今から4年前、新宿LOFTで開催していた私の自主企画『歌舞伎町爆音祭』に来門さんに出演してもらっていました。出番前に緊張しながらノートのリリックを眺めていた彼が、ぼそっと私に「またバンドやりたいな」と呟いた日から、SMORGAS、そしてROSで元気いっぱいにステージを縦横無尽に動き続けている彼を見て、人間が持つエネルギーの強さを実感し、改めてリスペクト。今回、Dragon Ash、ex.RIZE、SMORGASのメンバーで動き出したROSにインタビューしました。みなキャリアのあるバンドマンたちなのに、熱いくらい真っ直ぐで、音楽に対する純粋な姿がそこにはありました。[interview:柳沢英則(新宿LOFT店長)/ photo:大参久人]
この4人ならすごいミクスチャー・バンドが作れる
──HIROKIさんに誘われる形で始まったと来門さんからは聞いたんですが、ROS結成の経緯を詳しく教えてください。
HIROKI:Dragon Ashで武道館公演をしまして。すごく良かったんですけど、反面空しさ…達成感がありすぎたんですね。そこからどうしようかなと考えてたんですけど、またライブハウスでやれたら面白いかなと思ってメンバーを探し始めました。最終的にボーカル枠だけ見つからなかったんですけど、マネージャーから「来門さんどうですかね」と言われて。それで連絡してみて、スタジオに入ったらすごく手応えを感じたので、これでやっていこうと決めました。
──メンバーの皆さんは声をかけられていかがでしたか。
来門:いやもう最高でしたよ。まずHIROKIさんから電話がかかってきた時点でちょっとドキドキして、俺なんかやっちゃったかな? とか思ったんですけど(笑)。それで「最近、何やってんの?」って訊かれて俺は「音楽がやりたいです」って答えたら、「じゃあ一緒にバンドをやろう」って言ってくれて。ベースがU:ZOくんってのも聞いたし。LOFTでもやりましたけど、ソロの時はドラムンベースで一人でやってたんだけど、ここに来てミクスチャーにすごく飢えていて。それでメンバーを聞いて、HIROKIさん、U:ZOくん、俺がいたらすごいミクスチャー・バンドが作れるでしょって思って。最高です、この人たちと一緒にできて。
U:ZO:来門とHIDEちゃんが来る前からHIROKIさんとはスタジオに入らせてもらっていて。サポート業をずっとやってたのでバンドっていうものが久しぶりで、スタジオ入って曲作ってアイディア出し合って、っていうのがもう10年ぶりとかなんで…。
HIROKI:だからちょうどいいタイミングだったよね。U:ZOもサポートとしてずっとやってるけどバンドに飢えてる時期だったし、来門はSMORGASもいまだにガツガツやってるけど、ちょうど谷間の時期で。俺もでかいステージだったりフェスとか出て、いいんだけどちょっともの足りないなって時で、みんなのそういう部分が合致したのかなと。
HIDE:僕はマネージャーの原さんに拾っていただいて、そのチャンスをものにして頑張るしかないと。
HIROKI:薄いね、相変わらず(笑)。
来門:車の中でインタビューの練習したでしょ。ちゃんと喋って。
HIDE:こんな人たちとやれるのかって気持ちです、本当に。
──世代的にDragon Ash、RIZE、SMORGASはちょうど聴いていたんですか。
HIDE:そうですね。
HIROKI:絶対聴いてないでしょ(笑)。
U:ZO:でもRIZEはちょっと叩けてたよね?
HIDE:コピーしてたんで…。
U:ZO:やめてくれる?(笑)
来門:インタビューになってないよ(笑)。
──今回のアルバム・タイトル『STILL FIGHT FOR SURVIVE』にはどういう意味が込められているんでしょうか。
来門:文字通りですけど、生き抜くためにいまだに闘い続けるみたいな。ミクスチャーっていう音楽の真髄は闘うってことしかないんで。俺も生き抜くために唄ってるところはありますし。ミクスチャーってやっぱり攻撃性の高い音楽だし、俺たちは生き抜くために闘い続けてるんだよ、って意味ですね。
──最初のミニ・アルバム『THE REST OF SOCIETY』から配信2曲『HARD LIKE STONE』をリリースして今回のアルバムと、けっこう早いスパンで曲ができているのかなって印象があるんですが、どうですか。
HIROKI:初めてスタジオに入った時からとりあえずライブがやりたいって思いがあったので、ファースト・アルバムは1カ月とかほぼ曲を作ってたんです。それでミニ・アルバムを出してゆっくりやっていこうかなと思ったら、マネージャーのほうから「次はフル・アルバムですね」って言われて(笑)。それで急遽作ってきましたね。
U:ZO:曲を作るのがHIROKIさんと俺、2人いるので、けっこうその辺は早いかもしれないですね。
──曲作りは素材を持ち寄って作っていく感じですか。それともカッチリ作ってきて、という感じですか。
HIROKI:カッチリ作るパターンもあるし、「このネタだけ使ってやろう」という感じでスタジオでセッションみたいなことも多いです。今どきの感じではないですね。昔っぽく、スタジオでやり合います。
来門:ミクスチャーってそういうラフなところが面白いじゃないですか。ラップだからメロディをそこまで考えなくて良くて、できた音に対してとりあえず言葉を乗せてスタジオで入れるってことができるんで、そうやってみんなで作りました。
U:ZO:楽器とか立場の差がなく介入していけるバンドですね。「ギターはこうしてください」、逆に「ベースはこうしろ」とか、そういうことができるバンドなので早いんだと思います。