MAD3は復活してからSHELTERでもLOFTでも担当させてもらって私の生誕祭でもジミ・ヘンドリックスのカバーを真夜中に捧げてくれて大好きなバンドです。今回は海外ツアーの話やMAD3というバンドの存在そのものの話を聞きました。30年走り続けた一人の男の生き様を感じられるインタビューになりました。これからも走り続けて欲しいバンドです。(新宿LOFT店長 柳沢英則)
自分のやってきたことが誰かの人生の記憶に残ってるんだ
──MAD3のtwitterを見ていたらLOS ANGELSツアーに行ったんですね? 今回のLOS ANGELSに行く経緯を教えて欲しいです。
EDDIE:きっかけは、今年MAD3の結成30周年という節目でもあり、現メンバーのITARUとTAKICHIが加入してから一つの目標ということで、アメリカ・ツアーというのがあったんですが、そこに色んなシンクロニシティーというか、導きがあって実現しました。例えば、去年のロフトのHALLOWEEN BALLに元DEVIL DOGSのスティーヴがBLACK MAMBASのゲストで来日して共演したんですが、その時にアメリカでまたツアーやりたいので協力して欲しいって言ったら、即答でOKって言ってくれたんです。それで、スティーヴは元々ニューヨークに住んでたんですがLAに引っ越してたんで、西海岸を中心にブッキングしてもらうことにしました。彼は1994年からの古い友達でMAD3の大ファンで、以前MAD3のアメリカ東海岸ツアーをオーガナイズしてくれたことがあったし、私もDEVIL DOGSが大好きなので。
──全部で何箇所くらい回ったのでしょうか?
EDDIE:11日間の滞在で、LA、サンディエゴ、ラスベガス、ロングビーチ、エル・セグンドー、アナハイム、オークランド7箇所で9回と、あとBLACK LUNG SHOWというラジオ番組に出演しました。毎日ライブで1日2本の日が2日もあったりして、めちゃくちゃハードだったけど死ぬほど楽しかったです(笑)。
──凄いですね(笑) 。Green DayのBillie Joe Armstrongのお店でライブをしている写真を拝見しました。どんな感じのお店でしたか?
EDDIE:オークランドのGOLDEN BULLと言うところなんですけど、すっごくクールなところでした。入り口を入るとまず両脇にピンボール・マシンがデーンとあって、縦に長い店内を入っていくとテーブルが並んでいて、左側にバーカウンター、突き当りがステージ、その上が楽屋でとてもラグジュアリーなスペースで、シャワーも付いてました。そう言えばトミー・ゲレロっていう伝説的なプロ・スケーターが見にきてくれて大絶賛してくれました! その日のライブのみAYAさんっていうオークランド在住の日本人の方にブッキングして頂いたんですが、その方の旦那さまのロバートがMAD3の7インチやアルバムなどすべてのレコードを当時から集めていてくれて、感激しました! なんだかMAD3の30年の歴史を総括できたって言うか、自分のやってきたことが誰かの人生の記憶に残ってるんだって感じて、そのことに救われたって言うか。
──日本とLOS ANGELSなどのライブハウスの違いなどは、あるのでしょうか?
EDDIE:そうですね。そう言えばロング・ビーチでライブやったPIKE BARってところは元SOCIAL DISTORTIONのドラマー、クリストファー・リースのお店で、シーフードのカフェ・レストラン兼ライブ・ハウスという50’sのダイナー風のお店でここもすごくかっこよかったです。えっと、日本との違いといえば、イギリスやヨーロッパもそうなんですけど、まずは音が良いってことかな。サウンド・システムなんか大したことなくっても、その空間の特質に良く合った音を知ってるっていうか、どんなハコでもエンジニアでなくてもそこの人がちゃんと良い音を作ってるんです。日本ではお店の特質よりマニュアル重視って感じがして、感覚よりも頭で考えて音作ってるっていう印象があります。要は良い音を作れればなんでもOKってことなんだと思います。それと、日本ではライブに行くっていうと、誰かお目当のアーティストがいて、良くも悪くも「コンサート」って感じがするんですが、海外ではお店に客が付いていて、今夜誰が出るか知らないけど出かけて行って、たまたま出演してたバンドが良くて気に入ったら盛り上がる、みたいな非常に自由で自然な感じがします。
──今まで沢山、海外にライブに行かれたと思うのですが、この街は良かった! という場所はありましたか?
EDDIE:昔はニュー・ヨーク最強って思ってたけど、大分変わっちゃったみたいですね。ロンドンも歴史があって最高だけど差別されるの嫌だしなあ(笑)。ブリストルはパンクスやモッズがたくさんいてよかったなあ。パリは美人がいっぱいいたし、アムスは◯◯◯◯がやり放題だし(笑)。でも今はソー・キャルです! あ、これって死語だっけ?(笑)
ロックンロール・キングダム
──2019年12月19日に発売される「ROCK'N'ROLL UNDEAD」について伺いたいです。結成30周年を迎えたMAD3の歴史が凝縮された渾身のベスト・アルバムだと思うのですが30年のキャリアを総括する意味でのベスト・アルバムの発売なのでしょうか?
EDDIE:そうですね。ライブのセトリを中心に、MAD3の30年間の歴史を網羅し、そのエッセンスをギューっと濃縮して詰め込んだ、全24曲入りのベスト・アルバムです。
──オリジナル・メンバーによりオランダにてレコーディングされた未発表曲も収録とファンには堪らないと思いますが、この曲が収録された経緯を教えてください。
EDDIE:2007年のオリジナル・メンバーによるヨーロッパ・ツアーの際に、オランダのデンハーグにあるフリーメイソンの元ロッジの地下室を改造した、秘密のスタジオでレコーディングしたという、めちゃくちゃ妖しい秘密結社的な未発表音源3曲と(笑)、同じくオランダのVERA CLUBでのライブ音源1曲を収録しました。未発表曲“GABBA LAND”は当時ヨーロッパ・ツアーのツアー・マネージャーを務めてくれたCHAOS U.K.のギャバに捧げた曲です。“MEPHISTO RISING”ではギャバ本人もノイズ・ギターでレコーディングに参加してくれました。“GABBA LAND”の曲名の由来って、当時私がギャバに、「なんでギャバの周りにはいつも良い人ばかりいて助けてくれるの?」って聞いたら、「これはギャバランドっていうんだ。お前もそこの住人だ」って言ってくれたことなんです。良い話でしょ(笑)?
──2019年12月15日(日曜日)に新宿LOFTで開催するMAD3 ROCK ‘N’ ROLL UNDEAD release party!!についてお伺いしたいです。共演がABNORMALS / ザ50回転ズ / THE RODEOS / 東京ゴッドファーザーズと世代も超えていいバンドが揃ってますよね。それぞれのバンドとの関係性を教えてください。
EDDIE:ロック・シーンは年々その歴史とともに年老いているから、「若さ」ってものがとても重要なんです。でもそれだけじゃルーツが足りない。私が私なりに世界を見てきて感じたのが、あらゆるシーンで世代を超えた奴らが一緒につるんでるってこと。若者も年寄りも普通に酒飲んでるし、しかもパンクスもモッズもジャンルを超えて仲良いし。これが私がいつも言ってる「ロックンロール・キングダム」なんです。12/15のロフトのリリース・イベントはそんな感じの世代とジャンルを超えたパーティーになると思うので、是非遊びにきてください!
MAD3という怪物の存在理由
──EDDIEさんにとってMAD3は人生そのものだと思いますが、どんな30年のバンド人生でしたか?
EDDIE:はい。だからMAD3がなくなった時は廃人みたいでした。ソロでバンド活動はしてましたが、全然パッとしないっていうか、自分の世界観が出せないし、周りも付いてきてくれなくて焦燥感に駆られていましたね。MAD3っていうのはモンスターみたいなもので、決して死ぬことが無く永遠に生き続ける、不老不死の吸血鬼みたいな、まさにROCK’N’ROLL UNDEADな存在なんです。私も吸血鬼ですから歳をとらないし(笑)。これからもひたすらに直向きに、ただただ「カッコいい」ことを追求していきます。それが私の人生だし、MAD3という怪物の存在理由ですから。
──今回、LOS ANGELSツアー / ベスト盤 / レコ初と30年過ぎても積極的に活動している現役のバンドMAD3だと思いますが、最後にroof topの読者にメッセージをお願い致します。
EDDIE:人はどこから来てどこへ行くのか。それは誰も知らないけど、何がしたいのかという事だけは自分で決められる。だから今この瞬間を全力で生きて欲しい。