2020年にバンド・Brian the Sun(以下、ブライアン)の活動を休止後、昨年からは立ち上げたソロプロジェクトで活動する森良太。2月23日リリースのソロ作品としては初のフルアルバム『EGO』(読み:イーゴ)はまさに会心の一枚だ。バンド編成の現メンバーとの相性がとても良いのがサウンドを通して伝わってくる上、小技の効いたギターテクも随所に入れ込みながら彼が一人のボーカリストとして・一人の表現者として、また一人のバンドマンとして、これまで見せていなかった才能も感じられる。ふと、彼のオフィシャルHPのプロフィールを見るや、一番最初に"日本の音楽家"と書かれていた。何とも頼もしい紹介文だが、実際ソロとして歩み始めて1年ほどでも森良太という人間のスケール感がかなり大きくなっているように思う。個人的な感慨だが、昨年の新宿ロフトでの弾き語りイベントで歌う彼の姿を見たときにMCで語る内容はもちろんその佇まいからも自分の中にしっかりとある芯を大切にしている人だと感じていた。音楽と共に、これから彼が新しく生きる様をどう描いていくのかとても楽しみだ。今回はその序章となるインタビューだろう。(interview:高橋ちえ)
自分のやりたいことはバシッと決まった、“曲を作って歌っていく”ことだと
──アルバム制作を終えて発売を待つばかりで、今はひと息ついているのでは?
森:いや、ずっと制作してますね。別のこと、次のことも考えつつ、家でずっと曲を作ってました。それしかやることがないんで(笑)。
──いやいや、そんなことはないでしょう(笑)。
森:ディレクターやプロデューサーが入らなくなってセルフプロデュースになったことがこれまでのバンド時代とは違って、自分で全部完結できるし自分のやりたいようにできるのでやりやすいのと、より、(曲作りが)生活と密接になっている感じがするんですよ、書いたら書いた分だけ自分が満たされる。その比重がかなり大きくなってきているんで、書き甲斐があると言うか。
──曲作りが生活と密接になったのは単純にソロ活動になったから、ということだけではない何かがありそうな気がするのですが?
森:そうですね…20代の頃って可能性を自分に感じていていろんなことができるだろうなと思ってたんですけど、30代になって、やりたいことがバシッと決まったというのはあるかもしれないです。やっぱり、曲を作って歌っていく、ということをもっとちゃんとやりたいなぁ、と思ったので、それをちゃんとしなくちゃなという感じですね。コロナ禍っていうのは大きかったんですけど、家にいて楽器を触る時間とか考える時間も増えていくと、やっぱり音楽をやりたかったんだな、ってどんどん気づいていった感じがしますね。これしかないな、って思ったし、今の身の回りの環境も自分がいる状況もありがたいんだなぁって思ったんですよね。手助けしてくれる人たちもいるので、こんなにありがてぇことはないなぁ、と。
──そういう意味では、アルバムでも音を鳴らしてくれているバンドメンバーがいる今のこの環境の良さ、というところもあるのでは?
森:本当に。皆、メチャクチャ音楽が好きなんで。自分の味とか色とかも考えながら、且つロックバンド好きなロックミュージシャンが集まっているので、フィジカルで本当に良いものができた気がしていますね。
──そんなメンバーとの出会いも教えてください。
森:ライブ活動をしていく中で皆、10何年来のそもそも知ってる人たちなんですよ。ドラムの(田中)駿汰はブライアンのドラマーですけど、ベースの鈴村英雄とギターの渡邊剣太は2人とも尊敬するミュージシャンで。もともとライブハウスでライブしている姿を見てカッコ良いなと思ったりしてたので誘ってみよう、という感じでした。
──森さんから声をかけて今このメンバーになっているのですね。そんな4人で奏でているバンドとしての音が、とてもライブを楽しみにさせる音だとアルバムを聴きながらも感じます。森さんは、このバンドで感じる音の手応えみたいなものはいかがでしょう?
森:演奏しているときに、“そうそう、それそれ!”っていう分かってる感みたいな感じが、(音を合わせる)回を増すごとに増えてますね。やっているサウンドがソロ名義でもバンドバンドしていて結構難しいところではあるんですけど、僕が思うこういう音楽性のおいしいところって、同じメンバーで演ることによる一体感みたいなところやと思うんですよ。それがどんどん増えていけば良いな、と思っているメンバーでやっているところがあるので、手応えとしては今で結構、うん、ありますね。かなり良い音が出てるんじゃないかという感じはしてます。
──仰る通り、良い音を全11曲にしっかり詰め込んでいるとわたしが断言します(笑)。アルバム2曲目の「行為心迫」なんてもう、ベース始まりのイントロにこのスピード感で痺れますね。4人のバンドサウンドでライブで聴くのが楽しみで仕方がないです!
森:まだライブでも演ってない曲で、どうなるかな〜という感じですけど、僕も楽しみな曲ですね。うん、ライブで早く演りたいですね。ワクワクしてます。
──アルバム全曲の詞と曲が森さん名義になってますが、具体的にどのように曲作りを進めるのでしょう?
森:どの曲も僕が大枠を、精密じゃない大ざっぱな設計図ぐらいのものを作ってメンバーに渡すんですけど、それをうまいこと皆、解釈してくれて自分なりに弾いてくれてもらっている感じですね。「行為心迫」に関してはベースのリフはベーシストの英雄くんが作ってきてくれましたね。結構、普段の生活で英雄くんとはよく遊ぶんですよ。“ご飯食べに行こうや〜”みたいな感じとか、“トンカツ作りすぎたから食べに来ぇへん?”とか“鍋作ったから食う?”って誘ったりとか(笑)、家も近くてそんな感じでよく会うので、家でセッションしたりしてると曲ができちゃうみたいなことも結構あって。
──良い関係〜! 他のメンバーの方とは?
森:ギター(=渡邊)のことはハカセって呼んでるんですけど、お酒という共通の趣味があって、三度の飯よりお酒が好きってくらい飲むんで(笑)一緒に飲んだりするし、駿汰は言わずもがなで10年一緒にバンドをやってるんで。皆、そもそもが仲良いんでストレスとかも全然ないですしね。
──尊敬していたギタリストとベーシストと今や仲間としても良い関係で良い音を生み出せて、とても幸せなことですよね。
森:そうですね、本当にそれは幸せなことです。