そのごった煮な感じに、ニューヨーク感を感じた
──(笑)。 ステージを観たことで、お互いの輪郭がよりハッキリとしてきた感じがあったみたいですね。
RYO-CHANG:そうですね。もちろんTHE THROTTLEとしての俺のプライドもあるし、適当に「ヨロシクオネガイシマス」なんて言うつもりもないし、ロフトだし。とは思ったんですけど、ライブを観て「トッポイな」と思ったんすよね。いなたさじゃないんすよ、999999999って。非常に今の時代にリンクしている感じがあって。それは俺以外のメンバーも満場一致で。すごいトレンディだったっす。
RYOCHI:いや、めっちゃくちゃ嬉しいね。今言ってくれたことに関して俺なりに答えるなら、俺もメンバーもずっとハードコア畑でやってきた人間ではなくて。だからといって、ハードコアをやっちゃいけないってこともないはずだと思うし、他のジャンルで経験してきたことも出せたらなと思っていて。ハードコアの源流にいるBAD BRAINSがジャンルとかそういうものを超えていいんだって思わせてくれるものをやっているし、それを今の時代にやったら新しく聴こえたりするんじゃないかなっていう目論みはあったから、遼くんはそれを見抜いてくれてんだなぁと。
RYO-CHANG:たくさんのことを経験してきた999999999が、ジャンルでいうならハードコアをやられていて。THE THROTTLEもそこは間違いなく近くて、僕はジャズもやるしラップも歌うし、nerdに見えたAIはジャズベーシストをやってますし、SHU-GOは90’s J-POPも得意、P.B.ZはYAZAWA、ARISAは山口百恵からディズニー音楽ラヴァーで。そのごった煮な感じに、ニューヨーク感を感じたっていうか。
──ごった煮な性質を推進力にして新しいアプローチを模索しているところはTHE THROTTLEと999999999の共通点なのかもしれませんね。
RYO-CHANG:そう。だから俺は、999999999を観ていて実験的であるところがすごくいいと思ったし、これでいいのかって葛藤している感じもして。それはスロットルにもあるものだし、そうじゃないと新しいものが生まれないというか。何がいいと悪いとかじゃないんですけど、999999999には非常にインプロビゼーション感を感じたんですよね。
RYOCHI:ここまで話したこともそうなんだけど、いろんな人に聴いてもらいたい、楽しんでもらいたいっていうアティテュードというかスタンスも共通しているんじゃないかなと思うし、THE THROTTLEは今また自分たちの中にあるロックンロールの枠に収まらないものを作ろうとしていて。
RYO-CHANG:(指を鳴らして)あざっす!
RYOCHI:音楽的にはポップじゃないかもしれないけど、姿勢がすごくポップだと思うんですよね。そこに俺は一番大きなシンパシーとリスペクトを感じていて。それはTHE THROTTLEに対してももちろんだし、遼くん個人にも。そんな人たちとこういう関係性になれているのが、俺はなにより嬉しいなって。
VOLT:…今日、調子いいっすね。
(一同笑)
──まさしくTHE THROTTLEは、7月にリリースした1stシングル「CYCLOTRON」でネクストレベルへの到達を宣言したという印象です。
RYO-CHANG:ようやくっすね、2年かかったっす。キツかったっすね、ケンカもしましたし。SHU-GOがめちゃくちゃいい曲作るんですよ。もともと大学でもボーカル科だし、あいつ自身めちゃくちゃ歌うまくて。ARISAだけが一番最後まで「なんで私が2ビート叩かなきゃいけないんだよ、ロックンロールしねえのかよ!」みたいな話をずっとしていて。それが今日なんかもARISAから「やばいハードコアバンド見つけた!」ってLINEきて。もうそのレベルですからね。
VOLT:はははははははは!
RYOCHI:切り替え早っ!(笑) でも、他人事ながらいい話やなぁ。
ロックンロールであり続けるために、今また変わり続けてる
──音楽的にはもちろん、スタンス的な部分でも変化があったと。
RYO-CHANG:水スロで一緒にやるバンドにしてもそうですけど、俺もSHU-GOもARISAもかなりツッパってたんで、新ザスロになる前はロックンロール縛りの狭い世界ではあったんです。それが、まだまだペーペーですけど、歳を重ねていくうちにNO RULES,NO BORDERっていうのがひとつ俺らの脳天にありまして。新ザスロになってからは、ルールなし。ジャンルなんてない。世の中的にも新時代が来るし、そういうタームに至った経緯はありますね。
RYOCHI:俺、訊きたいことがあって。メンバーチェンジも含めてTHE THROTTLEって明らかな転換期だと思うんだけど、それが意図的なのか自然発生的なものなのか。
RYO-CHANG:自然発生ですね。やっぱり僕らはジャズとかアドリブなものを愛しているし、俺のマインドとして変化するのがロックンロールだと思っていて。ジャズこそ変化していると思われがちなんですけど、実はロックこそで。
RYOCHI:ロックンロールであり続けるために、今また変わり続けてるってことか。
柳沢:俺なんかも3月6日は本当に久々で2年ぶりとかだったんだけど、超カッコいいなと思って。全然違う感じになってるけど、でもすごく自然だし、バンドがどんどん変わっていくことっていいことじゃん。本人たちは大変だろうけど、嬉しかったよ。『CYCLOTRON』をリリースして反響とかもある?
RYO-CHANG:ありますね。溜めてきたぶん「待ってました!」っていう人もいてくれたりして。嬉しかったっすよね。今、渋谷の円山町にアジトを構えてて、恭平くんがゲリラで熨斗付けた祝酒なんか持って来てくれて。でもしっかりコロナで(笑)。超カッケェ! とか思いながら、みんなでぶち上がって。999999999と絡んでからなんですけど、実は知り合いめっちゃいるんですよね。裏でつながってて。THE THROTTLEとしてもRYO-CHANGとしても、キーパーソンであるような気がしてますね、999999999は。急に広がりを見せた俺たちのマインドも相まって。
──それは999999999にとっても同じことが言えそうですね。それこそ柳沢さんも前に別の現場で言ってましたけど、ライブハウスにいる醍醐味って人と人だったり、こういう出会いだったりするんじゃないかって。
VOLT:まさに。俺にとっては一番デカい出会いっすね。はっきり言ってめちゃくちゃレベル上がったっすよ、俺。もう、すげぇもん観たって胸張って言いたいから、吸収したっす。今この場も奇跡だと思ってます。奇跡より一個上のランク。ガチマジっす。