第二期の軌跡をたどる選りすぐりのライブ・ベスト
──ニール・セダカの「OH! CAROL」は訳詞ではなく、原詞のままなんですね。
KOZZY:うん。やっぱり誰もが知るスタンダード・ナンバーだけあって、自分たちで演奏して唄ってみてもいい曲だなと思った。非の打ち所がどこにもない。ちなみに言うと、「真っ赤なチェリー」は最初、「チェリー」じゃなくて「キャロル」だったんだよ。でも「キャロル」だと唄いづらかったので女の子の名前を「チェリー」に変えたんだよね。
──「LONG DISTANCE CALL」はMIXアルバムの『DRIVE ME CRAZY3』に新曲として収録されていたものですね。
TOMMY:『DRIVE ME CRAZY3』は全曲1トラックでつながってるし、単品じゃ聴けないからこっちのアルバムにも入れておこうと思ってね。
KOZZY:「LONG DISTANCE CALL」も聴き返してみたらなかなかいいなと思ってさ。
TOMMY:ロスで作った曲だから、向こうならではの勢いがあるよね。
KOZZY:ロスから日本に電話してるイメージで作ったから「LONG DISTANCE CALL」(遠距離電話)なんだよね。
──ライブ・ベスト盤のほうは膨大なライブ音源から精選されたと思いますが、どうやって選曲していったんですか。
KOZZY:最初は歴史を紐解くように、とにかく記憶をたどってね。同じ曲でもテイクが何十ヶ所もあるわけで、そのなかでどのテイクが一番いいのかを選ばなくちゃいけないから大変だった。その時のライブは何年何月のどこでやったものか、どういう構成でやってたか、どういうメンバーでやってたかをすべて確認してさ。残ってる映像があればどんなギターやベースを弾いてたか、どんなドラムセットで叩いてたかまでを確認してね。それによってミックスの度合いも変わってくるから。そんな作業の連続だったので、それはもう気が遠くなるような作業だったよ。トータルで3ヶ月くらいはかかったんじゃないかな。夏前から取り組んでたからね。
──むしろよく3ヶ月でまとまりましたよね。カープの優勝という集中力を欠くサプライズまであったというのに(笑)。
TOMMY:おかげで作業の後半は気が散って仕方なかったね(笑)。
──常にサービス精神旺盛な皆さんのことだから、ファンが喜ぶ選曲を第一に心がけたんじゃないかと思うのですが。
KOZZY:それもあって余計に時間がかかった。各アルバムのメインどころの曲とかライブでいいテイクだった曲を優先したけど、あまりライブでやってない「2分8秒の恋」とかいい感じの曲も入れたかったから。
KOZZY:第二期以降のライブで言えば復活を果たした赤坂ブリッツがやっぱり思い出深いし、順当に考えればこのライブ・ベスト盤に入れるのが筋だと思うんだけど、実は音が録れてなかったんだよね(笑)。
TOMMY:映像は残ってるんだけどね。もしその音が録れていれば、華々しい第二期はこのライブから始まった…みたいな感じで話が膨らむのに。
BIKE BOY:要は出だしからコケてたってことですね(笑)。
──このなかで一番古い音源は、昭和八十五年(2010年)四月の「2分8秒の恋」(広島クラブクアトロ)ですね。
KOZZY:『HERE COME THE ROCKA ROLLA〜情熱のロカ・ローラ〜』を出す前になるのかな。フルマック[with ミッキー・スリム・マック(伊東ミキオ)&フジイ・マック(藤井セイジ)、ピロゥ]でやった時だね。
──昭和八十八年(2013年)四月に行なわれた日本青年館でのライブ・テイクが18曲中6曲と最も多く収録されていますね。
TOMMY:そうだね。やっぱり節目となったライブなので。地元・広島のライブは「2分8秒の恋」と「キャンディー・ゴールド・サンセット〜燃えるサンセット〜」の2曲が入ってるんだけど、「キャンディー〜」は個人的にも好きなんだよね。当時、2、3本やったツアーでしか「キャンディー〜」はやってないから、「ああ、音が残ってたんだ?」と思って。
BIKE BOY:そもそも『CANDY GOLD SUNSET』を出したのが最初の野音の当日だったから、レコ発のツアーをやってないんですよね。だから「キャンディー〜」は余計に貴重なテイクなんですよ。