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INTERVIEW

トップインタビューDEATHRO - 2020年の幕開けにふさわしいニューアルバム「FEEL THE BEAT」を解き放つ!

2020年の幕開けにふさわしいニューアルバム「FEEL THE BEAT」を解き放つ!

2020.01.23

 進化と深化を繰り返し続ける8 BEAT J-ROCK STYLEで今や様々なジャンルを越境し、見る者のHEART の導火線に火をつける神奈川県央No.1 ROCK VOCALIST、DEATHROが1月15日に待望の3rdアルバム『FEEL THE BEAT』を解き放つ!! 現代社会への怒りと悲しみを唄った前作『NEUREBELL』から約1年半、新時代を迎え、様々な出会いと別れを経験した先に完成させた今作は、20年代におけるMODERN BEAT ROCKの夜明けと評したくなるほど、今まで以上にスタイリッシュでラウドかつメロウな作品となった。DEATHROが語る今作の制作秘話と楽曲・言葉へ込めた想いとは?[interview:田口俊輔/Photo:Yukiko Ono]

99~00年の“世紀末的な質感”を目指した

──いつ頃から今回のアルバムの構成を考えていたのですか?

DEATHRO:……気が付いたら、という感じでした。日課としてコンスタントに曲を作るようにしていて。5、6曲ぐらい揃うと、アルバムの構成みたいなのがボンヤリと頭のなかで浮かんでくるんですよ。そうなると「この順番に、こんな曲があったら……」と、流れを考えながらの曲作りになり、自然にアルバムが完成しているんですよ。ライブのセットリストを組んでいく方向に近いかな。

──1stアルバム『PROLOGUE』がSUB POP的Lo-Fiガレージmeets J-ROCK、前作『NEUREBELL』がTHE SMITHS、Eins:Vierのようなクリーントーンを主体とした音を意識されたとおっしゃっていました。『FEEL THE BEAT』は、その両極を併せ持ちながらも、生っぽい音が強調された作りになっていました。

DEATHRO:毎回、「前作とは違う音作りをしよう」という意識があって。変えたいという理由は自分にとっての最良の音がなんなのか?と模索しているからで。なので『FEEL~』はバンドサウンドの荒々しい部分を強調して,バーン!ガシャーン!! みたいな凶暴な音にしようかなと……って語彙力低くてゴメンなさい(笑)。ギターもレスポールのようなハムバック系を使いドンシャリにして、ベースのYUKARIちゃん(Limited Express (has gone?)/ニーハオ!)にはミュージックマンタイプのゴリゴリ音が出るものを使ってもらい、ヘヴィな音を目指しました。

──『NEUREBELL』での冒険を経た先で、アグレッシヴさに回帰したのは驚きでした。

DEATHRO:後々になり振り返ると『NEUREBELL』は異色作になるんじゃないかな。今でもあのアルバムの中から披露する曲は「FLOWERS」、「LOST&FOUND」など限られていて、「MISTAKExxx」のようなミドルテンポの曲はなかなか披露しないんですよね。俺は基本ライブで披露することを意識して曲を作るのですが、ライブで披露しないとまるで「捨て曲」みたいだと思ってしまい。それでは曲に対して申し訳ない。その反省を踏まえて、もっとライブでのアグレッシヴさを意識しましたね、例えミッドな曲でも。

──この後にも出てくる”1999年感”を音から感じました。

DEATHRO:はい。99~00年の”世紀末的な質感”を出したくて。作品で言うなら90年代末期に活躍したBlueというV系バンドの、それまでの繊細なサウンドからレスポールとOrangeのアンプでガシガシとアメリカンな音に寄せていった後期の作品から大分影響は受けてます。この頃のV系って、今まで線が細かった音から、ラウドロック/モダン・ヘヴィネスの登場で太い音へとシフトしていったんですよね。そこにプラスして、俺とエンジニアの鈴木歩積くん(told)が共通で好きな、Queens of the Stone AgeやFoo FightersみたいなUSオルタナの要素も加えました。

──「DANGEROUS BEUTY」のシャッフルビートは、QOTSA『Songs for the Deaf』の「No One Knows」を彷彿させますね。

DEATHRO:まさに! レコーディングの時もサポートしてくれるメンバーに「割とモダンでストレートな音作りにしたい」と言っていたそうでなんですよ。

──言っていた。そう……?

DEATHRO:レコーディングの見学に来た貴族(Shinpei Mörishige、FOXPILL CULT)から、この前そう言っていたと教えられたんですよ。俺、自分に対して不注意すぎて過去の発言をあまり覚えてなくて。正直、貴族の方がこのアルバムについて詳しいかも(笑)。「Naughty Girls & Naughty Boys. Spending all lonely nights」では高速モータウンビートを、「パラノイアで踊れ」の出だしのビートはダブステップを意識したりと、とにかく今までにないアプローチを今作は入れましたね。うちのアニキ("CRAZY"COOL-幽閉、HARD CORE DUDE)が聴いた感想は「(LUNA SEAのベーシストの方の) Jの1stソロアルバムぽい」でした。

──『PYROMANIA』!? 言われてみると……(笑)。今作はDEATHROさんのギターをフィーチャーしたり、「DEAR LOVER(reprise)」ではピアノのみのアコーステックアレンジを施すなど、面白い冒険をしていますよね。

DEATHRO:「印象的なフレーズが欲しいね」と歩積くんと話していて、俺がその場で弾いたものが多いですね。聞いていて音程が不安なギターが聞こえてきたら俺が弾いていると思ってください(笑)。「DEAR LOVER」は元々『STARDUST MERODY』のカップリングに弾き語りスタイルで収録していて、アルバムに入れる際はバンドアレンジを考えていたんですよ。それが昨年4月に開催した下北沢シェルターでのワンマンで、FUCKER(谷ぐち順)との共演で気になっていた丸山鮎子さん(The DROPS)をお呼びしてピアノのみの編成で披露したところバチッとハマッて、この形で収録したいなと思いました。

──途中で入る不協和音には驚きました。

DEATHRO:実はあの不協和音は、レコーディングの際に相当苦心して「違う!もう一回!!」を繰り返し、結果ガーン! だけを繰り返していたんですよ。マスタリングをお願いしている中村宗一郎さん(Peace Music)にも「ここで不協和音を入れるとは、尋常じゃない精神の持ち主だね」と言われていました(笑)。

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物申したい自分、軽薄なラブソングを唄う自分、自意識過剰で落ち込む自分……全てを並列したかった

──曲タイトルに日本語のみの楽曲が増えたのがまず、パッと見強いですね。

DEATHRO:「Mr.サンプリング」なので、これまでの曲のタイトルはいにしえのJ-ROCKから元ネタを結構もらっていたんですね。活動も4年、少しずつ自分の“色”みたいなものが見えてきたので、そろそろ楽曲に合ったタイトルを付けてもいいかなと思って考えた結果、日本語タイトルがパッと出てきた……という理由がおよそ3割。あと2019年の上半期に吉川晃司さんを狂ったように聞いていて。吉川さんの曲って回りくどいタイトルが多いんですよ。

──「サヨナラは八月のララバイ」とか、「KISSに撃たれて眠りたい」とか。

DEATHRO:その回りくどさにやられてしまってつけました。それが7割……て、これも結局サンプリングかよ! って話ですが(笑)。例えば「瞳の中の迷宮」は「迷宮」と書いて“ラビリンス”読みにしています。

──ルビ振らないとわからない(笑)。歌詞もものすごくDEATHROさんのパーソナルな色が濃く表れた内容になっていますね。

DEATHRO:そうですね。『PROLOGUE』が割と「人に何言われようと自分がやるべきこと」についてを言葉にして、『NEUREBELL』はポリティカルな面に焦点を当てた「今という時代について」の言葉と、結構ピンポイントで。なので、今回は俺の中にあるもの全てを、同一線上に並べてみようと思って。俺が書く歌詞の内容って5パターンしかないんですよ。「県央というマチについて」、「軽薄な恋愛歌謡曲」、「社会や権威に対する怒り」、「自分の中にある葛藤」……あっ、4つだ(笑)。この4つは、どれも俺の中にある全てのものなんです。物申したい時もあれば、軽薄な恋愛もするし、自意識過剰で落ち込む自分もいる。どれかに一つフォーカスをアテて語るより、自分の内面を並列に広げることが今の自分の気持ちに一番近いんじゃないかと思って、持っているものをテーブルに全て横並びにしてみたという感じです。俺は自分の中から出たものを歌うしかできないタイプなので。

──改めて自分を客観視しようとした結果、ですか?

DEATHRO:アルバムのために曲を作り進めていたら、気が付いたらパーソナルな言葉が多く出てきたって感じですね。『NEUREBELL』発売以降、大きな出来事が続いたんです。まず、20年間共にしてきた兄妹とも言える愛猫二匹が相次いで亡くなったこと。この別れは自分史でも、ものすごく大きい出来事でした。あとは平成最後のツアーから4人編成になったり、自主企画を開催したりと音楽面で色々な変化があり、貴族に以前から敬愛するRODさん(藤崎賢一、JUSTY-NUSTY/METALIC/ex:CRAZE)という自分にものすごく強く影響を与えてくれる人との出会いがあったりと、色んな意味で忘れられない1年半を過ごしていたんですよ。

──令和という時代を迎えたことも大きい?

DEATHRO:ない! ……と言ったらカッコイイのでしょうが、それは嘘になりますね(苦笑)。

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DEATHRO「FEEL THE BEAT」

[CD] 2020年1月15日発売/ ROYAL SHADOW / RS-17

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LIVE INFOライブ情報

DEATHRO
TOUR 2020 MAXXXIMUM MATRIXXX FINAL
“FEEL THE BEAT” RELEASE BASH TOKYO 1MAN
2020/5/12(火)東京:渋谷WWW
開場:19:15 / 開演:20:00
前売¥3,000+1DRINK / 当日¥3,500+1DRINK
 
チケット情報
手売りチケット(1/4下北沢SHELTER会場より発売)
e+先行チケット(1/11 10:00~1/26 18:00)
e+一般チケット(2/1 12:00~5/11 23:59)
 
DEATHRO
TOUR 2020 MAXXXIMUM MARIXXX
 
1/26(日)静岡:LIVE HOUSE騒弦
開場:15:30 / 開演:16:00 当日のみ¥1,500+1DRINK
共演:T.V.NOT JANUARY、タオル、DAISEI STOCKHAUSEN、HALF KILL
 
2/9(日)神奈川:横浜天王町STUDIO OLIVE
開場&開演:15:00 当日のみ¥2,000+1DRINK
共演:Limited Express(has gone?)、UNSKILLED LAB、THE LORD RUNNNERS、三沢洋紀と岡林コゾウ大輔
 
3/7(土)三重:四日市VORTEX
3/8(日)滋賀:彦根ダンスホール紅花
3/14(土)徳島:TBA
3/15(日)岡山:CRAZYMAMA STUDIO
4/11(土)宮城:仙台BIRDLAND
4/12(日)福島:郡山PEAK ACTION
5/3(日)大阪:難波BEARSワンマン
5/9(土)愛知:今池HUCK FINNワンマン
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