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トップインタビューSPARTA LOCALS - スパルタローカルズ15年ぶりに新宿ロフトでワンマンライヴを決行。今、安部コウセイは何を想う

スパルタローカルズ15年ぶりに新宿ロフトでワンマンライヴを決行。今、安部コウセイは何を想う

2018.10.24

 2016年末に約10年ぶりにオリジナルメンバーにてライヴを行ったSPARTA LOCALS。以後もコンスタントにイベント出演等を行なってきた。メンバーのうち3人がHINTOと並行しての活動、また安部コウセイ、伊東に関しては堕落モーションFOLK2としての動きがありながらも、それぞれにパラレルさを保ち続けて活動しているのも興味深い。
 主に初期~中期の曲をレパートリーに、時を経た現在ならではの表現力や感情の変化といった機微も楽しめる現行の彼ら。この夏には、『名なしのワンマン』と銘打ち下北沢SHELTERで2DAYSのワンマンも敢行。その際は新曲たちも披露された。
 そして、この11月18日には、『名なしのワンマン~新宿ロフト編~』が行われる。同地でのワンマンは実に15年ぶり。そこでは更なる新曲も披露される予定なので一層期待も高まる。
 さて、その日も差し迫り、現在SPARTA LOCALSのボーカル&ギターでソングライターの安部コウセイは何を想うのか? ロフトワンマンに向けて、復活後からこれまでを振り返ってもらいつつ他バンド活動との違い、そして現在の彼の心境を伝える。
 まずは私の取材前の今日の質問の流れを彼にざっと伝え終えた際の会話から。【interview :池田スカオ和宏】

曲作りの際にブレそうになる時に指針になる言葉が共通認識として明確にあればブレないのかも

(この日のインタビューの趣旨や流れを伝え終わり、本題に入ろうとすると)

安部コウセイ(以下、安部):それって事前に考えをまとめて、メモか何かをしているんですか?

——ガイド的なメモですが、一応。「今日はこういう流れで、このようなことを訊こう」といった忘備的な意味も含め、一応、毎度取材の際は事前準備として用意してます。

安部へーっ。いや最近、そういったものがもしかしたら大事なのかな? なんて考えたりもして。

——それは?

安部もしかしたら他のバンドはそういったことをしているのかもしれないけど、最近キチンとコンセプト等を可視化させて、それを目指して作品をつくった方が良いのかな? なんて考えることがあるんです。

——後悔したくなければやった方がいいかもしれません。ただし逆に偶然性等は損なわれちゃう懸念はありますが…。どうしてもある程度、設計図に則って作っていく流れになりますから。

安部正直、曲を作っている際にブレそうになる時があるんです。そんな中、もしこういった指針になるような言葉が、明確にメンバーにも自分にも共通認識としてあればブレないのかも…と。中には、「そのブレたところが面白い」と言ってくれる方もいますが、それはやはり僕たちのコアな支持者であって。

——スパルタにはやや似合わない行為ですが(笑)、メンバー共有で可視化させるためにも有効だとは思います。

安部僕自身メンバー間での共通認識を持つのが苦手なので、それを丁寧に出来たらいいのかな…? とは、この歳になってようやく感じていて。そうすれば頭の中もスッキリするし、作業中も悩まなくてよくなるし。

——では、スパルタやHINTOって、<何か伝えたいことや表現したいことがあって出す>というよりかは、<とりあえずここ最近出してないから出さなきゃ>的な使命感等の方が強いとか?

安部そうです。そうです。もうずっとそれで来てますから(笑)。今、ちょうどスパルタの方もレコーディングの準備中なんですが、HINTOとスパルタの両方を並行してやってるんで、何も考えずに出した際に、どちらにも良くない影響が出る可能性もあるなと。「似てんじゃん!」「なにこれ? HINTOで良くない?」みたいな。それは避けたくて。それもありHINTOをやっている時よりも、遡るとスパルタだけをやっている時よりも、この明確化や差別化の意識はハッキリ持っておきたいんです。

——今後も並行していくのであれば、その辺りの認識は持っておいた方が良いでしょう。ほぼ同じ人たちがやっていることもあり、段々と近くなっていきそうだし。となると、どちらのお客さんも離れてしまう危険性も…。

安部そもそもスパルタの再結成の理由は、HINTOでは出来ない/やらない音楽性をやる目的から始まってるんで。HINTOではあのスパルタのような暴力性は出せないですから。でも、いざ動き出しちゃうと自分はだらしのない人間なので、非常にその辺りを考えるのがダルくなっちゃって。ちょっと気を抜くとつい、「まっ、何でもいいか…」となりかねない (笑)。今回それは避けたくて。

スパルタの方が、「怒り」「哀しみ」「軋轢」といった明確化したものを表現してるぶん分かりやすい

——現状、HINTOのファンでスパルタのファンのお客さんは多そうですが、スパルタのファンでHINTOのファンの方はやや少なく映ります。

安部まさしくそうです。でも、その2つを明確に分けていけばいくほど両極化していく気がして。でも自分的にはそれでもいいなかって。スパルタのお客さんがHINTOに来ないのも、俺からするとその違いがはっきりしていたからだろうし。それを今後もっとはっきりさせていけたら楽しいかなと。特に今はスパルタの新曲を作っている最中ということもあり、葛藤してますね。

——HINTOの方がスパルタより音楽的には分かりやすいですもんね?

安部いや、むしろ逆に、僕の意識的にはスパルタの方が分かりやすいんじゃないかなって。スパルタの方が、「怒り」「哀しみ」「軋轢」といった明確化したものを表現してますから。それは内容や曲調じゃなく、感情の内容についてですが。対してHINTOはもっとグレーな気持ちや曖昧な感情を表していて。例えば、「もの寂しい」とか。ちょっとした違和感はあるけど、生活は続いていくみたいな感覚。前者は受け取り手からすると、このバンドは怒ってる歌をうたうバンドなんだと一発で分かる。それが自分の思う分かりやすさで。自分の中では曲調の分かりやすいも分かりにくいも、あまり関係ないかなって。いわゆる聴き手の許容範囲に委ねているが故に、逆に安心感はないかなと。

——「このバンド怒ってる歌をうたってる」「では自分はこうコミットしよう」と対応も明確に出来ますもんね。

安部ただ、お客さんからすると曲調は分かりやすいけど、感情としてどう反応していいか? は難しいかも。HINTOに関してはライヴを観た人の反応が、どうにでもできちゃう部分があるから。自分はそれがけっこう難易度が高いことをやっている自負があって。

——でも、スパルタはスパルタでやはり現状、昔ほどのとんがり具合は薄れている感はあります。

安部自分ではそれでいいかなとも思っていて。じゃないと逆にリアリティもないですから。正直、今は昔の感情とはかけ離れ過ぎていて。でも今は今で今の怒りがあるんですよね、不思議と。変に若い時の怒りをトレースするのではなく、その今の怒りを誠実に形に出来ればなと。

——齢を重ねてもその新しい怒りみたいなものは湧いてくるものなんですね。

安部自分でもこの歳だし無いかも…と思ってましたが、掘っていくとやはり今の年齢ならでは怒りがキチンとあって。これが不思議な話で、スパルタの曲を作っている時は怒りっぽくなるんです。怒りのアンテナの感度がより発達してるみたいに。「これちょっとおかしいだろう(怒)!!」という気持ちにはなりやすくなってます。

——でも、それを楽曲的には二回転半ぐらいひねって伝えているところが魅力の一つです。

安部そのトガっている/いないの概念もおかしなもので。「HINTOがトガっていないか?」と問われたらそんなこともないし。表面的な部分でのトガりを指すのであれば、確かにスパルタはトガっていたのかもしれない。でも自分の中では、ステージ上でめちゃくちゃ暴れて、中指立てて唾を吐きかけて、が今のトガっているとはけしてイコールではなくて。それが今の自分にとってのリアルなのか? が問われると疑問で。40歳なりのトガりが無いとスパルタはツラいですから。

——ところで再結成以後、活動後期の曲はやってませんよね?

安部当然お客さんは歴代全部の曲の中から聴きたいでしょう。だけど、僕的にはドラマーが違えば楽曲全部が変わってしまうと考えていて。特にスパルタは曲の面白さは、メンバーのパーソナルな部分もあってのことだったし。このメンバー時代の曲をこのメンバー以外でやっても、あまり面白くないでしょうから。それはうちらの田舎臭さや、同じ出身地という後ろ盾がムードとして曲を彩ってたのもあるだろうし。

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LIVE INFOライブ情報

2018年11月18日(日)

SPARTA LOCALS『名なしのワンマン~新宿ロフト編~』

OPEN 17:00 / START 18:00

ADV¥4000 / DOOR¥未定(DRINK代別¥600)

[発売]PIA・LAWSON・eplus 9/29〜

●Pコード:128-023 / Lコード:76531

※3歳以上要チケット

※お問い合わせ:ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00-19:00)

 
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