怒られた。
カツヲ:俺らはハコのブッキングに出なかったから、そういうのがないんだよね。金払うからハコ貸しでやらせてくれって。だから、ライブをやればやるほど赤字だったけどね。
伊藤:実費だよね。俺らも赤字ばっかりだったから。
スージー:レコーディング代も足りなかったしね。キンコーズでジャケットをコピーしたり。
カツヲ:俺らもキンコーズでレコードのジャケットをコピーしたよ。『BEER MY FRIENDS』とかもレーベルが決まる前に見切り発車でレコーディングしたから100万円くらいかかったし。
マサヤ:いろんなことが宙ぶらりんだったからレコーディングの前半と後半で違うところで録っていて。だから音質を合わせるのが大変で。前半がMTRみたいなので録ってるから音質が全然違うっていう。
伊藤:俺たちもスージーの家の台所で録ったことがあるよ。家の台所にエンジニアさんを呼んで(笑)。
カツヲ:何の楽器を録ったの?
スージー:ウッドベース。
カツヲ:うるさ!(笑)
伊藤:あとFM局のスタジオが使えるからって録りに行ったら「何やってるの? 勝手に使ったら駄目だよ」って言われて部屋の隅っこで歌ったこともあったね。
スージー:滅茶苦茶だったよね(笑)。
──同じような経験もしてきたから共感することも多そうですね。
マサヤ:不思議と昔からOLEDICKFOGGYに負の感情を抱いたことがないんだよね。歳が近いのもあるかもしれないけど。
スージー:パチンコ屋でよく会ったしね。
伊藤:後ろの台で打ってるみたいな。
スージー:しかもなかなかの台を打ってるんだよ。GAROとか。
マサヤ:俺、酒飲まないから酒の席はないんだけど、パチンコの席っていうのがあるんだよね。
伊藤:しかもパチンコが、まだ滅茶苦茶負ける時代でしょ?
マサヤ:10万円とか負ける時代だったからね。
──共通点とかってあったりします?
伊藤:人の好さかな。
カツヲ:あははは。でもお互い居場所がない感じでやってるなって思うかな。いろんなとこ出てるけど、果たしてそこがホームかって言われたらそうじゃないみたいな。
伊藤:この2バンドだと大体どっちかしかイベントに呼ばれないのもあるよね。
カツヲ:札幌の『POWER STOCK』は2バンドとも出してくれたけどね。
伊藤:でもやっぱり出演者が10バンドいたとしたら、その中にこの2バンドが一緒に出ることってなかなかないよね。
スージー:富山のフェス『ONEFES2022』であったよ。
伊藤:まぐれだよ。
スージー:プレミア引いたんだ(笑)。
──お互い持ってない部分は何かあったりします?
カツヲ:それはたくさんありますね。
マサヤ:そこが明確だから一緒にやりやすいのかも。そこを追従しても仕方ないし、逆に自分たちの良さが何なのか思い返すことができるなって。
伊藤:俺らは大体持ってますけどね。
カツヲ:あははは。
伊藤:90%くらいは持ってるかな。
カツヲ:俯瞰で見たときに俺たちは陽キャだけどOLEDICKFOGGYは怖いし暗いなって思う。でも俺が伊藤ちゃんみたいなキャラになったら痛いでしょ? 「こいつキャラ変えてきた」みたいな。
伊藤:そっちのが一番怖い人いるじゃん。サックスのまつ毛の凄い人。(一同笑)