結成10周年に向けた最初のスタート地点
──先ほどからチラチラと話に出てきていますが、来年はもう結成10周年を迎えることになるんですね。
佐々木:そうなんですよ。姐さんが入ってからのほうがオリジナル・メンバーの時代よりも長くなろうとしてますからね。今度の『ベストライド』で、自分のリリース曲が100曲を越す段階にもなってきたし。最初にバンドを組んだ頃は10年続くかなんて考えたこともなかったし、ちょっと不思議な気持ちにはなりますよね。10周年に向けては面白いことをやりたいと考えているし、ネガティブなニュースはもう一個も出したくないです(笑)。キレイな花火をたくさんブチ上げて、その先の未来につなげていきたいですね。10年やってきて武道館もやれてない悔しさもあるし、愛と感謝と悔しさの10周年になると思いますけど(笑)。
渡邊:10年なんてホントにあっという間だったけど、一個一個の記憶や思い出が濃いから100年のようにも感じるって言うか……。
HISAYO:それはさすがに言い過ぎでしょ(笑)。
渡邊:いや、それくらい長かった。でも、あっという間だった。
佐々木:初めて会った時はお互い19だったもんね。
渡邊:うん。この先はもっと早く、あれよあれよと年齢を重ねていくと思うし、そういう意味でも自分に火をつけないとなって思ったりもします。
──目下、AFOCが目指している第一の目標はどんなことですか。
佐々木:やっぱり武道館ですね。昔よりもはっきりとやりたい気持ちがあるんですよ。今までのライブの集客はMAXで2,000人キャパだし、1万人以上が集まった景色をワンマンで見たことがないから、それをまずやってみたいですね。
HISAYO:私が加入した時、亮介君が「1万人の前でブルースを唄ってみたいんだ」と話してくれて、凄く納得できたんです。それがいよいよ具体的な目標として目指すべき時が来た感じはありますよね。
渡邊:確かに武道館はやりたいですね。武道館でワンマンをやったことのある友達のバンドも多いし、自分たちがやれない悔しさもあるので。
佐々木:ロックンロール・バンドって、今の音楽シーンの最前線の中ではかなり端っこにいると思うので、俺たちがそれを真ん中に引っぱり出すためにも武道館のでっかいステージに立つのはマストなんですよ。それが達成できれば、「ベストライド」の「君の世界を 変えるのさ」という歌詞が現実になると思う。
──10周年を見据えた道程の中で、今回の『ベストライド』という作品をどのように位置づけていますか。
佐々木:さっきも話した通り、10周年に向けた最初のスタート地点ですね。スタート地点をあえて“ベスト”と言い切ることで、ハードル上げまくりで始めようっていう(笑)。それは自分たちに対する挑戦ですよね。今がベストなら、じゃあその次はどう攻めていくんだ!? って発破をかける意味もある。AFOCは『GOLDEN TIME』を出した後でも挫けなかったし、『ベストライド』を出した意味はこういうことだったんだなと後でみんなに言わせたい。だからこれが全然ゴールじゃないし、今はホントに先のことしか考えてないんです。
──前途には希望しかないと。
佐々木:悔しさだの辛さだのは今までさんざん抱えてきてますからね。それをそのまま「悔しいです」「辛いです」と言うんじゃなくて、「今がベストです」と凄く前向きに言い切りたい。
HISAYO:まだまだ行ける確信はありますね。今回のレコーディングでも「いいよね、いいよね」って言葉が終始飛び交っていて、そういうのは今までになかった雰囲気だったんですよ。
渡邊:今まで以上に3人の焦点が定まってましたからね。どれもはっきりとヴィジョンのある曲だし、亮介の歌にも迷いが一切なかったから、「ベストライド」の仮歌でも凄くいいなと思えたんです。
佐々木:「ベストライド」はまだリリースもしていないし、PVも発表していないのに、ライブでのアンセム感がすでに半端じゃないんですよ。この間の『ARABAKI ROCK FEST.』でも凄く盛り上がったし、自分たちは間違ってないんだってことをまたひとつ確信しましたね。ライブで踊ることだけを目的としている機能美的なものじゃなく、泥くささや必死に生きている感じが入った俺たちらしい歌を作れて良かったです。
──年々、年相応のAFOC流ブルースが唄えるようになってきましたよね。それと、30代に入る手前で活動休止や解散を選ぶバンドが多い中で、皆さんはメンバーが流動的ながらも何とかその時期を乗り越えた自負もあるのでは?
佐々木:そうかもしれないけど、たとえばフラワーカンパニーズやスクービードゥーみたいなバンドは一度も休止してないし、俺たちと同じレーベルで言えば怒髪天も間に休止期間はあったけど、粘り強く続けてきたからこそ今のブレイクがあるじゃないですか。そういう諸先輩方を見るとまだまだこれからですよね。今がベストだと思ってこのまま記録を更新し続けていけばAFOCなりのストーリーを描けると思うし、絶対にもっと凄い景色をみんなに見せられるはずだし、自分たちも見たい。それを見るまでは死ねないですよね。