4/26(日)ネイキッドロフトで、エホバの証人2世としての経験を告白した2冊『カルト宗教信じてました。』『カルト宗教やめました。』のうち、後作の出版記念イベントを開催することになりました!もちろん、漫画家の"たもさん"にもお越しいただきます。さらに、きっと皆さんも驚くかもしれないスペシャルゲストにも登壇していただく予定です...!
また、このインタビューでは、宗教2世としての気持ちを赤裸々に話していただいています。漫画と合わせて、要チェックです!ネイキッドロフトでは、1年ほど前から「宗教2世だョ!全員集合!」シリーズなど宗教2世問題をブった斬るイベントが、かなり好評です。この機会をお見逃しなく...!
信仰のある方も、信仰のない方も、当日ネイキッドロフトでお待ちしています![interview:幸進伍(Naked Loft)]
自己紹介
——前作に続き『カルト宗教やめました。』出版おめでとうございます!漫画の内容と重複してしまうかもしれませんが、お答えいただければと思います。まずは、簡単に自己紹介をお願いします!
たも:はいっ。たもさんです。漫画を描いております。ただ、漫画家と名乗るとなんだかイキってるようで、あんまり言わないんです…。
——そうなんですね(笑)。細かい出来事の描写が多く、たもさんの境遇が理解しやすかったです!
たも:ありがとうございます…!
エホバの証人への入信、母と子の関係
——早速ですが、エホバの証人について、どういう宗教か説明していただいもよろしいでしょうか?
たも:はい。エホバの証人は、19世紀にアメリカで生まれた新興宗教です。聖典は、彼らが独自で翻訳した「新世界訳聖書」で、キリスト教原理主義に近いものでした。信者たちは、自分たちこそが正当なキリスト教の流れをくむ最古の宗教だと信じていますね。
——そのエホバの証人に、たもさんが入信した経緯というのは…?
たも:私の母が先に入信していて、私は母に誘われて入信しました。小学校5年生の頃です。
——ちょうど物心がつく頃ですよね。やはり、お母さんだから信用したのですか?
たも:父に怒鳴られていた母が可哀想だったので、味方をしてあげたいと思ったんです。それに、宗教の研究を紹介してくれた女性がとても美人で穏やかで、まんまとほだされてしまったんですよね。
——もしかして、紅茶を出してくれた人ですか?
たも:そうです、ちなみにあれはハーブティーです(笑)。ハーブティーを見ると、今でも思い出してしまうのであんまり飲みませんね…。
——そういえばハーブティーでした(笑)。
たも:はい(笑)。あ、あと、当時は、霊界やらノストラダムスの予言やらで、オカルトブ—ムがあって、うさんくさいのがテレビでよくやってましたよね。1999年に世界が滅びるとかそういう…。それで、興味があったのもあります。
——入信に違和感はありましたか?
たも:違和感は…確かに「宗教…?」という感じはありました。ただ、彼らはカルト宗教であることをうまく隠していて、「世界のベストセラ—である聖書を学ぶと、良いことがいっぱいあるよ」といったスタンスだったので、純粋な私はすっかりだまされました(笑)。
——なるほど…。お母さんが入信した理由は、なんだったのでしょうか?
たも:母は、今で言うワンオペ育児をしていて、孤独に悩んでいるところを優しく声をかけられ、柔和なエホバの信者に魅せられて入信したみたいです。
——他の兄弟に入信の誘いは?
たも:他の兄弟も一通り誘われたようです。ただ、私よりも年上の兄弟はみんな大きくなっていましたし、反抗したり途中で飽きたりして続きませんでした。
——たもさんとお母さんのことを、他の兄弟はどういう風に見ていましたか?
たも:多分、「キモイ」と…(笑)。家族としては普通に接してくれていましたが、宗教になるとノ—タッチでしたね。こちらも嫌がるだろうからなにも誘いませんし、向こうもなにも言ってこなかったです。
——暗黙の了解といった感じですかね。
たも:そんな感じです。ただ、いつも母からは、「楽しそうにしなさい。」と言われていました。「宗教をやってるとこんなに幸福なんだよ!」とアピ—ルしろと…。
——互いに介入しなかったことは、いま振り返ると、どう思いますか?
たも:反対すればするほど、宗教をやってる人は頑なになるので、介入せず優しく接してくれたのは良かったのかもしれません。
——漫画では「矛盾がある!」と父親から問い詰められるシ—ンがありましたよね。その時に、漫画の中のたもさんは、耳を塞いでいました。ちょうど、エホバに否定的な言説が全く耳に入らない時期だったと思うのですが、その頃の自分に今だったらどんな声をかけますか?
たも:そうですね…。信じている最中の人って、なかなか反対意見が耳に入らないんですよね。それがどれだけ的を射ていても、「騙されるな、サタンは巧妙だ!」と心の中で抵抗をするんです。なので、当時の私にはなにを言っても無駄かなと思います。
——なにを言っても無駄ですか…。重い言葉ですね。
たも:「自分でちゃんと考えてね」と言ったところで「考えてるよ」と返されると思います。ただ、私の場合はエホバの証人に憧れの存在がいたのが大きいですね。私の兄弟は、みんな気性が荒く喧嘩ばかりしていたので、ああいう優しい雰囲気をまとった女性になりたい気持ちがあったのかな、と…。
エホバの証人が抑圧した娯楽との向き合い方
——少し脱線するかもしれないのですが、学校で運動会に参加できない生徒がいて理由を聞くと、「宗教的に争えない」と言っていたんですよね。エホバの証人だったんじゃないかなぁと思っていたのですが。
たも:運動会の件は、多分エホバだと思います。
——たもさんも参加しなかったのですか?
たも:騎馬戦や、応援合戦は参加しなかったです。騎馬戦は戦いなので禁止されていて、応援合戦は”フレ—フレ—“や、”三三七拍子”がダメだったみたいですね。戦争や宗教ぽいのは全部ダメでした。でも、私は小5からの入信でしたし、他の反抗期の子供も校歌や国家を歌いたがりませんから、紛れて良かった方です。
——制作のお話を聞かせて下さい。絵のタッチの面で、影響を受けた漫画はありますか?好きな漫画を教えてください!
たも:絵のタッチは特に…下手なのでおこがましいというか…。少女漫画のりぼんに「岡田あ—みん」という漫画家さんがいて、その方の漫画が大好きでした。あと、西原理恵子さんも好きです。
——幼い頃から、絵を書いていたのですか?
たも:大した絵ではありませんが、ノ—トやプリントの裏によく落書きをしてました。友達を主人公にして漫画にしたり、日常を漫画に落とし込むのが好きでした。
——その中に、漫画に描かれていたエホバの頃のエピソ—ドもあったんですか?
たも:いや、不敬というか…。エホバのことは、「漫画にしちゃいけない」と心のどこかで思ってました。一度、キリストを主人公にした漫画を描いたら信者にめちゃくちゃ怒られたことがあったんです。
——漫画を読むことは、大丈夫だったのですか?
たも:母はいい顔しませんでしたが、こっそりと。兄弟が普通に買っていた漫画を見せてもらえたので、りぼんやジャンプを読んで育ちました。テレビで『北斗の拳』や『聖闘士星矢』を観ていた時は、チャンネルを手で押さえておくんです。それで、母が通りかかるとチャンネルを変えて『日本昔ばなし』にしてました(笑)。テレビを消すと、当時はブラウン管なので熱や静電気でつけてたのがバレるんですよね。
——私も『ギルガメッシュナイト』を観ている時に同じようなことをしてました(笑)。『日本昔ばなし』のような、日本の神話や神様には寛容だったのでしょうか?
たも:本当は神道や仏教てきなエピソ—ドもふさわしくないんですが、暴力的なものよりはマシということで、我が家ではOKでした。『世界名作劇場』もOKです。
——なるほど!そういう意味では『北斗の拳』とかは、最悪ですね。
たも:ですね(笑)。血が出るとダメでした。『北斗の拳』なんかは、血が四方八方に飛び散りますからね。