思いがけず実現してしまった武道館公演
──ぶっちゃけ、武道館のチケットは今どれくらい売れているんですか。
ナボ:1,000枚ちょっとじゃないかな? 1月に発表してからずっと横ばいで全然伸びてない。減らないだけっていう(笑)。
──ちなみにキャパ設定は?
ナボ:今度ミーティングして決めるんだよ。
リョウ:5,000枚以上は売れないって言われた気がしますけど。
ナボ:コロナの影響で? 人気がないからとかじゃなくて?(笑)
──そもそも武道館でライブをやる話はどこから出てきたんですか。
ナボ:まだジェームス(2019年12月卒業)がいた頃に吉本(よしもとミュージック)の人と「武道館を目指そうか?」って話になったんだよね。そのときは吉本のマネージャーみたいな人のほうが乗り気で、俺たちはそこまでじゃなかった気がする。
カタル:話に現実味が全くなかったからね。実際やるにしても、その間に過程があるもんだろうと思ったし。
ナボ:ホールツアーを回ったり、段階を踏んだ後に武道館にたどり着くみたいなね。そんな話をしてるうちにコロナ禍になっちゃって、ちょうどその頃、吉本からは年内で離れてまた自分たちだけでやっていこうって話をメンバー内でしてて。ただその時点ではすでにディスクガレージやエイティーフィールドが武道館の申し込みをしてて、去年の秋に「武道館が取れました!」って突然言われてさ。吉本から離れるのを決めた後に(笑)。
カタル:「武道館に申請しますか? しませんか?」と訊かれたときは、まあ申請するだけなら…みたいな感じで全然現実味がなかったんだけど、いざ申請したら通っちゃったみたいで。僕らもエッ、通ったの!? って感じで(笑)。
ナボ:抽選だけかと思ったら、ちゃんと審査もあったみたいでね。それで「じゃあやろうか」ってことになって。
リョウ:まさに「やれるもんならやってみろ!」(新宿LOFT出演300回カウントダウンシリーズのタイトル)ですよね(笑)。
ナボ:後日、吉本の人に「武道館やります」と伝えたら「やめたほうがいいんじゃない?」って逆に言われたけど(笑)。
──あっちゃんも武道館でやれるとは思ってもみなかったんですか。
アツシ:そうだね。でも吉本さんと「武道館を目指しましょう!」ってタッグを組んで、チーム一丸となって向かっていたのは事実。
リョウ:俺への再加入の誘い文句は「いま武道館を狙ってるから」でしたから(笑)。
ナボ:ジェームスがやめるのは随分前から決まってて、でもこの時期にやめてもらっちゃ困ると引き留めて年内までお願いしたわけ。その間にリョウ君にはまた一緒にやらないかと話をしてたんだよね。
リョウ:俺も以前とは状況が変わってて、すぐに返事はできなかったんですけど、何とかその意気に応えたくて。
カタル:リョウ君の復帰第1弾の仕事は『唐人街探偵 東京MISSION』っていう中国の映画だったよね。
ナボ:4人で元コマ劇の近くで撮ったやつね。まだジェームスがいるときだったんだけど。
カタル:映画の公開がリョウ君の復帰後だったから、撮影はリョウ君じゃないとおかしいってことでね。
リョウ:繰り上げ当選みたいな感じですね(笑)。
──日本武道館といえば言わずもがなロックの殿堂としても知られますが、武道館でライブを観たアーティストでとりわけ印象に残っているのは洋邦問わずどんな面々でしょう? あっちゃんはやはりARBですか。
アツシ:一番最初に観たのがARBで、その後にCOBRAだったかな。あとはやっぱり友達のバンドだね。ピーズ、怒髪天、コレクターズ、フラカン…友達が武道館でできるんだ、すごいな! って。友達ができるんだから自分にもできるとは思わなかったけど。
カタル:そこは俺もできると思わないと(笑)。僕は武道館といえばデヴィッド・ボウイかエアロスミスか…いずれにせよ最初は外タレですよね。
リョウ:俺も最初は外タレだったと思うんですけど、もう覚えてないですね。
ナボ:俺は10回も行ってないと思うな、武道館は。外タレが多かったと思うけど。
カタル:フラカンとか同世代のライブももちろん観に行ったけど、矢沢永吉さんのライブは印象深いかな。
アツシ:永ちゃんは観てないな。観たのはベイビーレイズとかLa'cryma Christiとか…。
ナボ:俺的にはアイドルとかがやり始めてちょっと感じが変わったっていうか。LOFTとかもそうなんだけど、アイドルが出始めて自分の中でちょっと感覚が変わったよね。“バンドの居場所”って感じではなくなった。
──なるほど。そんな武道館公演に向けて、今年のニューロティカは精力的にライブを積み重ねて過密スケジュールをこなしているように思えますが。
ナボ:まあいつも通りのペースだけどね。
リョウ:でもこのコロナ禍ではだいぶライブをやってるほうじゃないですか?
ナボ:コロナ禍でライブをやらないほうがいいと言う人もいるし、地方へ行っても人が入らないからやってもあまり意味がないとか言われるけど、ライブは常にやってないとさ。っていうのも、2018年にZepp Tokyoで通算2,000本目のライブをやったじゃない? あのあと半年くらいライブをやらなくて、復帰一発目がもうしょうもないライブだったんだよ。会場の問題とかいろんな要因があったんだろうけど、ライブをやらなすぎるのは全然ダメなんだなっていうのが俺の中ではあって。
──単純にライブをやれないストレスもありましたよね?
ナボ:ストレスはすごいあったと思う。でもいざライブをやれてもいい形にできなかったし、やっぱり休んだままだとダメなんだよ。俺のドラムもそうだけど、あっちゃんは特にずっと唄ってないとダメになっちゃうんじゃないかな。
アツシ:うん。ライブはもちろんずっとやってるほうがいいよね。
──これまでずっとライブありきの生活だったわけだし、ライブをやらないとバイオリズムが悪くなりそうな気もしますし。
ナボ:だから去年、コロナになってライブが全然できないときもなんとか配信でやったりして、ライブはできるだけやろうとしたよね。