面倒くさくないと良い衣装なんて出来ない
田中:本来ならメンバーがアリスなのに、直感でウサギを依頼した後にいろいろ考えちゃって。この矛盾に意味を持たせたらいろんな解釈ができて面白かった。衣装のおかげで別な物語を想像する綻びが出来ました。
どくきのこぴんく:原作はナンセンス文学なんで、ナンセンスな要素をどこに入れるか?ダブルっぽいジャケットにして全部切り返しにする、無意味とかジョーク、裏側に遊び心で花柄の生地とか、ナンセンスとはこういうもんだろ?っていうテンションを差し込んでみました。あとは時計。制作を頼んだ人が優秀でしっかりしたものを作ってくれました。時代背景を感じさせる歯車とか、トランプの要素、中のアンティークの針もわざわざ取り寄せてもらいました。最後、ジェルでコーティングする際に、ラメとかグループをイメージする緑色のストーンを砕いたものを入れたりとか。
ナーナナラ:衣装制作はどれくらい時間がかかりましたか?
どくきのこぴんく:構想からけっこう時間をかけて、年末にはほぼデザインをあげて。で、こう言うと簡単に作れちゃうって思われそうだけど(笑)、本当に死ぬ気で4日とか5日で6人分を作りました。
田中:最初の打ち合わせの段階でけっこう悩みましたよね。
どくきのこぴんく:いやほんと(笑)。構造上、耳を入れるのはやめて。時計は生地じゃないから難しいと、そしたら外注でいいから探せますか?ってなってなんとか見つけて良いものが出来て、本当に面倒くさい衣装なんですよ、良い意味で(笑)。でも面倒くさくないと良い衣装なんて出来ないですよ。かけた時間と、気持ちと思い入れが全部込められてるんで。気合い入ってるな、やってるな、っていうのが感じられる衣装になったと思います。
レーレ:ジャンプしたり、ターンした時に一瞬この裏の柄が見えたり、このロングスカートも回った時に凄い綺麗な形だなって。
ユブネ:パンツは最初から決まってたんですか?今までずっと短い子はプリーツスカートっていうイメージだったから新しいっていうか。
田中:活発な面と可憐な面、両方出たらいいよなって。かぼちゃパンツは、どくきのこぴんくさんのアイデアでしたよね。
どくきのこぴんく:可愛いかなって思って(笑)。ストレートのパンツにすると強さが出過ぎるんで。こういう下にすぼまってるカフスのショートパンツって普段は穿かないと思うから、現実離れしたファンシーなイメージになるかなって。アリスに公爵夫人という登場人物がいるんですけど、このカフスの部分が「公爵夫人」という名前の生地です(笑)。
一同:えー!!
どくきのこぴんく:どうでもいい情報なんですけど(笑)。
タマネ:この衣装で、洞窟でレイヴしたいです。あと、わかりやすいところにも隠れたところにも意味が隠されているので、その意味を自分たちでも表現して世界観を深められたらなって思いました。