Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTHE TOKYO(Rooftop2016年7月号)

キャロルやクールスらが持っていた古き良きロックンロールの疾走感をTHE TOKYO流に昇華/加速させた2ndミニアルバムが完成!

2016.07.01

 ロックシーンのみならずファッションシーンからも熱い支持を集める"現役メンズノンノモデル"のコダマタイチ(Gt.)と、その実兄で天性のロックボーカリスト・コダマアツシ(Vo.)を中心とした5人組ロックバンドが初期Rolling Stonesマナーを踏襲した1stミニアルバムから一年半、キャロルやクールスらが持っていた古き良きロックンロールの疾走感をTHE TOKYO流に昇華/加速させた2ndミニアルバムを完成させた!王道ロックナンバー『アンラッキーエンジェル』『コインと薔薇』から、昭和スター顔負けの歌謡ロックナンバー『イカレたBABY』『落陽』まで、古臭いだけでは終わらない、昭和のロック/歌謡曲等、オールドミュージックの新しい価値を提示して見せる渾身の全7曲が完成。そんなTHE TOKYOにアルバムのことやバンドの現状などを聞いた。(interview:柳沢英則[下北沢SHELTER&新宿LOFT])

古き良き日本の歌を温故知新したい

 
—まず、今年1月にBa.のハヤカワリョータが脱退、新しくドン・タカシが加入したわけだけど、感触はどう?
コダマアツシ(Vo. 以下アツシ):面白いですよ。リョータとはまた違うので。去年の10月ぐらいにリョータが辞めることが決まって、ドンが加入ということになって、表には出さなかったけど相当焦りましたね。俺たちにはやりたいことがあってガッツリロックンロールしていこうっていう時に、次のベースがいないんじゃ始まらない。ドンはもともと器用だったので、まずはサポートとして手伝ってくれないかって頼んで。ポストロックをやっていたりしたんだけど、ベースそのものが好きそうだし、ロックンロールみたいなスタンダードなものは、彼にとっても面白いんじゃないかなと思って頼んだらOKしてくれましたね。その時はどういう気持ちだったの?
ドン・タカシ(Ba. 以下ドン):最初はタイチくんからサポートを頼まれてたんです。そして、リョータくんが本当に辞めることが決まったその週なのかな、ハマさんから「今から下北に来てくれ」って電話がありまして。そこで正式に誘われて、まぁ嬉しかったですね。
アツシ:世話になっていた照明の人がこっちを離れることになって、その送別会イベントみたいなものに俺らも遊びに行っていて。そこに呼んだんですね。「面白いことやらないか」って。
ドン:もともと歌謡曲とか好きで「これはイイぞ」と。
—じゃ、今は楽しい?
ドン:大変ですけどね。僕は皆に追いつかなきゃならないし。
アツシ:そんな大したもんじゃないよ(笑)。
コダマタイチ(Gt. 以下タイチ):リョータくんはこの4人と一緒にTHE TOKYOの音楽を作ってきて、やっと自分たちをわかってきた頃に辞めてしまって…新加入のドンとそこをもう一度共有しなければならないと思ったんですけど、ドンは器用だしとても柔軟性があって助かってます。
アツシ:俺たちはとことん好きなことをやってるから極端なバンドなんですよ。極端だからこそ、この感覚を共有するのは難しいだろうなと思うんです。そこにドンが上手くはまったのは嬉しいですね。
—新作「陽気なステップ」を聞かせてもらって、より昭和歌謡の方向にシフトした印象だけど、ただその時代をなぞるんじゃなくてTHE TOKYOのオリジナリティも感じ取れるようになってきたね。そのへんの話を聞いてもいいかな。
アツシ:やっぱり人に言われて気づくことって多いですね。俺たちは好きなことをやってるんですけど、周りからどういう風に見られているかってあまり気にしたことがないんですよ。そんな時、ザ50回転ズだったりYellow Studsだったり、バンドの先輩方とかお客さんがいろいろ言ってくれて、それに導かれているような気もします。今回のアルバムに関して言えば「THE TOKYOにしかやれない」…いや、「THE TOKYOしかやらない」アルバムを目指しました。曲作りの基準も、俺たちが愛する古き良き日本の歌を温故知新したいなと思います。東京五輪を迎える今、J-ROCKがJ-ROCK足りうる新しいスタンダードを打ち立てられたんじゃないかと思ってます。と、以上は建前で。好きなものを好きなようにやっただけなんですけどね(笑)。タイチは最近「THE TOKYOがどうしたいか」をよく考えるって言ってたけどどう?
タイチ:ある意味そうなのかも知れない。周りの意見とかをだんだん気にしないようになってきて、まずは自分がやりたいと思えて、メンバーがやりたいって思えるその共通意識でとことん突き進めたいですね。そういう風に振り切っている過程でアルバムにも統一感がでてると思います。
—最近、ライブを始める前…登場の時にエンターテイメントっていうのかな。いろいろなことをやってるよね。あれはどうしてやりたいの?
タイチ:どうしてもやりたいからですね(笑)。
アツシ:あのエンターテイメント、まぁ茶番ですね(笑)。面白いじゃないですか。ドラマがないなら作ればいいじゃない、というか。俺は「勝手にエンディングシリーズ」と呼んでますけど。映画のエンディングから始まるような。もしかしたらライブはエンドロールが流れてる最中なのかもしれない。
—だいたいその茶番中に死んでるよね(笑)。
アツシ:ワンマンの時に流したラジオでも死んでますし、50回転ズとのツーマンでもバイクで事故ってるし、6/13のライブでもマフィアに殺されてますね(笑)。
タイチ:誰かに怒られるか、メンバーの誰かが止めるまではやりますね。
—あれはどういう発想から生まれたの?
タイチ:ワンマンのときに何かやりたいなと思ってたんですよ。あのときは皆、忙しくて面白いことを提案する感じでもなかったんですけど、僕はどうしても何かやりたかったんです。そこから好き勝手やらせてもらうようになりました。
ミヤシタツカサ(Dr. 以下ツカサ):2回目の「雨の暴走」は50回転ズの提案みたいなもんですね。
アツシ:そうだね。去年LOFTで一年間「俺たちしんじゅく族」というライブをやらせてもらって50回転ズやthe NEATBEATSと共演したんですけど、その中でドリーさんやモンドさんに「お前ら、雨の中ずぶ濡れで出てきたら面白いんじゃないか」って言われて。その時は飲みのネタだったんだけど、タイチがほじくり返してきてついに実現しましたね。
タイチ:そういう面白いことはやらなきゃって思っちゃうんですよね。
アツシ:確かに俺たちがやっていること・見せたいことっていうのはもしかしたら音楽だけじゃ足りないのかもしれない。
タイチ:導入が難しいんですよ。今の若い人たちにパッとうけるような音楽じゃないから、ああいう茶番は「ややウケ」でもいいからやった方が伝わるんじゃないかなと。
—ワンマンあたりからバンドが悩んでいるような雰囲気がしなくなってきたね。振り切れているというか。それは「俺たちしんじゅく族」だったりワンマンだったりレコーディングを重ねてきた結果なのかな。レコーディングはどうだった?
アツシ:脳みそに汗かきましたね。俺らには基準がないんですよ。今、流行ってる音楽をなぞってるならそういう方向にもっていけばいいけど。かといって、俺たちが好きな古い音楽を参考にミックスしたってしょうがないんですよ。だからこそ、俺たちがスタンダードを作らなきゃならないなと強く思いましたね。自分たちは何がやりたいんだっけというのをもう一度考えられたし、それぞれのカッコイイの基準を試されたなと思います。
 

気づいたら新しい仲間ができていた

 
—去年の話になるけど、「俺たちしんじゅく族」はTHE TOKYOにどう影響したのかな。あの500人キャパのライブハウスで一年間やり通すバンドはなかなか…というかTHE TOKYOしかいないよね。
ハリケーン・ハマー(Gt. 以下ハマ):寺子屋みたいなもんでしたよ。
ドン:僕は客として足を運びましたけど、楽しかったですよ。
アツシ:俺たちみたいな何も知らないペーペーだからこそ踏み込めたし、それこそLOFTが支えてくれたし、続けないと負けなんだと思ってました。ようやく終わって気づいたら新しい仲間もできていて、俺たちがやりたいことも具体的になって、やってよかったなと思います。
タイチ:あのイベントは全ての面において、糧となりましたね。
ハマ:the NEATBEATSと一緒にやったときはロックンロールは辞めようと思いましたもん(笑)。
ツカサ:同じ土俵では戦えないというか。
タイチ:決意は固まりましたね(笑)。
アツシ:それが全部ってわけじゃないけども、やっぱり歌謡が好きなんだ、やりたいんだってのを感じたのかも知れないですね。俺たちは好きなことだけやっているってことが強みというか誇りなんです。それをしぶとくやっていたら、最近はお客さんに受け入れられるようになってきてますね。
タイチ:何で受け入れられているのかはわからないけど、こういうジャンルがこういうジャンルとして受け入れられているのが本当に嬉しいです。皆、当たり前のように見てくれてるけど(笑)。
—良い意味でかなり異質だよね。
アツシ:俺たちが異質でもライブハウスやれるってのはいいですよね。新しいライバルなり仲間に出会えますし。俺たちだったら去年の暮れぐらいからTHE THROTTLEにも出会えましたし。自分たちがどういう奴なのかっていうことを、いいバンドに出会うと教えてもらえるんですよ。俺たちのTHE TOKYO像ってのが洗練されて固まってきて、それを出せるようになってきましたね。その結晶が今回のアルバムですね。
—3周年ワンマンも終え、2nd mini albumも出し、今後の抱負を聞こうかな。
ハマ:目標とかはあまりないですね。このバンドで出来ることを突き詰めていくだけだと思います。勿論、それだけじゃダメなんだろうけども。それだけはやっていきたいです。
アツシ:好き放題やって好き放題に生きてきたいなと思います。その上で喜んでくれる人がいるならばおじいちゃんになってもやっていきたいですね。このアルバムはその足がかりの1枚ですかね。
ツカサ:カッコよくあるってのは大前提ですけど、このバンドは「歌が良い」って言われたら一定ラインは勝ちなんじゃないかなと思います。そこですかね。
ドン:僕が今までやってきたバンドの音楽性だと、家族に聞かせると「よくわからない」って言われちゃうんですよ。でも、このバンドは歌だから。おばあちゃんに「良いね」って言われたいです。
タイチ:最強のバンドになろうとは思ってないですけど、最愛のバンドになりたいです。いい男って格好つけるだけじゃなくて、どこか抜けてたり変なところこだわってたり、そういうものをTHE TOKYOに映したいですね。このバンドは男なんですよ、そういうカッコイイ男になってほしい。皆に聞いてもらって有名になるには、いろんなハードルがあるとは思うんですけど、そんなハードルを、僕はどんどんくぐってやりたいと思ってます。そういうバンドでありたいです。
 
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THE TOKYO
2ND MINI ALBUM『陽気なステップ』

2016年7月13日(水)TOWER RECORDS限定発売
2016年7月20日(水)iTunes限定配信
価格:2,000円(税別)

収録曲:全7曲
1.アンラッキーエンジェル
2.コインと薔薇
3.イカレたBABY
4.あそぼうよ
5.雨街ブルース
6.忘れちまいなよ
7.落陽

[CD特典]
・特製ポスター仕様歌詞カード
・ボーナストラック収録「ベッドタウンブルース(live at ナイアガラ・フォーク・フェスティバル)」

[TOWER RECORDS取扱店舗]
・新宿店、渋谷店、名古屋パルコ店、梅田NU茶屋町店、ONLINE他

[TOWER RECORDS店頭購入特典]
・特製CD-R

LIVE INFOライブ情報

[ライブスケジュール]
・2016年7月29日(金曜日) 新宿LOFT 
・2016年8月5日(金曜日) 新宿LOFT 
 
[TOWER RECORDSインストアライブ(内容・特典は後日発表)]
・2016年8月13日(土)19:00〜 梅田NU茶屋町店(店内イベントスペース)
・2016年8月14日(日)15:00〜 名古屋パルコ店(西館1Fイベントスペース)
・2016年8月22日(月)21:00〜 新宿店(店内7Fイベントスペース)
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