バンドとソロの違い
——どういった面でバンドとソロの違いを感じますか?
卓偉:ずっとソロの人、バンドしかやってない人、そして僕らみたいにバンドをやってて、その後にソロになった人とでは、感じ方が違うと思います。僕はデビューから数えていくとずっとソロの人なんですけど、アマチュアの頃はバンドをやってたので、どっちも分かるつもりではいるんです。分かりやすく言えば、ソロは全責任が全部、自分にあるってことですかね。その重さというか。フットワークが軽い時もありますし、逆に、小回りが利かないこともあったり。バンドはバンドで、本当にうまくいくとマジックが起こるんですよね。人間関係とかの風通しさえ良くすれば、バンドが無敵だっていうのは分かってるんですけど。ただ、ソロのほうがうまく回るときもありますね。そんな感じですよね?
葵:全く同じです。バンド・ミラクルって、すごいなって思います。サポート・メンバーだと、またちょっと違うんですよね。同じ立場のメンバーだから起きる、何ていうんですかね…。何とも言葉にできないんですけど。それが、やっぱり最高に魅力的ではあるんですけどね。
卓偉:うんうん、そうなんですよね。打ち上がるときがある感じがするんですよね。バンドもいろんなケースがあって、上下関係があるバンドもいるじゃないですか。本当に全員が同じ対な気持ちでいくっていうのと、いい意味でピラミッド式になってるバンドもあるでしょ。だからそれによっても、あり方は全然違うんですよね。すごくフレンドリーで全員が仲のいいバンドもいるし、何となく雰囲気が2つに分かれてるバンドもいますしね。何ともいえないですね、本当に。でもステージに立てば、バンド・マジックが起きるってバンドもいますしね。実を言うと、僕はずっとソロなんですけど、個人的には「バンドは格好いいな、バンドは羨ましいな」とは、ずっと思ってますよ。
葵:でも、この前のライブを観させていただいて、一緒に演奏されていたのはサポートのメンバーの方々だと思うんですけど、完全なるバンドでした。
卓偉:ありがたいことに付き合いがもう長くてですね。そうそう、ベースの鈴木賢二くんは葵くんと同じ群馬出身ですよ。
葵:あっ、そうなんですか!
卓偉:群馬県民には悪い人はいないっていうね!
葵:どうですかね〜(笑)。
卓偉:いやいや、本当、本当! 彼は同い年で、デビューしたくらいの時から一緒にやってるから、もう15〜16年以上かな。だから信頼関係っていうのは、やっていくことによって掴めてるところがあるかもしれないですね。
葵:見せ方の息の合い方というか、バチッと合ってるのが、僕はまだできてないなって思いながら観ていました。
卓偉:今の、ソロのバンドのメンバーさんになって何年くらいですか?
葵:結構変わるんですよ。固定はしてなくて。
卓偉:あー、そうなんだ。変わるとどうしても気遣いとかありますよね。
葵:そうですね。ステージに立つ回数って、普通のバンドに比べると極端に少なかったりするので、まだカチッとは合ってないかなとは思うので、それが今は課題ではあると思います。
卓偉:でも、20年も30年も続けている人で、バンドのメンバーも一緒のソロの人もいれば、ツアーごとに変える人もいますからね。どっちにも良さはあると思いますけどね。
葵:新しい人がくると、同じ曲でもまた違った音楽になる気がして、それが楽しいなとは思うんですけど、練習もたくさんやらなければいけないし、ステージに立つまで結構時間がかかるというか、重ねていかないとな、とは思いますね。
卓偉:バンドを作るまでにね、アレンジとかいろいろ注文したりね。
葵:そうですね。この前、卓偉さんのステージを観ていて、それを改めて思いました。立場を一緒にしていいか分からないんですけど、同じ目線で観させていただいてると、『バンド』っていう見方と違う見方ができたので、すごい勉強になりました。
卓偉:もちろん同じ目線で。いやー、恐縮ですけど嬉しいです。僕もそういうのは一緒で、ソロの人のライブのあり方とバンドの人のライブのあり方って、観てるところが違うかもしれないですね。
photo:Rie Suwaki