——歴史や神話の重鎮が駆け出しですか（笑）。

柴：芸能界では関係ないですから。駆け出しアイドルならではの厳しさを見せた話も色々と盛り込んでます。

宅野：よく考えたら、アイドルっぽいことあまりやってないですね。なにせ彼ら動かないので、ステージシーン見せてもあんまり面白くないんですよ（笑）。

——PVだとライブ映像っぽい中でキャラ紹介があったのでもう少しライブをしているのかと思ってました（笑）。

宅野：現実と石膏が混じっているのが普通なんだというのが面白い世界なので、それに気づいたときにどんどんアイデアが出てきました。

——気づいたことで振り切れたんですね。

宅野：彼らを使ってネタ出しをしてみたらどんどん出てきたので、コレはいくらでも出てくるぞって思いましたね。技術的な面でアニメに落とし込んでいくという部分はもっとあったんですけど。

——それが出てくるというのはやっぱり向いているんですよ。

宅野：いやー、どうでしょうか。でも楽しんでやってますのでヒットして欲しいです。

――通常のキャラは動いてくれますけど石膏は動かないので、画面づくりは結構シビアになりますよね。

宅野：３Dなので動かそうと思えば出来るんですけど、石膏の良さがなくなってしまうのでそこは守ったほうがいいなと思っていました。アニメ的な記号を入れてみたりと試行錯誤する中で、３Dの利点である質感を変えられるということに気づいたんです。岩にしたりやツヤツヤにしたり、イメージ的な処理ですけどそういうふうに見せることが出来るな、と気づいたので良かったです。撮影監督の林（翔子）さんがいろんな撮影技法を独自に作ってくださって、感情を見せる表現にできて本当に助かってます。本当にスタッフに恵まれました。キャラクターデザイナーの伊藤（依織子）さんにもかわいいキャラクターを作っていただけました。最初にキービジュアルを見せたときは石膏達が写真と間違われてクソコラとか言われました（笑）。

——それは思いますよ（笑）。

宅野：あの３D本当に苦労したんですよ。最初、３Dスキャナーで取り込んだものをモデルデータにしようとしたら、表面がボコボコになってうまくいかなかったんです。そこでモデラーの方にお願いしたら、モビルスーツを超えるポリゴン数になってしまいました。

柴：最初、３Ｄスキャンを使えば安くできるって話だったのに３Ｄスキャンデータが使えなくなり結果的にすごいお金かかったのでプロデューサーとしては辛かったです（笑）。

——そのこだわりは画面から伝わってきています。最後にファンの方に向けてのメッセージをお願いします。

柴：シナリオ打ちに入る前に美大生に来てもらって何度もヒアリングをして作品を作ったんですが、そこで美大あるあるを聞いたんですよ。なので美術を志す方に刺さるといいなと思っています。ぜひ、見て欲しいと思います。

宅野：これからもかなり粒だった話が続き、ホロリとするような展開もあります。肩の力を抜いて疲れをとってもらえる作品にできたと思っているので楽しんでいただければ嬉しいです。