出演300回を記念してLOFTに銅像を建てたい
──カバーすることで学べることも多いのでは?
カタル:こないだコレクターズの曲をやって、こういうふうに曲を作ってるんだな、すごいなと思いましたよ。フラカンはシンプルな曲だけどリズムがすごく難しかったり、怒髪天は勢いがすごくて、あの勢いを出すのがかなり難しいのを知ったり。現時点でカバーした3曲それぞれに勉強になるところがありましたね。
リョウ:どの曲も“遊び”があるからギターでもいろいろできちゃうんですよ。ただ原曲のアドリブと思われるギターを忠実に弾くとつまらなくなるし、元に寄せつつ自分らしさも出すようにしてます。その匙加減が難しいですね。
ナボ:俺は映像の編集もしてるから、その辺はすごい楽しくやってるね。怒髪天もフラカンもコレクターズも原曲のMVを元ネタにして作ったんだけど、ピーズにはそれがないから悩んでる最中だね。元をもじるのはパロディの要素もあって面白いんだよ。コレクターズのカバーはコレクターズのファンの人が「カバーしてくれてありがとうございます」とコメントを書き込んでくれたりして嬉しいよね。それが武道館のチケット購買につながってくれたらありがたいんだけど(笑)。
リョウ:そこ、分かってもらえますかね?(笑)
ナボ:「ニューロティカを観たくなった」「武道館へ行きたくなった」までは来てると思うんだけどね。
カタル:ロティカが武道館でやるのは伝わってると思うんだけど、もうひと押しなんだよね。
ナボ:何とかならないかな? YouTubeを5回見たら武道館のチケットを買ってたとか。
──それじゃ課金詐欺ですよ(笑)。でも3年前にやったZepp Tokyoも最初は動員が心配だったものの、蓋を開ければ大入りだったじゃないですか。
ナボ:Zeppと武道館じゃ規模が違うからなあ…。
──10月から年末にかけては『ニューロティカから皆様へ最後のお願い(汗)』というツアーも行なわれるし、武道館をアピールする機会はまだまだあるじゃないですか。
カタル:もはや選挙活動みたいなものだよね(笑)。
リョウ:自分としてはやっとこれだけのライブをやれるようになったか、って感じですね。ロティカといえばこの忙しい感じが当たり前だったし、スケジュール的にはこれが通常営業っていうか。
ナボ:ひたすらライブハウスでやり続けていきなり武道館に行くのが俺たちらしいよね。Zeppやホールを何回かやってから行くわけじゃないから。
──RooftopはLOFTの媒体なのでLOFT出演300回についてもう少し焦点を当てたいんですけど、1985年9月3日のLOFT初出演(共演はPOGOとANTI)から36年3カ月という歳月をかけて300回出演を達成することについて、あっちゃんにはどんな感慨があるんでしょう?
アツシ:300回、すごいよね。
──そんな他人事みたいに(笑)。
アツシ:愛してやまない新宿LOFTなので、光栄ですよ。これでちょっとは日本のロックの歴史に名を残せるかな、って……。
ナボ:あっちゃんは「LOFTに銅像を作りたい」っていつも言ってるよね。オーナーの(平野)悠さんを差し置いて(笑)。
──じゃあ、月に何回かはハナ肇みたいに銅像に扮してもらいますか(笑)。
リョウ:でもそれくらいの偉業を成し遂げるってことですよね。
アツシ:300回のライブに加えていろんな打ち上げにも参加してきたからね。LOFTへ通い詰めた回数を正確に数えたらとんでもない回数になるよ。
──ニューロティカがLOFTに初出演した1985年には、カタルさんとナボさんはもうバンドを始めていたんですか。
カタル:やってましたね。その頃はLOODSかな。当時はニューロティカのことを「楽しそうなバンドだな」と思ってました。当時にしては珍しい、笑いのあるパンクバンドだから注目してたし、一緒にツアーにも行きましたね。
ナボ:俺はロティカと対バンはなかったけど、あっちゃんよりも先にLOFTに出てたよ。シゲちゃん(LOFT社長だった小林茂明)と仲良かったから、シゲちゃんのやってたBE-GOOD?とかと対バンしてた。ちょうどシゲちゃんがバイトから店長になったくらいのときにロティカを紹介してもらって、そこでSHONと会ったのかな。だけどお互い全然違うところで活動してたし、俺は俺で「LOFTは自分の店」みたいな感覚があったから、ロティカのことは「なんだあいつら?!」くらいに思ってた(笑)。シゲちゃんには「あいつら売れてるんだからお前も売れなきゃダメだよ」なんて言われてたけどね。
カタル:もともとあっちゃんがLOFTを好きになったのは、やっぱりARBの影響だよね?
アツシ:そうだね。LOFTでARBを観て自分でもバンドをやりたいと思うようになって、LOFTに通うようになったらスタッフもめちゃくちゃ楽しいし、LOFTへ行けば楽しいことだらけだったんですよ。
ナボ:もちろんライブもやったけど、俺には飲みに行く所だったから、LOFTは。
リョウ:当時はそういう場だったんですよね?
ナボ:バーがあったしね。ライブが終わってそこにいる女の子をナンパしてバーで飲むのが定番コースだったから(笑)。
リョウ:俺はそういう文化がなかったし、西新宿にあった頃のLOFTは中学の頃から憧れでしたね。俺はパンクスでもなかったので、ニューロティカは遥か遠い彼方の存在だったっていうか。
ナボ:でも『ロックンロールオリンピック』でニューロティカを観たんでしょ?
リョウ:はい、地元が仙台なので。中1のときにジュンスカ目当てで観に行ったら、なんかボーカルがピエロの変わったバンドがいるなあと思って(笑)。それが野外フェス初体験ですごく楽しかったから、翌年も友達と観に行ったんですよ。そしたらまたピエロの格好をしたボーカルのバンドが出てて、何だろう、このバンド…っていうのが最初の印象です。興味を持ちたくはなかったけど(笑)、そこでニューロティカってバンドを知ることになったんですよね。自分でもバンドをやるようになったら仙台のライブハウスに必ずニューロティカのポスターが貼ってあったし、長くやり続けてるすごいバンドなんだなと思ってました。