ミシェルのレイヴは興奮が伝染するシステム
──サウンドで心掛けていること、また、今回のアルバムでこだわった部分を教えてください。
タニヤマ:サイケデリックトランスで完全な歌ものっていう新しいジャンルを作るつもりで制作しています。作法とか要素はしっかり入れつつ、壊す部分は壊す。言葉遊びになっちゃいますけど、サイケデリックでトランスできる音楽であることが一番大事です。アルバムはミシェル版『不思議の国のアリス』で、聴いた人が「あのシーンかな」って想像してもらえるように制作しています。メロディとかアレンジ、曲全体の構成はもちろん、効果音一つ取っても意味を持たせています。田中さんから「この靴音は女の子っぽくないです」とか「歌詞がいい子ちゃん過ぎます」とか、そこ突っ込まれたかーっていうダメ出しをたくさん喰らいましたね(笑)。もともと自覚はあったんですが、今回の制作で完全に自分がドMだなと確信しました。無茶なオーダーが来るたびに高ぶってましたね(笑)。
Togashi:メンバーやタニヤマさんと化学反応を起こすつもりで取り組んでいます。アルバムはアリスにちなんだサウンドや展開を入れるのも重要。その解釈の仕方や入れ方にもかなり気を使っています。本来は同じ展開をほぼ繰り返さないジャンルなので、すべてのセクションに一切の気が抜けないです。テーマに即した形にしつつ、クラブミュージックとして成立させるためにドラムの音レベルで一から作っている楽曲もあります。細かいところにも耳を傾けていただければ幸いです。
──ミシェルのレイヴの魅力とは?
タニヤマ:去年、VISIONでやったワンマンレイヴを見て、夜の23時から朝の6時くらいの尺でやっている普通のパーティーを、ぎゅーーっと圧縮したものなんだなって感じました。僕も後ろのほうで完全に汗だくでしたし、翌日は完全に筋肉痛でした(笑)。ちょっとしたジムですね。健康になりますよ、たぶん。
Togashi:まずノンストップで踊って唄い続けるって尋常じゃないスタミナがないとできないですよね。その時点で一線を画した存在だと思います。あと自分もDJをしてて思うのですが、楽曲を繋ぐことでまた違った感じ方があって、そこが面白かったりするんですよ。
田中:曲はすべてBPMを統一していて、DAWでミックスしたものをノンストップで流しています。エゴサしてると「持ち時間で長い1曲をやってるグループがいた」って書かれることがある(笑)。曲が山場を超えた頃に次の曲のイントロが聴こえ始めるとファンが気づいて盛り上がるから、ミシェルを知らないお客さんも「なんか凄いことが起こってる?」と興奮が伝染するシステムなんですよ。これをアイドルに取り入れたのは発明だと思う。曲を切り刻んでメガミックスやマッシュアップもやります。定番曲の間奏に、レア曲のサビとダンスが重なったり。それに対応するメンバーも奇祭を演出する大切な主役です。
──どんなところがメンバーの魅力ですか。
田中:きゃわ。
Togashi:正直、アイドルの世界を今まであまり知らなかったのですが、去年のVISIONワンマンの終わり際とかに出てくる笑顔とか、楽曲とのギャップで「あっ、良さ」ってなりましたね。
タニヤマ:一人ひとりキャラクターが違くて見ていて飽きさせない。声質もバラバラなので今誰が唄っているとかけっこうわかりやすいかも。あとメンバー同士の信頼感(?)的なものがステージから出ていて安心しますし、そういうのが好きです。
──ミシェルで達成したい目標はありますか。
Togashi:とっっっにかく海外のフェスでパフォーマンスしてほしいですね!あとミシェルを通じた個人的な野望ですが、日本におけるクラブミュージック人口をもっと増やしたい。変なものがいっぱいあるので今後もうまく取り入れていきたいです。
タニヤマ:やっぱり新木場studio coastワンマンは見たいし、行けるイメージもあります。サイケトランスシーンが海外で盛り上がってきているので、その波に乗れないかなと。そして海外でレイヴを行なう際にはぜひ連れっていってほしいな。ご当地ビールを片手に客席で「So cool!」と叫ぶくらいのステマはする予定です。あ、パスポートは持っていますよ、田中さん。
田中:あ!俺、パスポート見たら2018年で切れてましたわ!
タニヤマ:僕はまだまだ活きてますよー(笑)。
田中:じゃあ急に海外遠征が決まったらタニヤマさんの楽器ケースで。
タニヤマヒロアキ