好きな音楽の移り変わり
吉笑:中三の時にギターを始めてゆずのコピーをしてました。漫画の「BECK」から楽器や漫画に興味を持ち始めて、洋楽も聞くように。でも、基本的にはROCK IN JAPANに出るような邦楽ロックにどっぷり。そのあとは「toe」から、ポストロックが好きになりました。ネタを作る時に歌詞があったら、考えや思考が止まらされちゃうからインストの曲が良くて。
鯉八:僕はもともと静かな曲が好きなんです。でも、吉笑さんがラジオ内でかけるのは前向きな歌が多いよね。そこから、吉笑さんが選ぶ曲は、僕も好きになりました。で、今日来る前は、それも飛び越してZARDの「揺れる思い」聴いてました。めっちゃくちゃいい曲なんですよ!
吉笑:そうそうそう。
鯉八:「負けないで」もやっぱりいい曲なんです。僕は、ZARDが頑張ってた頃は中学生で、売れてるけどなんだよダサいなと思ってた。でも、人が売れるのには理由があるんだなって思いましたね。20年経っても人の心に刺さるから、すごいよね。
吉笑:ラジオの選曲きっかけでハンバートハンバートさんがイベントの前の開演前アナウンスに呼んでくださって。
鯉八:二人とも好きでね。良かったんでしょ?
吉笑:盛り上がってました! 落語家に寛容で、アナウンスをちゃんと聞いてもらう環境作りをしてくださっていた。向こうからのリスペクトと愛情に、価値観が近いんだなと思いました。そういう自分達で地に足着いてやっている人たちが好きですね。
ラジオ半年間を経て。どうでもいいことの素晴らしさ。
鯉八:ラジオもあと三回だなあ。
吉笑:なにが一番印象に残ってます?
鯉八:最初の二週は特にドキドキでした。僕は吉笑さんに引っ張ってもらうバランスなので、流れにくっついていくので精いっぱいの十月の印象です。吉笑さんのことは頼もしく思っていました。あと、師匠に来てもらったことが僕は良い思い出です。
吉笑:鯉昇師匠も談笑もゲストで来てくださって。
鯉八:うん。喜んでました。ラジオきっかけでわずかだけど師匠孝行できたかなあと思ってます。皆さんに師匠のことも知ってもらえて。
吉笑:嬉しかったなあ。収録後に四人でチェキも撮ってもらいました。楽しかったことは?
鯉八:どうでもいい話を、吉笑さんとラジオ内で話してる時が楽しいですね。僕のあのトークが一番良かったとかではなくて。他愛のないもの。大きな枠組を忘れてどうでもいいことを話すことが、僕は楽しいかもしれない。
吉笑:鯉八あにさんのめちゃくちゃ長い天気予報もね。
鯉八:ああ。年末まで『下町ロケット』見てたので。
吉笑:まさか、ドラマの影響だったとは。
鯉八:なんか農業の人への愛がね。ふふふ。
吉笑:詳細でしたね。
鯉八:他の曜日は面白がってギャグを入れていて、いや、これはいかんなと。ほんとに天気を知りたい人に!
吉笑:うん。あにさんの誠実な思いが届くといいですね。
鯉八:天気予報は休憩時間でしたね。吉笑さんはどうでした?
吉笑:もともとナイターオフ(野球中継休み)の期間限定で。自分としてはなんとか抗いたいし、続けたいから、なにかしら印象に残るようにしてました。事件起こすくらいの気持ちでしたね。
鯉八:あ、シバハマリハって名付けて、9月は毎週水曜日にこっそりYouTubeで予行演習も。
吉笑:うん。お客さんにメール募集しつつ、本番の傾向と対策を作戦会議してましたね。あにさんに「門」という喫茶店で集まろうといわれて行ったら…。
鯉八:改装中で開いてなかったね。僕が純喫茶好きで、お店決める担当。クラシックが大きいから録音できず、喫茶店のはしごもしました。
吉笑:中田さん(オリエンタルラジオ)がニッポン放送から文化放送に突撃とか、何回も山場作れて、いろんな仕掛けがあって。ちゃんとやったなっていう。最初、現場はまず80点という空気でしたけど、熱量高めに120点を取る可能性を捨てずに行きたいなと思ってました。開始当時の想像は上回れたので、納得してます。
鯉八:今まで落語会が被る割には喋って来なかったね。
吉笑:新作を求められている会が多いので、お互い出番前は自分のネタでヒリヒリしていて。ラジオでは余裕持って話せて新鮮でした。
鯉八:毎週二時間一緒だったもんね。僕の印象、変わりましたか?
吉笑:鯉八あにさんは、ボケとしてめちゃくちゃ優秀な人ですよね。なかなか、落語家では珍しいです。どんな状況でも最後を任すとなにかしら一言で締めてくださる。決定率の高さをうらやましく思いますね。
鯉八:ありがとうございます。吉笑さんはね、よく笑う人だなと。前はイメージ先行で作るネタもあるし、鋭い感じの…。
吉笑:静かな?
鯉八:うん。前はクールな感じかなと。熱くて人間味あふれる一面を見れて嬉しいです。吉笑さんと話すのは楽ですよ。ほっとする。回を重ねるごとに思いますね。
アイデアは世の中で一番尊いもの
吉笑:ラジオ内で感情むきだしの時、どう思われてました?
鯉八:なあーにやってんだ! と思ってました。とは思うけど~、はじめからそこは分かってますから。僕は、話を転がしていく、ビジョンを立てることが得意な方じゃない。その分、吉笑さんは、頼もしかったし、全然自由にやっていただければいいなと。あとはもう僕の好感度が下がんないように。
吉笑:自由にやらせてもらってましたね。好感度の心配。
鯉八:はい! もうそれだけは気を付けていました。あと、皆、アイデア出せる顔して生きてますけど、実は出せる人はいなくて。アイデアは世の中で一番尊いものだと思ってるんです。吉笑さんが沢山案を出してくれて、本当に本当にありがたい限りですね。
吉笑:新作落語を作っているのもあるのかもしれないですね。
鯉八:吉笑さんはいっぱいアンテナ張って毎日考えて頭疲れないのかなと思っちゃう。僕は一つのことしか考えないしすぐ休んじゃうので。本当に助かってますよ。僕は発想ないから。
吉笑:え?
鯉八:僕は保守的だから。また、アイデアは尊いし、実行力も持ってる。頼もしいというか素晴らしい。吉笑さんはいずれ世に出ていく人だと思いますよ。
好きなものに対してのスタンス「今一番心が動いてることに一途」
鯉八:何かにはまった時、反対にぷりぷり怒っている時、いろいろ感情が出てたね。
吉笑:好きなラジオはその時々で本気で思っていることを話しているもの。だから、一週間で一番自分が今心奪われていることを喋ってます。怒りに関してはその都度都度百パーセント怒っているわけではなく、わりと計算して動いていて。番組審議委員会、イベンターのタカハシさんに対して本気でどやしつけようとは思ってません。単純に、自分が今一番心が動いてることを喋る方が自分の持ち味が出る、という感じです。
鯉八:はまってた中田さんと吉岡(里穂)さんは一見、両極端にもみえるね。
吉笑:違うもの同士を好きでいるのは当たり前だと思っていて、コアではそんなに影響は受けていないといいますか。矛盾があったらおかしい、みたいな価値観の人は多いですよね。でも、両極端の矢印同士を同時に持っているのは普通なんです。落語界という伝統の世界にいながら、新作落語を作ることもそうです。自分としては整合性取れているつもりでいます。どんなことにしても、その瞬間その瞬間で自分が興味持った方向に関しては一途じゃないかな。
鯉八:僕も同じで、好きだけど他にも好きなものがいっぱいある。『名探偵モンク』(海外TVドラマ)の話をラジオでしたら仕事が舞い込んできたので、僕もまたおかえしで、DVDボックスを買いました。
吉笑:レンタルではなく。
鯉八:うん。好きなものが手元にあるのは嬉しかったですね。僕は独占欲が強いから、買ってよかったと思う。
シバハマラジオとライブとそして…
吉笑:前回のシバハマライブ盛り上がりましたね。
鯉八:良いイベントでした。皆さん県外から来てくださって嬉しかったです。トークは僕ちょっと酔っぱらってたので記憶あれなんですけども。
吉笑:へべれけワイン(イベントSPメニュー)が効いていましたね。
鯉八:うーん。あ、お客さんの前で他の曜日の皆との絡みを初めて披露して。皆でこのシバハマラジオを継続させよう、一緒に盛り上げていこう、という熱に感激したのは覚えてます!
吉笑:一体感ありましたね。
鯉八:うん。嬉しかったです。
吉笑:ラジオでは反応が聞こえてこないので、実際に自分達の喋りで笑ってもらうのは気持ちいいですね。あと、ちゃお缶を初めて売った時に、理解して買いに来てくださってることが、嬉しかったです。
※ちゃお缶:特番獲得の資金のためのグッズ(ゲストトークと落語が聴ける!)
鯉八:圧倒的ホームでしたよね。皆味方なんだなと思いました。落語ではなかなか味わえない感覚でした。
吉笑:高座ではいつも一人ですからね。
鯉八:落語では届け切らなかった多くの人にも、あとわずかですが、ラジオ越しの出会いがあるように、感謝しつつ楽しんでいきたいなと思います!
吉笑:落語家は馴染みないから構える方も多いでしょう。でも、読んでる人と同じような年代の同じような人たちが、たまたま落語というものを選んでやっているというだけです。落語自体は気軽に楽しめます。もし読んで興味あるのであればふらっと来ていただければ嬉しいですね.
鯉八:少しでも興味あるならドアをノックしてのぞいてみてください。新しい扉が開けるかもしれません。あ、純喫茶の「門」も開くといいなあ。ちゃお~。