好評放送中のTVアニメ『LISTENERS リスナーズ』。まだまだ謎も多く目が離せない今作。原案ともに音楽が大きな魅力の今作で音楽プロデュースもされ、作品の根幹を手掛けられたじんさんにお話を伺いました。[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]
「王道感」があってこそできたこと
――アニメ企画「LISTENERS リスナーズ」の成り立ちを伺えますか
じん:「メカクシティアクターズ」という作品の制作が終わったあたりでプロデューサーの橋本さんと出会いまして、そこから佐藤さんをご紹介していただき、色々なお話が始まったという感じです。企画立ち上げ当初から、チームの皆さんは未熟な自分の悩みであったりを本当に親身に聞いてくださって、それに応えるべく全力で取り組みました。
――『LISTENERSリスナーズ』を「ボーイ・ミーツ・ガール」になった経緯を伺えますか。
じん:第1話で主人公「エコヲ」も叫びましたが「死にたくない、ここで終わりたくない」という意志から始まる物語を書きたかったんです。とてもシンプルなテーマ故に、だからこそ王道のストーリーを芯に据えたいと考え、今のような形になりました。主人公たちこそ王道な描き方をしていますが、逆にサブキャラクターや世界観、音楽などはフルスイングでトライしているので、それもエコヲとミュウの「王道感」があってこそできたことなのかもしれません。
――作品舞台のについて伺えますか。
じん:1話目の話ということであれば(お気付きのことかと思いますが)タイトルにも据えた偉大な楽曲が、モチーフの根幹にあります。作品に登場する人名、地名なども、その楽曲にまつわる背景であったりから、多く影響を受けました。特に1話は各シーンの雰囲気、劇伴などもそのバンドの楽曲をインスパイアしたりしているので、ぜひ探してもらえたらと思います。
――これだけの音楽ネタはどのようにみなさんでネタ出しされたのですか。
じん:本当に音楽好きな人ばかりのチームだったので、毎週定例会のたびに音楽談義みたいなのを延々やっていたんです。 そんな中で「それ〇〇したら面白くないですか?」とか「誰も気づかないと思うけどここのシーンはこの楽曲の雰囲気で…」とか、あがったそういう話が、どんどん脚本になっていったという感じでした。
――これだけコダワリの強い作品だと情報共有が大事になってくるのではと感じていますが世界観はどのように共有されているのですか。
じん:僕の場合はイメージの根幹になった作品、人物、事象などを、そのまま脚本に書いていました。1つのセリフを書くより、それにまつわる補足話を書くほうが分量が多い、なんてこともありましたね。後半はもう「書かなくてもこの方達知ってるな」と気づき、口頭で伝えたりが多かったと思います。
――音楽用語が多い作品ですがどのように作品世界とリンクされていったのか伺いたいです。
じん:ネーミングセンスに自信がなかったので、人名や、用語に関しては皆さんにお任せしていた感じです。逆についた名前から、色々と膨らませて書くことの方が多かった気がしますね。
――音楽ネタと物語のバランスはどのようにとっていらっしゃるのでしょうか。今作ではあまり詳しくなくても楽しめるのでそのバランス感覚が素晴らしいと感じています。
じん:ありがとうございます。企画当初から「ちゃんと若い子にも楽しんでもらえる作品にしよう…」と、皆で念仏のように唱えていたんですが、結局皆さん、ちゃんとやりたいことを詰め込んでいったので、う〜ん、実際マニアックな要素はかなり多くなってしまったのかもと思います。僕はチームの中でも年代が離れていたので、共通感覚をジャッジラインとして信頼していた節はありますね。
「憧れ」をそのまま作品に落とし込む
――セリフ回し・キャラクター作り、デザインについても伺えますか。
じん:そこらへんは脚本の宮(昌太朗)さんや、pomodorosaさんからアウトプットされたところなんですが、「おぉ〜、ここにこのセリフを入れるんだ!」みたいな感じで、すっかり自分は楽しんでいました。チームの各人がやはりそれぞれ違うフィルターを持っているので、そのミクスチャー感も「世界観を大人しくさせない」要素だったのかなと思います。
――各話タイトルと各話の物語のリンクについても伺えますか。アルバムタイトルなどから各話タイトルをつけていらっしゃいますが、物語とのリンクはどこまで意識されているのですか。タイトルだけでなく歌詞やアーティストも含めている形でしょうか
じん:あくまで「モチーフ」ではありますが、タイトルにまつわる人・作品からは色々な角度で影響を受けています。個人的に脚本で一番影響受けていると感じるは、やはりそのバンドの思想やエピソードでしょうか。その「憧れ」をそのまま作品に落とし込むような作り方をしました。
――作品を構成していく中で印象に残っていることはありますか。
じん:まだ公開されていない話になるんですが、6話の最後を書き終えた時、今まで聴いてきた「その」楽曲のタイトルが違う意味ですっと自分に入ってきて、なんというか、すごく良かったです。
――これだけコダワリの強い作品。キャラクターも立っていて合う方を選ぶのは大変だったのではと思いますが、キャストのみなさんはどのように決められたのですか。
じん:これはもう普通に、チームの皆で話し合いながら「〇〇は誰がよさそうだよね」というような決め方でした。キャストに関してあまり自分は主張がなかったんですが、特にエコヲとミュウの配役は、悩んで決めさせていただいた覚えがあります。
――キャストにはどのように演技指導をされているのですか。
じん:安藤(裕章)監督が脚本からすごいイメージを作ってくださっていたので、基本はお任せしました。僕からはイントネーションであったりを直していただいたくらいでしょうか。
――毎話かわるEDのこだわりについても伺えますか。
じん:やはり一番は、脚本に携わった故に観ることのできた景色を、音楽の角度から表現することでしょうか。脚本を書きながら浮かんだ曲とかもあったので、そのカタルシスを音楽で表すということに、注力しました。
――アーティスト・用語含めて音楽を物語の主軸にされている作品だからこそ強いのではと思いますが、作品音楽のこだわりについても是非。
じん:ギターが主役の劇伴ということで、月並みですが特にギターサウンドを意識して聴いていただきたいです。主人公が巡る国々、そこで起きる出来事、作品の抱える色々な要素に対して、音楽のチームは本当に真摯に最高の音を鳴らしてくれています。ブルーレイにサウンドトラックがつくので、ほんとに聴いて欲しいです。
――設定資料集は出ますか?これだけコダワリのある作品なので欲しいです!
じん:自分も欲しいです。出してください。





















