信仰を続ける両親との関係は…?
——宗教をやめたきっかけは、息子さんのちはるくんへの輸血を決断した時かと思います。ちはるくん自身は、当時のことをどのくらい覚えているのでしょうか。
たも:エホバを辞める大きなきっかけになったのが息子の病気です。本人も、たまに思い出すみたいです。先日、今度のロフトのイベントに使う昔の写真を探していたんですが、宗教施設の写真を見て、「この場所覚えてる!」と言ってました。
——ちはるくんの持つエホバへの印象は?
たも:教理的なことは教えていなかったので、エホバというワ—ド以外は覚えていないようなんですが、集会はずっと座っていて退屈だったみたいです。
——漫画の中でも、ちはるくんが集会を嫌がるシ—ンが印象に残ってます。
たも:Noがはっきり言える子でよかったです。
——YouTubeなどをきっかけに、エホバへのネガティブな情報が入ってきた当時は、どのような心境だったのでしょうか。
たも:そうですね…。それまでにも信者同士のいさかいや干渉などに、「ん?」と思うことは何度かあったのですが、「そんなはずはない、この宗教以外のどこに救いがあるっていうんだ」と、押さえ込んでいました。ただ、大きな矛盾に気付いてからは、「やっぱりそうか!なんでもっと早く気づかなかったんだ!私はなにをしてたんだ!」という後悔やら自責やら、いろいろですね…。
——そこから、お父さんへの感情に変化はありましたか?
たも:その時になって初めて、父が理性的に改心させようとしてくれていたことを理解しました。なので、一気に敵から味方に変貌です。ただ父は、私がエホバからいなくなった後の母のことを心配していましたね。
——優しいお父さんですね。
たも:そうですね。「どこの組織にも落ち度はあるから、とりあえず母さんのためにも集会は行ってくれんか」みたいなことを言われました。「だが断る」ですが(笑)。
——一蹴(笑)。
たも:今は、父が母に付き合って集会に行ってあげてるみたいです。母が辞める選択肢はないようなので。
——私は全く活動をしていない創価学会2世なのですが、両親には今更変に揺らいでしまうより、宗教を全うしてほしいと思っています。たもさんはどうでしょうか。
たも:う—ん…。もう60後半になった母親に、友達がひとりも居なくなるのは気の毒ですし、いきなり心の支えを失った穴埋めをしてあげるだけのキャパが自分には無いんですよね…。
——同じくです。
たも:夢を見ていたほうが幸せに人生を終えられるんじゃないかと思います。
エホバを辞めて、依存をしないで生きる
——エホバをやめてから、不安が沢山あったことを漫画でも知りました。やはり、支えになったのは家族の存在ですか?
たも:「カルやめ」の話ですね。家族がいるのはもちろん支えになりましたし、親や仲間に嫌われても家に帰れば子供が笑っていることは大きな力になりました。でも、依存のしすぎも危険だな、とも思います。母が私に依存していたように、唯一の居場所にしてしまうと相手は重荷になると思うんです。
——なるほど…。
たも:自分で自分を充たしてあげられるようにできたらいいなと思います。なので時々おしゃれなカフェに行くのです(笑)。
——楽園に(笑)。
たも:はい(笑)。
——自分で考えて決断するというのが、カルト宗教2世が抱えるテ—マなような気もしますね。
たも:それは大いにあると思います。エホバに入信していると、自分で考えることがなくなるので自分の考えが分からないんです。
——そこが宗教の怖いところだと思っています。
たも:中には、エホバを辞めたのに、自然派や子宮系などに流れて行った人もいますね…。
——でたー。(大喜び)
たも:私もおまたを温めてみたことが…。痒くなってすぐ辞めました。
——(笑)。以前、とんでもスピリチュアルの潜入をしている山田ノジルさんにイベントを開催して頂いたのですが、かなり闇が深かったです。
たも:そうだったんですか。行きたかった…。
——気持ちが揺らいでる人につけ込む商売は、本当に悪だと思ってます。
たも:ほんとですね。
——今は、新しく漫画を描いていますか?
たも:実は、性教育の関連で、「withnews」さんで連載をさせていただくことになったんです。私自身がすごく変わった環境で、性教育を全く受けてこなくて、どうやって息子を育てようかと…。犯罪の被害者にしない、加害者にさせない。そういうテ—マで描いていこうと思っています。いま、性教育にすごく興味があるんです。
——そうなんですね! 性教育熱いですよね。
たも:私自身が勉強になるので、面白いです。ただ、漫画連載の最初のセリフが「ち◯こ!ま◯こ!」なんですけどね。
——(笑)。楽しみです!では最後に、このインタビュ—をここまで読んでいただいた方々にメッセ——ジをお願いします!
たも:はいっ。ここまで読んでくださりありがとうございます。私のつたない経験談ですが、宗教二世の方も、ご自分で信じた方も、大切な人を宗教に取られた方も、一般の方で興味を持ってくれた方も、みんなが、「あるある、分かる」と笑ってくれたら嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。