いまや伝説として語り継がれている初の日比谷野音公演(昭和八十三年四月十三日)から八年半。純国産ロックンロールの最高峰であり最後のショウダウン(切り札)、広島に生まれてカープに育てられたザ・マックショウが野音にゲット・バックする。前回の野音は第一期の活動休止公演だったが、今回の野音は飛躍的進化を遂げた第二期マックショウの集大成であり、さらなる発展を見据える第三期に向けた大いなる助走でもある世紀の大舞台だ。この二度目となる野音公演開催を記念して発表されるのが、新作ミニ・アルバムと第二期の選りすぐりライブ・ベストから成る豪華二枚組『今夜はショウダウン』。すべての永久未成年に捧げる永久保存アイテムだ。広島東洋カープの四半世紀ぶりのセ・リーグ優勝という追い風を受け、日比谷をロックして野音をロールするトゥイスティンな一夜をマックショウはどう彩るのか。コージー、トミー、バイクボーイの三人マックに訊く。(interview:椎名宗之)
祝! 広島カープ優勝おめでとう!
──まずは何より、広島カープのセ・リーグ優勝おめでとうございます。
KOZZY MACK(vo, g):ありがとうございます。…ってまぁ、僕らは球団の関係者でも何でもないんだけどね(笑)。
──優勝の3日前からFacebookで生配信の特別番組をやる入れ込みようで、優勝を待ちわびる皆さんの並々ならぬ喜びと気合いを感じましたが。
KOZZY:異例の配信、しかも三夜連続でね。配信をやるにも、野音の件じゃないんかい!? っていう(笑)。
BIKE BOY(ds, vo):最初は僕も「何の配信なんだろう?」って思いましたよ(笑)。
TOMMY MACK(b, vo):最初の放送は当日突然やることにしたんだよね。一切予告なしで。コージーが「この番組はあくまでも野音に向けての特別番組です」って自分に言い聞かせるように話してたのがおかしかったけど(笑)。
KOZZY:やっぱり25年ぶりのセ・リーグ優勝だったし、こればかりは居ても立っても居られなかったよね。小さい頃から応援してきた地元の球団だしさ。日本のプロ野球の一球団って捉え方よりも、サッカーの日本代表を応援する感覚に近いかもね。なんて言うのかな、球団の在り方とか体質的なものが僕らみたいにインディーでやってるバンドと合うんだよ。特定の親会社を持たない市民球団が源流だったりしてさ。
──足立区出身のバイクボーイさんも、コージーさんとトミーさんの影響で赤ヘルファンになったんですか?
BIKE BOY:まぁ、そうですね(笑)。スポーツは全般的に好きですし。広島はいつもシーズンの前半戦でトップにいるんだけど、そこからたいていは順位を下げていくんですよ。それが今年は夏を越えてもまだ1位だったから、これはもしかして行けるんじゃないか!? って期待してたんです。
KOZZY:今年の夏はずっとツアー中で、その時もバイクボーイが「巨人と11ゲーム差ですよ! これは行けるんじゃないですか!?」とか騒いでたんだけど、トミーと僕は「いや、まだ分からん。ここからまた逆転されるかもしれない」って言ってた。今まで何度も悔しい思いをしてきたし、そのおかげでテレビを何台も壊してるからね(笑)。
──結果的には2位以下を大きく引き離しての独走優勝で、この勢いに乗ってマックショウも二度目となる野音の大舞台に立つわけですね。
KOZZY:ツアーも一段落して、これから野音に向けて盛り上げていこうってタイミングでのカープ優勝だったので、だいぶ力をもらえたと思うよ。まぁ、気持ちは野音の告知よりもカープ優勝のほうにかなり引っ張られちゃったけどね。
TOMMY:優勝が目前に迫った時は、スタジオで作業してても勝敗が気になって集中できなかったしね。
KOZZY:そうそう。カープの調子が良くなければ、今回のリリースもあと2週間は早かったかもしれない(笑)。
──スタジオ録音盤とライブ・ベスト録音盤の2枚から成る『今夜はショウダウン』ですね。
KOZZY:ライブ盤の最終的なミックス作業がカープの優勝とどん被りでね。スタジオ盤のほうは1週間前に作業が終わってたんだけど。最初の生配信をやった後に朝まで作業して、次の日も配信をやってから作業して、その次の日に優勝だもんね。
──そのライブ盤には活動を再開した第二期以降の選りすぐり音源が収録されているし、今回の『今夜はショウダウン』という作品は第二期マックショウの集大成みたいな位置づけですか。
KOZZY:そうだね。二度目の野音を目前に控えたこともあるし、第三章に向けた作品でもあるって言うか。スタジオ盤をミニ・アルバムにしようと思ったのは、去年出した『トゥイスティンカーニバル』をいまだに気に入ってるのと、ここ2、3作で中身の濃いフル・アルバムが続いたからなんだよね。ここでまたフルを出すのは過剰かなと思ってさ。自分たちでも把握しきれてないくらい既発曲がいっぱるあるし。あと、第二期以降のライブ音源をまとめたい気持ちもあったしね。
──『トゥイスティンカーニバル』に収録されていた「今夜はShowdown」を今回フィーチャーしたのはどんな理由からなんですか。
KOZZY:個人的にもお気に入りの曲だし、改めて打ち出したくてね。それで野音のタイトルにもしてみた。いままでもその時々でマックショウを象徴する曲っていうのがあってさ。たとえば最初の野音の後、活動再開一発目に出した「A HEART BEAT'S TONIGHT」とか、「情熱のロカ・ローラ」とかね。ここ最近だと、「今夜はShowdown」はそういう自分でも思い入れのある曲のなかの一つなんだよ。いまの自分が言おうとしてることを一番簡潔に言えてる曲って言うかさ。