「シャドウ・ヴィーナス」の仮タイトルが「三四郎」だった理由
──Usuiさんが「(CDの)発送先リストを見ると全国各地に散らばっていて、オンラインユニットの面白さが可視化されたような気分になります」とツイートされていましたが、40回近く会議を続けてきたからこその成果と感慨もあるでしょうね。
Dr.Usui:全部の回を見てくださっている皆勤賞の方はおそらく数十人だと思うんですけど、そういう人たちが今回のCDリリースを発表してすぐに注文してくださったんです。リストを見ると、いつものハンドルネームと違うから誰が誰だか分からないけど、自分が思っていた以上に女性のリスナーが多かったりして驚きました。ハンドルネームだけだと性別は分かりませんから。それと、あえてコメントを残さない方も大勢いらっしゃったことがリストで分かったし、CDをリリースすることになっていろんなことが判明して面白かったですね。最初は茉里ちゃんのファン、名嘉真監督のエイプリルズのファン、(M)otocompoのファンがそれぞれ興味を持ってくださったと思うんですけど、ZOOM会議を半年ちょっと続けてきたことでDISCOMPO with 泉茉里のファンが徐々に増えて、そういう人たちが集える場がだんだんできてきたことがすごく嬉しいです。
──去年の11月21日、結成半年で初めて全員揃っての練習が行なわれましたが、それはシングルのレコーディングに備えたものだったんですか。
Dr.Usui:シングルのレコーディングはすでに終えていて、あれはオンラインでライブをやるために何ができるかを模索する会だったんです。一度みんなで会って、音を鳴らしたり唄ってみたりしながらどんなことができるか試してみようっていう。名嘉真監督にはカメラを持ってきてもらって、こんなふうに撮れば画になるかな、とか。雰囲気のあるスタジオを借りて、こういう所で撮ればいい画が撮れるんじゃないかとか、みんなでああでもないこうでもないと半日くらい話し合ったんです。
──ああ、1月21日に配信されるというファーストライブセッションのための集まりだったわけですね。
Dr.Usui:そうなんです。実は12月末にみんなで集まってライブをやりまして。
絢屋:初めての練習のときは簡易的にギターを一本持ち込んだだけだったんですけど、そこで感触を掴めたので、ライブセッション収録の際はアコギとかいろんな楽器を持ち込んだりしたんです。
Dr.Usui:どんなライブに仕上がっているかは見てのお楽しみですね。過去のZOOM会議ではどういうことをやろうかと話し合っていて、かなり白熱した議論もしたんです。それを見ていただければおおよその内容が分かるかもしれませんが、あまりイメージできないというか、ちょっとイメージを裏切る感じにもなるんじゃないかと思います。
──今回のCDですが、「シャドウ・ヴィーナス」と「輪郭」の2曲だけというのがもったいない気がして。結成当初にミュージックビデオで発表した「Boys, Boys, Boys.....」や「Another Century」といった名曲もあるわけですし、ミニアルバムの体裁でも良かったのではないかと思ったのですが。
Dr.Usui:あえてシングルにしたのは、スピード感を優先したかったことが大きいですね。いずれはアルバムも出したいし、「Boys, Boys, Boys.....」と「Another Century」もちゃんとした形にしたいです。あの2曲はオンラインでラフに録ってラフミックスした状態で上げてあるので、ちゃんとした音源にするときは録音し直したいです。
──「シャドウ・ヴィーナス」のほうはZOOM会議のデモ楽曲ファン投票から選ばれて制作されたそうですね。
Dr.Usui:候補にあった4曲から選ばれた曲ですね。僕がラフなスケッチの曲を毎週木曜日に提出するという過酷なことをやりまして(笑)。
絢屋:Dr.Usuiが毎週1曲デモを上げていって、それを1曲ずつ聴いていただいて、4曲揃った時点でこの中からどの曲を採用するかを投票で決めていただいたんです。その得票数1位が「シャドウ・ヴィーナス」の原曲ですね。
──オフィシャルサイトにデモ音源の投票結果が発表されていましたね。曲のタイトルは仮の状態で。得票数35%で1位になった「三四郎(仮)」が「シャドウ・ヴィーナス」になったわけですね。
Dr.Usui:その通りです。「三四郎(仮)」は3週目にできた曲なんですよ。3週目の提出直前で、その前に作っていたアイディアがどうしても形にならないと思って、配信の数時間前にゼロから作り直したんです。配信が夜の9時からで、夕方の6時くらいから1、2時間でサラサラっと書き上げたのが「三四郎(仮)」なんです。
絢屋:3週目に出たけどアイディアは4つ目だったんですよね。曲を聴いた後にDr.Usuiがそんな話をして、確か茉里ちゃんが「じゃあ『三四郎』だ!」と言って仮タイトルになったんですよ。
──ということは、得票数27%で2位になった「南国ラガマフィン(仮)」が「輪郭」になったんですか?
絢屋:いや、デモ投票から勝ち上がったのは「シャドウ・ヴィーナス」だけです。「輪郭」はその時期に並行して作っていた短編映画の主題歌なので。
Dr.Usui:あの時期は短編映画のことを伏せていたんですよ。東京都の「アートにエールを!」の企画だったので言うに言えなかったんです。ちなみに「南国ラガマフィン(仮)」は最初の週に提出した曲で、タイトルも張り切って募集したんですよね。募集して投票で決めたんですけど、2週目は茉里ちゃんが「もうタイトルの募集はしなくていいよ」と言い出して(笑)。