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INTERVIEW

トップインタビューG.D.FLICKERS - 結成35周年記念アルバム『堕天使のように』で魅せる軽くて深いロックンロールの真髄と醍醐味

結成35周年記念アルバム『堕天使のように』で魅せる軽くて深いロックンロールの真髄と醍醐味

2021.11.02

期待以上の効果を生んだうつみようこと伊東ミキオのゲスト参加

──「走れルドルフ」は何より原詞の世界観を壊すことなく膨らみを持たせたJOEさんの訳詞が素晴らしいし、ロックンロール詩人としての才が見事な日本語詞として結実していますね。

JOE:元の詞はシンプルで唄ってることも少ない上に、視点がサンタクロース中心なんだよね。サンタがトナカイのルドルフに走れ走れと急かせてる。俺の訳詞は逆の視点でトナカイを主人公にして、原詞のイメージを自分なりに膨らませた感じだね。

──原詞にはない独自の歌詞もありますしね。たとえば「来年こそいい年にするぞ!」とか。

JOE:まあこういうご時世だからね。そんな言葉を盛り込んでもいいかなと思って。

──それと「A little baby doll that can cry, sleep, drink, wet」を「人工知能の可愛い人形」と解釈していたり。

JOE:「泣いたり眠ったりおっぱい飲んでおねしょする小さな赤ちゃんの人形が欲しい」っていうのが原詞なんだよね。それを今どきにアップデートしたというか。

──「こりゃ大変だと五番街へ戻る」という原詞もどこにもないですしね(笑)。

JOE:うん(笑)。あと、俺の訳詞に出てくる“クラリス”も原詞にはないんだよ。ルドルフの恋人のトナカイがクラリスで、『赤鼻のトナカイ』の物語には出てくるんだけどね。

──カバーをやっても結局G.D.らしい曲になるという意味では、岡本さんの提案が的を得ていたことになりますね。

JOE:俺が嬉しかったのは、自分なりに書いた訳詞が著作権の所有者に認めてもらえたことなんだよ。俺が訳した歌詞をアメリカの権利者に念のため確認してもらわなくちゃいけなくて、日本語のままだと向こうが分からないから日本語の訳詞をさらに英語にして送ってもらったわけ。今回、出版で協力してくれたフジパシフィックミュージックを通じてね。その俺の訳詞を英訳してくれた人がフジパシの担当に「この日本語の訳詞は素晴らしい」と言ってくれたみたいでさ。その人の英訳もきっとこちらの意図を汲んでくれたと思うんだけど、曲の権利者にも無事OKをもらえてね。自分の才能がアメリカに認められたみたいで嬉しかったよ(笑)。今回は録りより何よりその権利関係の確認に一番時間がかかったから余計に嬉しかった。

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──最後の「空にキッスを」には伊東ミキオさん(ピアノ)とうつみようこさん(コーラス)がゲスト参加していますが、鍵盤とホーンとパーカッションのサポートメンバーを入れた昨年の35周年記念ライブのように、自分たち以外のプレイヤーとのセッションを楽しみたかったがゆえの起用だったんでしょうか。

JOE:俺の中ではそういう考えがあったね。それでピアノとコーラスを入れたいと岡本に言ったら「いいんじゃない?」と。せっかくコーラスを入れるならパンチのある女性コーラスがいい、ローリング・ストーンズで言えばリサ・フィッシャーみたいなコーラスが欲しいと考えて、これはもううつみ師匠以外に考えられないと思ってね。

──G.D.とメスカリン・ドライヴはかつて共演したこともあったんですか。

JOE:大昔にイベントで一緒だったことがあると思うんだけど、うつみ師匠とは何年か前に九州のイベントでセッションをしたことがある程度で、そんなに親しい感じでもなかった。それどころか俺やG.D.の存在を警戒していた節がある(笑)。共通の知り合いがCHERRY-BOMB(JOEがマスターを務める高円寺のバー)へ行こうと誘っても「あんな恐ろしい所、絶対に行かれへんわ!」って言ってたみたいだし(笑)。だから今回のコーラス参加のお願いをしようかどうか迷ったけど、たまたまSNSで繋がっていたのでメッセージを送って「どうでしょう?」と連絡したら快く引き受けてくれたんだよね。

──鍵盤は最初からミキオさんしかいないと考えていたんですか。

JOE:そうだね。彼は今まで何度もウチのレコーディングに参加してくれてるし、35周年記念アルバムを謳うのならぜひミキオに参加してもらいたくてね。

──ミキオさんに求めたのはラグタイムっぽい感じというか、ホンキートンクみたいなニュアンスですよね?

JOE:うん、まさに。ブルースでもあり、ロックンロールでもありみたいな跳ねた感じ。そっち系のピアノを弾いてグッとくるのは俺の知り合いでミキオが一番だから。今回、うつみ師匠もミキオも俺の想像を超えた力を発揮してくれて嬉しかった。特にうつみ師匠は凄かったね。基本的にコーラスはサビだけと伝えてあったんだけど、事前に考えてきてくれたいろんなコーラスのパターンをその場でどんどん入れてきて、思わず「ここはアメリカなの?」って勘違いしそうだった(笑)。

──サビに入るまでもうつみさんのコーラスがだいぶフィーチャーされていますよね。

JOE:結果的にそのほうが良かったからね。俺としては「明日はまた晴れる」というフレーズの後に「ハレルヤ」というコーラスを入れてほしいとか考えてたくらいで、他の部分では何も言わなかったんだけど。あれでもだいぶコーラスを削ったんだよ。全部残したら俺の立場がなくなるくらいだったので(笑)。終盤で俺とうつみ師匠が“KISS the SKY”と掛け合いで唄うところがあるけど、うつみ師匠は4パターンくらい連続で入れたんだよ。でも彼女のコーラスで終わるとどっちが主役か分からないってことで(笑)、最後の“KISS the SKY”は俺にしようと後から入れたの。

──歌の終わりはうつみさんではなかったものの、演奏の最後はミキオさんのピアノで終わりますよね。

JOE:あのピアノも実はだいぶ削って、ミキオはずっと弾き続けていたんだよ。

──ゲストのピアノの音と余韻で記念すべき35周年記念アルバムが終わるというのも、大人というのか大胆というのか…(笑)。

JOE:あまりそういうこだわりもなかったし、あの終わり方がメンバーの総意だったしね。格好いいのが録れた満足感しかなかったしさ。

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堕天使のように

BAD RIDE RECORDS BRE-008
価格:¥2,200(税込)
2021年10月30日(土)一般発売

amazonで購入

【収録曲】
1. 桃色の雲に
2. 堕天使のように
3. スパイ大作戦
4. 水槽のサカナ
5. 走れルドルフ(Run Rudolph Run)
6. 空にキッスを

tH eBEST G.D.〜Request For 12 Songs From FReAks〜

BAD RIDE RECORDS(DVD)
価格:¥3,500(税込)
G.D.FLICKERS オフィシャルサイトにて限定販売

【収録曲】
01. DRIVIN' BOOGIE
02. AGAINST THE WIND
03. BAD IS FUN
04. DAISY
05. トラベリンバンド
06. CHANGES
07. 古きドリアン・グレイに
08. 23日のクレイジーブギ
09. TOO MUCH HOT CITY
10. BORN UNDER THE LUCKY-MOON
11. 東京無限
12. A REBELLIOUS HERO

LIVE INFOライブ情報

Naked Loft Yokohama オープン記念イベント! G.D.FLICKERS登場!
【出演】G.D.FLICKERS / 他
【日程】2021年11月20日(土)
【会場】Naked Loft Yokohama
【時間】OPEN 17:30 / START 18:00
【チケット】前売¥4,000 / 当日¥4,500(共に別途ドリンク代)
※入場人数40名限定。定員になり次第終了とさせていただきます。
※入場者へプレゼントあり。
※OPEN前の事前引き換えは無しとさせていただきます。
【チケット予約URL】http://gdflickers.com
【チケットに関して】本公演は規定数に達した時点でソールドアウトとなりますことをご了承ください。
【入場に関して】ソーシャルディスタンスを保つのはもちろん、入場時に「アルコール消毒」「検温」「氏名連絡先記入」をさせていただき、検温の結果37.5℃以上の方には入場を辞退していただきます。その他、体調不良の方や上記ルールを守れない方も入場をお断りさせていただきます。
【主催・企画・制作】株式会社ピーシーズ
【お問い合わせ】info@pieces-inc.co.jp
 
B級監督ロックンロール交遊録 髙原秀和 人生60周年
【出演】G.D.FLICKERS / 亜無亜危異 / THE STAR CLUB / AUTO-MOD / A//F / THE MINKS / KEITH / THE PRISONER / lovepunk
※PANTAの出演は都合によりキャンセルとなりました。
【日程】2021年11月14日(日)
【会場】新宿LOFT
【時間】OPEN 14:00 / START 15:00
【チケット】前売¥6,000 / 当日¥6,600(共に別途ドリンク代)
【チケット予約URL】http://pieces-inc.co.jp
※チケット予約はメールのみ。OPEN前の事前引き換えは無しとさせていただきます。
※国からの要請、感染状況次第では、開演時間、出演者の変更、公演中止となる可能性がございます。
【入場に関して】ソーシャルディスタンスを保つのはもちろん、入場時に「アルコール消毒」「検温」「氏名連絡先記入」をさせていただき、検温の結果37.5℃以上の方には入場を辞退していただきます。その他、体調不良の方や上記ルールを守れない方も入場をお断りさせていただきます。
【制作】株式会社ピーシーズ
【お問い合わせ】info@pieces-inc.co.jp

2021 ROCK'N'ROLL ONEMAN-SHOW(冬場所)
【出演】G.D.FLICKERS(ワンマン)
【日程】2021年12月4日(土)
【会場】吉祥寺ROCK JOINT GB
【時間】OPEN 18:30 / START 19:00
【チケット】前売¥4,000 / 当日¥4,500(共に別途ドリンク代)
【チケット予約URL】http://pieces-inc.co.jp
【主催・企画・制作】株式会社ピーシーズ
【お問い合わせ】info@pieces-inc.co.jp
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