モッズとの野音でコルツを解散してもいいと思った
──ところでこの『MORE BASTARD!』が一般発売される頃は、みなさんコルツではなくマックショウのツアーで忙しいんですよね。
KOZZY:うん。だからコルツのツアーを来年もまたやりたいなと思って。あまり良くないアルバムならあきらめもつくんだけど、何だかいいアルバムができちゃったしね。相変わらずコルツをやるのはしんどいなとは思うけど、アルバムも集中してやればまだ作れるなと思ったし。ただ何せコルツは仕込みが大変なんだよ。
TOMMY:メンバーもスタッフもマックショウの倍以上の人間が動くからね。
KOZZY:キャパまでマックショウの倍ってわけにはいかないしね(笑)。ただ、一昨日の野音はコルツとしてやれて本当に良かったと思ってる。これで新作も出さずに、この先の予定も特にないようなら、あの野音がコルツの最後でもいいと思ったくらい。
──そうだったんですか。
KOZZY:さっきも話した通りコルツはスカーフェイスをやるために始めたバンドだったし、これでもうスカーフェイスをやらないということならコルツも解散でいいんじゃないかと思ったんだよ。その後にもしコルツのスケジュールが入っていなければ「今日でコルツは解散します」と口を滑らせていたかもしれない。ここまでやってこれた達成感もあったし、最後の「IT'S ONLY ENTERTAINMENT」まで全9曲、自分たちの持ち味も全部出せたしね。
TOMMY:いろいろ大変だったけど、いいライブだったよね。「DOG DAY AFTERNOON」も初めてライブでやれたし。
KOZZY:まぁ、今はわりと充実した活動をやれているし、無理に終わらせることもないんだろうけどね。
──マックショウを結成したのはコルツの活動が煮詰まったり、当時の音楽業界に対して違和感を覚えたことが大きかったわけじゃないですか。今のコルツはそういう煮詰まりもなく健全にやれていますよね。
KOZZY:マックショウは、自分のやり残したことがないようにするための終活のひとつだよ(笑)。マックショウをやり始める前の2000年、2001年というのは、自分の身の来し方やこの先のことをよく考えていた節目の時期だったね。コルツがメジャーでやってた90年代の終わりは音楽業界も先細りの一途を辿って、自分たちの所属してた会社も潰れたりして、一通りやり尽くした感じがあった。それでアメリカへ行って、自分たちにはまだやれることがあると気づいてマックショウを始めることになるんだけど、いま思えばそれは終活に近い感覚があったよね。所詮は僕もキャロルとビートルズ出身だし、それを今ちゃんとやっておかないと後でできなくなるぞと思った。今のコルツもそんな感じだよ。やり残したことがないようにアルバムを作る、ライブをやる。だからコルツもまた終活のひとつだね(笑)。
──コルツとしてやり残したこととは何なのでしょう?
KOZZY:あとはやっぱり売れることじゃないかな?(笑) まぁ、それはもうチャレンジしないけどね。この先、音楽のマーケットがどうなるのか見当もつかないけど、僕はただいい曲を書いていたいだけだから。ただ誰しも不死身じゃないし、ロックの世界でもレジェンドと呼ばれる人たちが次々と亡くなってるしね。だからやっぱり、これが永遠に続くものではないのだとしたら、今やれることを思いきり全部やっておきたいね。「なぜそんなに働くんですか?」と言われてもさ(笑)。コルツにしてもマックショウにしても、誰かに影響を与えているのを実感するのは単純に嬉しいことだし、とてもやりがいのあることだからね。