Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューMAD3(Rooftop2017年9月号)

音楽だって人生だって、やっぱり愛がないとダメ。
ロックンロールは、みんなを幸せにするものであるべき。

2017.09.01

 2016年、8年の活動休止を経て復活したMAD3。個性的であり、かつカリスマ性もある新メンバーのBLONO・HIRUTAを迎え、オリジナルのMAD3の頃とはまた違った感性で曲作りやロックンロールと向き合っていこうとする日本を誇るギタリストEDDIE LEGENDに話を聞いた![interview:柳沢英則(新宿LOFT)・安 佳夏(下北沢SHELTER)]

8年の沈黙を破り、再結成

──MAD3は昨年2016年に再結成されましたが、2008年の解散から8年という年月を経て、なぜ今、再結成をされたのでしょうか。

EDDIE:まず第一に、メンバーが見つかったっていうのが大きいですね。今までソロでもいろんなメンバーとやってきて、最後にやったEDDIE LEGEND A GO-GO! っていうソロバンドのメンバーがあまりにも良かったので、このメンバーだったらMAD3って名乗っても良いかなと思って。オリジナルメンバーたちに会いに行って、「やろうと思うんだけど」って言ったら、「やりなよ」と。元ベースのHARUTO君なんかは、「やるんならオリジナル越えて」って言ってくれて。それで、よし、やるか! ってなりました。やるにあたって、THE WILLARDを見に行ったら、オリジナルメンバーはJunさんしかいなくて、でもウィラードはウィラードだし、THE STAR CLUBだってオリジナルメンバーはHikageさんだけだし。言い出しっぺと言うか、オリジナルメンバー、メインのメンバーがいればそのバンド名を名乗るべき、というか名乗って良いんだなと思ったんだよね。

──では、解散していた8年の間も、機会があればMAD3をやろうと思っていたんですか?

EDDIE:いや、それがね、全然やる気なかったの。もう終わったことだと思ってて。もう次に行きたくて、いろんなことに挑戦してやってきたけど、やっぱり自分の作ってきた世界というか、俺の音楽っていうのはMAD3なんだなってやればやる程に思って。そして、やってみたらみんなすごく待っててくれて、やっぱりMAD3で良かったんだなって。

 

音楽も人生も、なんだかんだ愛が必要

──EDDIEさんのブログを拝見したのですが、新しくなったMAD3っていうのは、破天荒でめちゃくちゃなことをしていた若い頃とはまた違って、もう「SEX&DRUG&ROCK’N ROLL」の時代は終わった、と。

EDDIE:本当にその通りで、まああのままやってたら今、俺生きてないんだけど(笑)。やっぱり今こうやって元気でやれてるのって、そういう風に考え方をシフトしてきたからで。世界的に見てもロックンロールって、黄金期には何やっても許されるみたいな、神的扱いをされたりして。やればやるほどみんな喜ぶっていうか。ある意味シリアルキラーなんかはたくさん殺した方がより英雄視されるみたいな。めちゃくちゃなロックンローラーって崇められたりしてたけど、そんなこと今やったら本当にはた迷惑で、社会の敵みたいになっちゃう。そういう時代にもなってるし、そんなことやってた人たちはみんな死んじゃったし。それはそれでロックに殉じていて良いんだろうけど、こうやって俺が今まだ生きてるっていうことは、生き方を変えなきゃなと思ったから。やっぱりなんだかんだ言って、ほら、愛がないとダメじゃないですか。音楽だって人生だって。ロックンロールもやっぱり人々を楽しませるっていうのが1番だから。愛情を持って音楽を奏でて、それでみんなで幸せになるっていうのが音楽の1番の目的だから。ロックンロールはそうあるべき。

──新しいMAD3ではそれを実践しようとしているわけですね。

EDDIE:そうだね。それが今回のアルバムに出てると思うんだよね。

──新しいメンバーの2人とは、ざっくり、どんな雰囲気でやっていますか。

EDDIE:ベースのBLONOがね、Black Leather Blitzってアルバムのツアーで福島に行ったときに見に来てたキッズなんですよ。中学生だったかな。すごい変な髪型してて。前髪パッツンでスレイドのギターみたいな(笑)。変わった子だなあと思ってなんとなく覚えてて。その子が東京に出てきて、The Shallowsっていうバンドをやってて、再会して。実は、The Shallowsの結成ってMAD3の解散ライブのときなの。だからそれもちょっと運命を感じて。で、彼のプレイを見たら、ゴールデン・カップスのルイズルイス加部みたいな、すごいハードなベースを弾くわけですよ。そういうベーシストを俺はずっと探してて、あの当時中学生だった彼がまさにそういうベーシストに成長してて。本人もMAD3が大好きで、必然的というか運命というか、一緒にやることになって。ドラムのHIRUTA君は、もともとギタリストなんですけど、ベースのBLONOの同郷の仲間で、やっぱりすごいセンスのいいドラマーで。その2人とだったら、MAD3を名乗ってもいいかなって。

──曲はだいたいEDDIEさんが作ってるんですか?

EDDIE:うん。今までもずっと、ほとんど99%は俺が作ってる。今回のアルバムは、ベースとドラムが1曲ずつ作ってて。1曲目のPROLOGUEをドラムのHIRUTA君が、MANDALANDの方をBLONOが作って。メンバーにも参加してもらって。前のMAD3からずっとワンマンでやってきたけど、やっぱりメンバー参加型でやった方が楽しいなと思って。

──ある程度、ギターで曲構成をかっちりやる感じなんですか?

EDDIE:オリジナルのMAD3のときはベースラインもドラムのフレーズも全部作ってたけど、今は枠組みだけを持ってって、みんなでセッションしながらやってる。だから今のMAD3の方が俺はやりやすいかな。こういう感じでやろうよってアレンジをして、それが自分が思ってる以上にかっこよかったり。化学反応というか、そういうのは楽しいですね。

──そういうところも、若い頃にはなかった感性というか、今のやり方になっていっているのかもしれないですね。

EDDIE:自分もだんだん歳をとって、感受性が鈍ったり、ロックンロール的な感性だってどんどん鈍ってるけど、BLONOは30、HIRUTA君はまだ20代で、パワーも全然違うし感性も豊かだし、すごく刺激になるっていうか、忘れてたものを思い出させてくれる。初期衝動とか、そういうのがまだあるので。

 

ニューアルバムはロックの歴史に対するオマージュ

──再結成から1年を経て、今回のアルバムが出るわけですが、どんな思いで制作したのか、またどんなアルバムになっているのかをお聞かせください。

EDDIE:バンドが現在進行形であるっていうことが1番感じて欲しいところなんだけど、あとはさっき言った、愛というか、聴く人に対する愛。若い時って、俺は人と違うんだとか、こんなにマニアックでかっこいいことやってんだぜ、っていうつっぱった感じがあると思うけど、今回はそういうのではなくて、タイトル曲で歴代のギターヒーローのメドレーを曲にしてるんだけど、ロックンロールの歴史に対するオマージュというか、敬意というか、そういうものをみんなで分かち合っていきたい。クリス・スペディングの曲で「ギタージャンボリー」っていう曲があって、それがやっぱりチャック・ベリーとかジミ・ヘンドリクスとかエリック•クラプトンとかいろんなギターヒーローのフレーズがメドレーで出てくるんだけど、それにインスパイアされてるんだよね。ここ何年かクリス・スペディングが来日した時にサポートをやって、「ギタージャンボリー」に対するアンサーソングというか、オマージュでもある。

──今回のアルバムはPINK FLOYDやSTEVIE RAY VAGHANなどカバーも入っていますが

EDDIE:そうそう、カバー曲も元の曲をものすごくアレンジしながら作った。FOOD BRAINなんかは超マニアックでしょ(笑)。それはね、さっき言った元ゴールデン・カップスのルイズルイス加部が、俺が考えるに日本のロック史上最高のベーシストだし、この曲のベースのイントロのフレーズは世界的に見てもこんなに素晴らしいフレーズはないと思ってるから。MAD3のマニアックな面はこの1曲のカバーですごい表してるんじゃないかな。あと8曲目でPINK FLOYDの「INTERSTELLAR OVERDRIVE」っていう曲のカバーをやったけど、これもまあマニアックだけど、ポストパンク的な解釈でちょっと踊れる感じ、ノレる感じでやってみようって言って。ガレージっぽい解釈でプログレをやってみたんだよね。PINK FLOYDのファンって、ロックンロール目線であんまり見てないかも知れないけど、俺的にはシド・バレットってシド・ビシャスと同じくらいの存在で、すごいかっこいいロックンロールだと思ってるから、そういう感じでカバーしたんだよね。

 

愛しのSHELTERって曲を作りたい(笑)

──このアルバムを引っさげて、10月1日にはSHELTERでワンマンがあるわけですが、MAD3はSHELTER1年目から出ていただいています。思い出や印象に残っている出来事があれば教えてください。

EDDIE:SHELTERは青春が詰まってますね~。本当に楽しかった。美輪明宏の曲で「愛しの銀巴里」って曲があって、銀座の銀巴里っていうシャンソン喫茶店に16歳の時からずっと出ててそういう曲を作ったんだけど、俺もいつか「愛しのSHELTER」って曲を作りたいですね(笑)。印象深かったことは、もうありすぎてね~。いろんな恋愛もあったし、喧嘩もあったし、仲間と出会ったし、ハチャメチャだったけど楽しかった。去年、SHELTERに出た時は、俺の誕生日が近くてケーキまで用意してもらっちゃって、泣けてきちゃったよ(笑)。なんかSHELTERって、生き物みたいだよね。古い友達みたいな。久しぶり~、元気? って(笑)。

──去年使ったあの棺桶は捨てちゃったんですか(笑)?

EDDIE:いや、とってある(笑)。いつか黒に塗ってドラキュラバージョンをやろうと思って(笑)。あとは……もしもの時に使えるかな(笑)。

──10月のワンマンライブへの意気込みをお願いします。

EDDIE:持てるもの全てだそうかなと。ちょっとゲストミュージシャンも用意してて。ロックンロールの歴史を一晩で再現しようと思います。みんなの前でギターを弾けることが幸せでしょうがない。それを支えてくれるファンのみんなに感謝しかないです。感謝の気持ちを糧に、これからもギターを弾いていきたいですね。

 

 

 

 

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MAD3 ニューアルバム
『GUITAR HERO』

RnR-04
¥2,400円+tax
10月11日発売

amazonで購入

1.PROLOGUE
2.GUITAR HERO
3.GUITAR WARS
4.CAN ON
5.MADMAN BOOGIE
6.DEE DEE THE CAT
7.LIVER JUICE VENDING MACHINE (FOOD BRAIN)
8.INTERSTELLAR OVERDRIVE (PINK FLOYD)
9.TOKYO SPY TWIST
10.SCUTTLE BATTIN’ (STEVIE RAY VAGHAN)
11.MANDALAND
12.LITTLE WING (JIMI HENDRIX)

LIVE INFOライブ情報

MAD3 レコ発ワンマンライブ

『 GUITAR HERO』MAD3 ニューアルバム発売記念

下北沢SHELTER 10月1日(日)

開場:19:00 / 開演:19:30

前売:¥3,000 / 当日:¥3,300

出演

MAD3

ゲスト 

ROCKIN’ ENOCKY(JACKIE &THE CEDRICS), 石川真希(マキニカリス)

DJ SHIDARUMBLE

 

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¥2,400円+tax

※当日会場にて先行発売

 

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